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家へ引っ越してから

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 さて。それからというもの、ジョセフィーヌ様と一緒にお菓子を作って、作ったお菓子で庭園でティータイム、という事を繰り返しながら、お弁当を持って行くという話もして楽しんだ。天気がいい日は、ジョセフィーヌ様は絵の道具を持って、わたくしは縫物の道具を持って行った。わたくしが裁縫している所を、ジョセフィーヌ様が描くという事だったけれど、スケッチ画を何枚も描いていらしたわね。
 …納得のいくものが出来ないとかで、見せられないと真っ赤な顔をして言うものだから、無理に見せてほしいと言えないのがちょっと寂しかったけれど。

 そうしている間にも、ルーヴェリア様が街の警邏へと行くようになった。夕食の時間に、久しぶりに見る街の様子を楽しんでいらっしゃるのが分かるのだけれど…あれ。警邏、よね。屋台の顔ぶれが少し変わったとか、相変わらずあのおやじが作る肉焼きは旨いとかおっしゃっているけれど…遊びに行ってる訳ではない…わよね?
 後程…夜に、ラクシュ様に聞けば、困ったように笑う。

「一応、ひったくりや喧嘩の仲裁なんかもございましたよ。ただ、ね。女性に言うのは憚れるので」

 と、そういう事らしい。怪我はないし、ルーヴェリア様の顔を分かっている街の人であれば、声を掛けてその顔を見ればすぐに収まるらしいのでそこまで危険ではないのだという。
 時々、外から来た旅人や商人だと、それが通用しないから困るそうだけど、そう言った場合は他の人が前に出てやるらしい。ラクシュ様が付いて、安全な場所から高見の見物をさせるのだと、ラクシュ様がおっしゃるけど…元来、王族なのだからそういう風にするのが当たり前の様な気がしますよ。
 でも、ルーヴェリア様って率先して行くようなイメージがあるのよね。と、こぼせば。

「部下の力量をきちんと見て、指導する事も必要ですよ。と言えば、大人しくなってくれますのでね」

 …大人しくなるのね。警邏に出ていた初期の頃は、それでも突っ込んでいこうとしたらしいけれど、もし軍を率いる事になったら必要な事だし、予行練習だと思えと強引に止めたそうで。
 …軍を率いるって、他国とのいざこざや戦争という事じゃない。それはちょっと、起きて欲しくないのだけれど。

「心配せずとも大丈夫ですよ。なんなら、戦争仕掛けてきましたら、その国の王族貴族の首、全て取ってきて差し上げますから」

 いえ、それはちょっと遠慮したいです。

「ネルアの前に首を並べる、という話ではございませんので、安心してください」

 いえ、そういう意味ではなくて…

「私の腹心、5人ほどと、後他の者達で…50人いれば、城は2時間もあれば落とせますし、なんなら一日あれば皆殺しにもできますので」
「無関係な人まで、命をとるのは…」
「そうですね。ただ…やろうと思えばできるという事です。ですので…戦争なぞ、起こさせませんよ」

 その言葉を、頼もしいと感動すればいいのか、怖いと恐怖を感じればいいのか、どこか他人事の様で、分からない。
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