上 下
46 / 150
家へ引っ越してから

46

しおりを挟む
 結婚式の日程は、あっさりと許可された。と言っても、まだ王太子様とルーヴェリア様の結婚発表の日取りも決まっていないらしく、なんとなくこの辺り、というふんわりとした状況らしい。貴族との調整で変わるから仕方ないと、ルーヴェリア様が笑ってらしたわ。

 そうして、なんだかんだで新居というか、邸宅へと引っ越しました。と言っても、食事のたびに城へとあがらないといけないし、お后様の宮殿の部屋も残しているから、邸宅の意味って…と、思ってしまう。
 でも、キッチンは使いやすそうだったし、お風呂とかも宮殿のお部屋と遜色なくてすごかったわ。邸宅の広さは結構あって、お客様が泊る別の棟にお部屋もあるし…ラクシュ様曰く、ルーヴェリア様の居住地から直線距離で近い、とおっしゃっていたけれど…直線距離…城を囲む壁とか、結構な高さありますがいいんですか。一応兵が見回りしてますがいいんですか。と、遠い目をしてしまったわよ。

 引っ越しの初日は、朝食はお城で頂いたけれど、昼食はこちらの邸宅でいただくとお断りをしたので…メイド達と一緒に、サンドイッチを作ったわ。混ぜたり挟んだりする位だったけれど、それでも楽しい。パンの耳は、綺麗にすっぱり切り取られて、ラクシュ様にも言える事だけれど、刃物の扱い…と、茫然とするまでがセットよね。
 庭が見える応接室で、メイドのみんなと食べたわ。美味しかった。庭は整えられてはいるけれど、まだ花が咲いたものがない。ここら辺は徐々にという話だったわ。

 午後からは、わたくしの私室を見て回ったわ。意外だったのが、庭が近かった事。二階で窓からは結構離れているけれど、こう、警備の事を考えるといいのかな?と思ってしまったのよ。通りに面しているわけではないから、いいのかしら。流石にその辺りを手抜きするはずもないし、なにかしらの考えがあるのかしらね。
 ただ…ここは本当に部屋というか…ある意味書斎の様相で、応接セットはあるけれど、クローゼットもないし、もちろんベッドもない。縫物をする材料はあったけれど…本当に書斎ね、うん。
 ではそれらはどこにあるのか、と言えば…一階の、お風呂の近くにベッドルームと、クローゼットがあったわよ。なんで!?と言ったら、利便性の問題のようです。と、レイから言われたわよ。利便性って何…
 それならラクシュ様のお部屋は何処なのかと聞けば、1階でわたくしの部屋の下に位置するらしい。なぜここなのか聞いたら、窓から直ぐに行けるからでは?と言われたけれど、意味がわからないわ。だって、行き来しやすい様にというのであれば、隣の部屋でもいいわけですし。まさか床に抜け穴とかあるのかしら。

 色々聞きたい事もあるので夕食の時間より早く…いつもであればまだ執務室で仕事をしている時間に、登城してルーヴェリア様の執務室へ行きたかったのだけれど…

「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ、っと、待ってくれ。あんた見ない顔だな」

 レイに続いて、従業員用の門を通ろうとしたら、その門を見ている兵に止められたわ。あれ。話が行っているとレイが言っていたのだけれど。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

二人の甘い夜は終わらない

藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい* 年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。

ドクターダーリン【完結】

桃華れい
恋愛
女子高生×イケメン外科医。 高校生の伊吹彩は、自分を治療してくれた外科医の神河涼先生と付き合っている。 患者と医者の関係でしかも彩が高校生であるため、周囲には絶対に秘密だ。 イケメンで医者で完璧な涼は、当然モテている。 看護師からは手作り弁当を渡され、 巨乳の患者からはセクシーに誘惑され、 同僚の美人女医とは何やら親密な雰囲気が漂う。 そんな涼に本当に好かれているのか不安に思う彩に、ある晩、彼が言う。 「彩、      」 初作品です。 よろしくお願いします。 ムーンライトノベルズ、エブリスタでも投稿しています。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

処理中です...