まるで裏稼業の騎士様にでろっでろに甘やかされる話

家へ引っ越してから

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　観劇を見終わって。お話しは…わたくしが知っている噂話や、以前領地でラクシュ様から聞いたお話しとは全く違っていて驚いた物の、別物の話と考えればいい話にはなるかしらね。
　だって、物取りに襲われて、ルーヴェリア様が助けたまではいいけれど…助けたその場で結婚してくださいって、急展開すぎない！？と。ラクシュ様はラクシュ様で、展開が早すぎて別人です。と零してましたし。
　そもそも助けに入ってからの戦闘シーンというのかしら。そこも結構長かったわよ。しかも、しっかりと決闘の様に仕上げられていて、物取りって決闘のルールとか知っている物なのかしらと茫然としたわ。横で、物取りが決闘を申し込んだのなら、その時点でヤってますね。とか零されて、内心冷えたわよ…
　助けた後はもう、何といったらいいのかしら。身分がどうとかそういった理由で引くジョセフィーヌ様と、ぐいぐい押していくルーヴェリア様という図式。あのパーティーも、婚約者を決めるパーティーというよりは、ジョセフィーヌ様こそがふさわしい、と宣言する。という…

「名前は流石に変わっていて出てませんでしたけれど…本当に、ジョセフィーヌ様とルーヴェリア様のお話しをもとにしてますの？」
「と、聞きましたが…改変しすぎて違う物語ですね」

　帰りの馬車の中で、ラクシュ様とそう話てしまう程、別物でしたわ。

「現実を知らない人からすれば、まあ楽しめるモノではあるのでしょうし、警備に関してはまた後程詰めるとして…少しは楽しめましたか？」
「そう、ですわね。先入観があって、物語を楽しめなかった事が悔やまれますが、おおむねは」
「それは確かに失敗でした。我が君には何も言わずにお連れしましょう」

　また別の題材が始まったら行きましょうね。と言われて、楽しみにしていると返した。
　ラクシュ様は、一度ルーヴェリア様の元に行くという事で、邸宅へと送られたわ。ゆっくりとお風呂へと浸かって、今日はマッサージは断って、部屋でくつろぎながら、劇を思い出す。
　二階席だから、少し見下ろす様な感じだったけれど…近いし、迫力もあって、楽しめたわ。ただ、本当に…先入観がね。話題性のある話だから、長期でやるか、別の題材とで交互にやる事になる可能性はあるそうで。

「ジョセフィーヌ様が楽しめるかどうか、かしらね」

　ある意味、身分差から結婚を反対される、というのは…ある話だし。けれど、この世界、というか国としたら…あれ、そうでもない気がするわね。流石に王太子様になると、身分も魔力も必要だけれど。
　そう、疑問が出てしまって、うんうん唸っていると、いつもの様に、背後から声を掛けられて跳ねあがってしまったわ。

「…そんなに驚かなくても」
「い、いい加減その出現の仕方は止めてくださいと何度もお願いしていますわよ」
「癖なので」

　その言葉で許されると思っているのかしら。