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宮殿での生活
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邸宅の改修が終わって、荷物の移動をメイド総出で行っていた日。いつもの様に朝食を3人一緒に摂っていたら、ノックをされて入って来たのは…執事?見たことない人だわ。ラクシュ様が対応していたけれど、何やら手紙を渡されて見ている?
「ルーヴェリア様。王とお后様より、本日午後にお茶のご招待を頂きました。都合も特に問題ありませんので、そう返答してよろしいですか」
「ん」
「と、いうことですのでお願いします」
ラクシュ様がそう答えると、分かりました。と言って出て言ったけれど…王様かお后様の執事よね。そんな軽く返していいの?
「ネルアも一緒に招待されてますから、一緒にいきますよ」
「わ、わたくしもですか?」
それならそうと、あの執事がいる間にそう言って欲しかったわよ!一応食事の手は止めていたけれど、普通はご招待されたら形式に則って返答すべきじゃ…
「アレもうちの一族ですので問題ありませんよ」
そういう問題ではないような気がしますが。
「それと、ルーヴェリア様。何かお菓子を持ってくるようにともありますので、何かリクエストあれば聞きますよ」
「んーそうだなぁ。芋のキッシュがいい。甘みが強いやつ」
「それですと、甘みが強いと言ってもお菓子にはならない気がしますが…まあいいでしょう。せっかくなので、ネルアにも手伝っていただきたいのですが」
「は、はい」
ラクシュ様に言われて思わず返事をしてしまったけれど…そのお菓子が王族の口に入ると考えたら、手伝うだけとは言え…怖いわ。
「後は、午前中に作りますので、ルーヴェリア様は書類でも片付けていてください」
「うわぁ…今日やらなきゃだめか?」
「やっておいた方がいいですよ。どうせ後にずらしたら、後日大変な思いをするのはルーヴェリア様です。今日はあれ、いませんが…あいつがいるのでなんとかなるでしょう」
ラクシュ様がそう言うと、ルーヴェリア様は嫌そうに分かったというけれど…
「あの、旦那様。今更ですがよろしいですか」
「なんです?」
「よく、あれとかお前、と呼んでらっしゃいますが…良くそれで通じますわね」
そう言うと、きょとんとされましたよ。
「こいつがあれっていうのはいないヤツの事で、あいつはいるヤツの事だし、後はその能力とかで判断できるしなぁ。そもそもそいつの一族、本当の名前は王族に預けるものだから、偽名かそうやって呼ばないかの二択しかなくてな」
「ああ。そうですね。私の場合命令系統あるので、お前と呼びつつそいつに向けて発すれば、向けられた先が…感知するので問題ないんです」
確かに王族にお名前を預けているから呼べないのは分かるけれど、毎回フルネームで呼ぶのは大変だからそうなるのね。では、ラクシュ様からならいいけれど、仲間内なら?と聞けば、それは偽名を呼ぶのだとか。
「では、ラクシュ様が偽名を呼ばないのは何故ですか?」
「私、本名呼びしてもいいので、偽名を覚えていません」
「…いいのですか?」
「当主なので」
ああ…そういえば、一族内で言えば、王なのでしたね。
「本名呼びしてもいいんですが、他の者がそれで呼んでしまった場合危険なのと、命令系統があるので必要ないという理由でそうなってますね」
「ですが…よくルーヴェリア様は困りませんね」
「こいつが使う人員、俺も分かってるからな。あとはなんとなく。新しいヤツならしっかり顔を覚えさせられるし」
「知らない人員なら、誰だお前って言う様にさせてます。言った事あります?」
「今の所ないな。そもそも俺と顔合わせしてないヤツが、俺に近寄るはずないだろが」
お前怖いし。って…どういうことなんですか、ルーヴェリア様。まさか、ラクシュ様は一族にも怒るんですか。
「技術が伴っていない者が、ルーヴェリア様のお傍にあるだなんて、許しませんから」
なんだか、存在する事すら否定されたような気がしました。
「ルーヴェリア様。王とお后様より、本日午後にお茶のご招待を頂きました。都合も特に問題ありませんので、そう返答してよろしいですか」
「ん」
「と、いうことですのでお願いします」
ラクシュ様がそう答えると、分かりました。と言って出て言ったけれど…王様かお后様の執事よね。そんな軽く返していいの?
「ネルアも一緒に招待されてますから、一緒にいきますよ」
「わ、わたくしもですか?」
それならそうと、あの執事がいる間にそう言って欲しかったわよ!一応食事の手は止めていたけれど、普通はご招待されたら形式に則って返答すべきじゃ…
「アレもうちの一族ですので問題ありませんよ」
そういう問題ではないような気がしますが。
「それと、ルーヴェリア様。何かお菓子を持ってくるようにともありますので、何かリクエストあれば聞きますよ」
「んーそうだなぁ。芋のキッシュがいい。甘みが強いやつ」
「それですと、甘みが強いと言ってもお菓子にはならない気がしますが…まあいいでしょう。せっかくなので、ネルアにも手伝っていただきたいのですが」
「は、はい」
ラクシュ様に言われて思わず返事をしてしまったけれど…そのお菓子が王族の口に入ると考えたら、手伝うだけとは言え…怖いわ。
「後は、午前中に作りますので、ルーヴェリア様は書類でも片付けていてください」
「うわぁ…今日やらなきゃだめか?」
「やっておいた方がいいですよ。どうせ後にずらしたら、後日大変な思いをするのはルーヴェリア様です。今日はあれ、いませんが…あいつがいるのでなんとかなるでしょう」
ラクシュ様がそう言うと、ルーヴェリア様は嫌そうに分かったというけれど…
「あの、旦那様。今更ですがよろしいですか」
「なんです?」
「よく、あれとかお前、と呼んでらっしゃいますが…良くそれで通じますわね」
そう言うと、きょとんとされましたよ。
「こいつがあれっていうのはいないヤツの事で、あいつはいるヤツの事だし、後はその能力とかで判断できるしなぁ。そもそもそいつの一族、本当の名前は王族に預けるものだから、偽名かそうやって呼ばないかの二択しかなくてな」
「ああ。そうですね。私の場合命令系統あるので、お前と呼びつつそいつに向けて発すれば、向けられた先が…感知するので問題ないんです」
確かに王族にお名前を預けているから呼べないのは分かるけれど、毎回フルネームで呼ぶのは大変だからそうなるのね。では、ラクシュ様からならいいけれど、仲間内なら?と聞けば、それは偽名を呼ぶのだとか。
「では、ラクシュ様が偽名を呼ばないのは何故ですか?」
「私、本名呼びしてもいいので、偽名を覚えていません」
「…いいのですか?」
「当主なので」
ああ…そういえば、一族内で言えば、王なのでしたね。
「本名呼びしてもいいんですが、他の者がそれで呼んでしまった場合危険なのと、命令系統があるので必要ないという理由でそうなってますね」
「ですが…よくルーヴェリア様は困りませんね」
「こいつが使う人員、俺も分かってるからな。あとはなんとなく。新しいヤツならしっかり顔を覚えさせられるし」
「知らない人員なら、誰だお前って言う様にさせてます。言った事あります?」
「今の所ないな。そもそも俺と顔合わせしてないヤツが、俺に近寄るはずないだろが」
お前怖いし。って…どういうことなんですか、ルーヴェリア様。まさか、ラクシュ様は一族にも怒るんですか。
「技術が伴っていない者が、ルーヴェリア様のお傍にあるだなんて、許しませんから」
なんだか、存在する事すら否定されたような気がしました。
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