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家へ引っ越してから
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騎士の詰所の人が全てラクシュ様の一族、と聞いて、ルーヴェリア様が大変驚いていたけれど…でも、何となく考えればわかるような気がするわ。
「そうですよ。他の部署は違いますが。というか、他の部署には全くうちの一族いませんけれどね」
しれっとそういう事を言わないで欲しい。その偏り方はなんなのかしら。
「お茶を用意させますので、少々お待ちを」
食事も終わりそうなので、ラクシュ様がそう言って、命令を口にしているけれど…
「以前、グランシュネル公爵様とお話しした際に、うちの本家だけだったので問題になった、とお話ししたかと思いますが」
「そ、そうですわね」
「ですので、うちの一族でなくとも問題がない箇所に配置しています。また、うちの部署、ルーヴェリア様がいらっしゃるので…一般公募で募集した人員、という体にはしてますが…全員うちの者ですよ」
「ええぇ…俺が知らないとかなんなの」
「うっかりばらしそうなので」
「…今ばらしたのはなんでなの」
二人の話を聞いていて、本当に何故ばらしたのかわたくしも疑問だわ。
「人間関係も板につきましたし、今更うちの一族に接する様な態度にはならないでしょうしね」
「そういうモンか?」
「そういうモンです。誰が誰なのかは流石に教えませんけれど…わたくしが、部外者を貴方のお傍に置くと本気で思ったのですか」
「や、ほら。王都だしな?俺も武術極めたしな?」
「それだけで、わたくしが安心して街中を歩かせると、ほんっきで思っていたのですか」
「あーまあ、言われてみれば?」
あの時…わたくしの妹と、ラクシュ様の本家の息子であるスウェン様との結婚パーティーで、ルーヴェリア様が王太子様に結界で守られた状態でいらしたときでさえ、物凄く怒っていらしたものね。
王太子様が施す結界がどれくらいの物なのかわからないけれど…それも以前、自衛できるという話だったし。
「話が逸れましたね。まあ、そういう訳ですので…ネルアであれば、そいつらは下僕同然ですので問題ありません。私がいれば私の所までご案内するでしょうし、出ているのであれば応接室もございますのできちんと接待するでしょう」
下僕…確かにラクシュ様が王だとするなら、その妻であるわたくしも…そのように対されるのだろうけれど、それよりは…対等、というと失礼かもしれないけれど、下僕だなんてそう言う風に接したくないし、そう言う風に見たくない。
「わたくしは…レイやメイドの皆さまもだけれど、下僕だなんて人を下に見るのは好きではありませんわ。対等、せめて…お友達位には」
「だ、そうですよ。レイ」
「かしこまりました。ただ、場というものもございますので、そこはご了承いただければと」
にこりと笑ってそう言うレイ。確かにね…一応、メイドという立場ではきちんとした程度を取らないといけない場もあるのはわかるもの。そういう場合にすら友達っぽくというのは無理な話よね。だから了承すれば。
「では、当主。ネルア様と街に行く際の服、誂えてよいですか。貴族の娘が着るような物を」
「いいですよ。そもそもそこら辺は制限してないでしょう?」
「装備を考えると、統一規格の物の方が楽ではあります」
…装備。街に行く、貴族の娘が着るような服、というと流石にドレスではないけれど、なんといえばいいかしら…カントリー風な服、なのよね。メイド服と似たような感じではあるのだけれど、結構変わるものかしら。
「大変でしたら、その…無理にとはいいませんわよ」
「デザインや布地の問題ですので…そこら辺は店に任せますので、ご心配なさらずに」
「そ、そう…」
いいというのなら、お願いしてしまう。だって、街を楽しめないもの。
「そう言えば俺、お前の普段着ってみたことないな。あるの?」
「騎士服が普段着のようなものですので」
…ラクシュ様は夜寝る時も、その恰好で寝てましたね。
「そうですよ。他の部署は違いますが。というか、他の部署には全くうちの一族いませんけれどね」
しれっとそういう事を言わないで欲しい。その偏り方はなんなのかしら。
「お茶を用意させますので、少々お待ちを」
食事も終わりそうなので、ラクシュ様がそう言って、命令を口にしているけれど…
「以前、グランシュネル公爵様とお話しした際に、うちの本家だけだったので問題になった、とお話ししたかと思いますが」
「そ、そうですわね」
「ですので、うちの一族でなくとも問題がない箇所に配置しています。また、うちの部署、ルーヴェリア様がいらっしゃるので…一般公募で募集した人員、という体にはしてますが…全員うちの者ですよ」
「ええぇ…俺が知らないとかなんなの」
「うっかりばらしそうなので」
「…今ばらしたのはなんでなの」
二人の話を聞いていて、本当に何故ばらしたのかわたくしも疑問だわ。
「人間関係も板につきましたし、今更うちの一族に接する様な態度にはならないでしょうしね」
「そういうモンか?」
「そういうモンです。誰が誰なのかは流石に教えませんけれど…わたくしが、部外者を貴方のお傍に置くと本気で思ったのですか」
「や、ほら。王都だしな?俺も武術極めたしな?」
「それだけで、わたくしが安心して街中を歩かせると、ほんっきで思っていたのですか」
「あーまあ、言われてみれば?」
あの時…わたくしの妹と、ラクシュ様の本家の息子であるスウェン様との結婚パーティーで、ルーヴェリア様が王太子様に結界で守られた状態でいらしたときでさえ、物凄く怒っていらしたものね。
王太子様が施す結界がどれくらいの物なのかわからないけれど…それも以前、自衛できるという話だったし。
「話が逸れましたね。まあ、そういう訳ですので…ネルアであれば、そいつらは下僕同然ですので問題ありません。私がいれば私の所までご案内するでしょうし、出ているのであれば応接室もございますのできちんと接待するでしょう」
下僕…確かにラクシュ様が王だとするなら、その妻であるわたくしも…そのように対されるのだろうけれど、それよりは…対等、というと失礼かもしれないけれど、下僕だなんてそう言う風に接したくないし、そう言う風に見たくない。
「わたくしは…レイやメイドの皆さまもだけれど、下僕だなんて人を下に見るのは好きではありませんわ。対等、せめて…お友達位には」
「だ、そうですよ。レイ」
「かしこまりました。ただ、場というものもございますので、そこはご了承いただければと」
にこりと笑ってそう言うレイ。確かにね…一応、メイドという立場ではきちんとした程度を取らないといけない場もあるのはわかるもの。そういう場合にすら友達っぽくというのは無理な話よね。だから了承すれば。
「では、当主。ネルア様と街に行く際の服、誂えてよいですか。貴族の娘が着るような物を」
「いいですよ。そもそもそこら辺は制限してないでしょう?」
「装備を考えると、統一規格の物の方が楽ではあります」
…装備。街に行く、貴族の娘が着るような服、というと流石にドレスではないけれど、なんといえばいいかしら…カントリー風な服、なのよね。メイド服と似たような感じではあるのだけれど、結構変わるものかしら。
「大変でしたら、その…無理にとはいいませんわよ」
「デザインや布地の問題ですので…そこら辺は店に任せますので、ご心配なさらずに」
「そ、そう…」
いいというのなら、お願いしてしまう。だって、街を楽しめないもの。
「そう言えば俺、お前の普段着ってみたことないな。あるの?」
「騎士服が普段着のようなものですので」
…ラクシュ様は夜寝る時も、その恰好で寝てましたね。
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