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家へ引っ越してから

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「それで、何を悩んでいるのですか」
「…ルーヴェリア様の結婚相手、身分は必要なんですの?」
「いいえ?全くございませんね」

 お茶を淹れながら、けろりとした顔で返される。そして、ああ。と、わたくしがその質問をした理由に思い至ったのか、くすくすと笑う。

「身分を気にして、という貴族も確かにいらっしゃいますね。ただ…王様も王太子様も、どちらかというと自由恋愛の傾向にございますので」
「自由恋愛、ですか」
「王太子様は、少々違いますが…それでも、100名程ですかね、あらかじめ選ばれた中から、実際に会って、王太子様のご意向で選ばれてますから」

 そ、そんなに人数いたのねと驚いてしまう。それはそれで選ぶのも大変でしょうに。

「王太子様は、一人を決めて、後はふるいにかけた、とおっしゃっていましたが…ルーヴェリア様もその方法をとらせていただきました」
「え?そうなのですか?」

 その方法…ジョセフィーヌ様は、ただお茶をしていただけだったと思うのだけれど…

「ルーヴェリア様は、思惑とか下心、そういったものに敏感でして」
「………」
「ですので、ルーヴェリア様へ近寄らない女性、かつ、自身をわきまえてジョセフィーヌ嬢と仲良くできそうな方を選びました」

 選んだって…

「ラクシュ様が、婚約者様を選ばれた、という事ですの?」
「ある意味ではそうですね。ただ、私が選んだというと、また少々違うのですが」

 最終的な判断は、ルーヴェリア様がしたのだという。

「ルーヴェリア様の場合、選べと言っても多分選べませんので」
「え?」
「対面させて、その勘の良さを使った方が早いです」

 選ぶというより、除外した方が早いのだと言って笑う。

「後はまあ、男なんて、程度はありますが起つものなので」
「…ラクシュ様」
「なんです?」
「ラクシュ様も、そうなのですか?」
「あ。すみません、それはもう過去の話ですので」

 ラクシュ様の発言に、思う所があって問い詰めれば、そう言って謝るけれど…なんだかそういう事を言われてしまうと、どうしても信用できなくなるというか。

「そうやって、嫉妬してくださるのは大変うれしいのですが」
「嫉妬では、」
「ないのだとしても、」
「っ、」
「私は、そう捉えます」

 するり、と顎に手を添えられて、ぬるり、と唇を舐められる。ああ、もう…何をどうラクシュ様の…地雷というか、そっちに火をつけてしまうというか…そこが分からない。
 唇を何度も舐められて、ついばまれて…舌が入ってくる。抵抗しても…かくりと顎が開いてしまうのは、何かしている、のよね。

「ん、んんっ」

 嫌だと抵抗しても、ラクシュ様の舌に口の中をくすぐられて、舌を絡めとられれば、じん、と眼が熱くなる。腰を抱かれて、背中を優しく撫でられれば…

「ぁ…っふ…」

 抵抗もむなしく、身体から力が抜けてしまう。そうなると、ラクシュ様は本格的にわたくしの身体をいじり始める。耳をそっと撫でてきたり、首、腕、胸、と…段々と、中心に向かって。

「んっ、は…」

 動く腕を止めたくて、掴んでみても…力が入らないから、大した抵抗にもならなくて…どんどん気持ちよくなってしまう。だから、いつも…されるがままだ。
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