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宮殿での生活

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「ちなみに、書庫や遊戯室、後は貴族の婦人が利用する喫茶室などもございますが、行きたい所、ございますか」

 王様やお后様がおっしゃった書庫以外にも、遊戯室や喫茶室もあるのね。でも、貴族の婦人って…

「書庫は行ってみたいですが、喫茶室は他のご婦人もご利用なさるの?」
「場合によります。お后様がお招きした場合や、登城を命じられた者が時間まで待つ場合に使われますが、あらかじめ予約もしますので、ご一緒する事はございません」

 通路で会ったりする可能性はあるらしいけれど。今日使ったのは、王族専用というか、家族団らんする為の喫茶室だったらしく、場所はまた別にあるのだとか。

「ただ、喫茶室とはいえ、出すお茶も、お菓子も、ここと変わりませんから」

 そう言って困ったように笑う。本や、内装が整っていて、見るのは楽しいかもしれないけれど、他には特出した物はないらしい。

「ここまで戻るのが大変で、少し休みたい場合にはいいかもしれませんが」
「そうね。この宮殿は奥まっているものね。書庫は遠いのかしら」
「お后様がおっしゃった書庫は居住地にある物ですので遠くはございません。ある意味執務室の下に位置します」

 あら。それなら近いわね。確かにお后様が刺繍の図案とおっしゃっていたし、遠い所にあるのでは大変だものね。

「王家の秘匿する情報ですとか、そういった歴史に関してはそこへと納められていますので…我が一族の成り立ち等もございますよ」
「そう、なのですか?それはわたくしが読んでもいい物なのですか?」
「当主の妻であられるネルア様には読んでいただきたいものではありますが…」

 かなりショッキングな事もありのまま書かれているから、そういった事が無理そうなら止めた方がいいと言われたわ。でも…

「ショッキング、といいますと」
「魔力なしに付いた筆頭護衛騎士の死にざまとかですね」

 そういえば、ルーヴェリア様とラクシュ様が、ラクシュ様が死んだ時の死体が見られない、と…綺麗に首が飛んでいればいい、とか…そんな事を言っていたわね。

「だから、遺髪…」
「?遺髪、とは?」
「あ、旦那様の髪を、ルーヴェリア様が遺髪として持っておきたいとおっしゃっていたので」

 と、そう言うと、なぜかレイはげんなりしていた。え、どうしたの。

「遺髪がどうとか言う前に、当主が落ちたら次はルーヴェリア様の命が危ないという事なのですが」
「そ、そうね。ですが、その為にわたくしがいるのでは」
「それはそうですが、心配する順序といいますか」

 確かにそうよね。言われるまで気が付かなかったけれど。
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