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宮殿での生活

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 夜。いつもの様にお風呂へ入り、脱衣所へそっと顔を覗かせて、誰もいないことを確認してから行く。そして手早くバスタオルで身体を拭いて、下着へと手を伸ばしてさっさと着よう、

「もう少し堪能させてください」
「ひっ」

 ちょっと、だからなんでそうやってノックもせずに入ってくるのよ!

「まるで暗殺者でも出た様な声で驚かなくても」

 ラクシュ様は、こっちが驚いたとでも言うようなキョトンとした顔でそんなこと言うけれど、貴方が神出鬼没なのがいけないのよ!?思わずバスタオルで身体を隠せば、くすくすと笑われる。

「どうせなので、昨日調整した感想と、まだ変えたいところがあるならお伺いしますよ?」
「…よく、できますわね。こんな事」

 ラクシュ様は、私の驚きとか、恥ずかしさを全く意に介していないのか、にこりといつもと変わらない表情で笑ってそう言う。気にしてるのはわたくしだけなのかしら…
 昨夜、身体のライン…主に腰のラインを、ラクシュ様曰く調整したとの事だけど、確かに理想のラインになったわよ。でも長年の悩みがこうも簡単に治るものなの?

「簡単かと言われると人によるとしか言えませんが、レイも可能ではございますよ」
「そうなのですか?」
「風呂の世話をさせていただければ、常に万全な様にして差し上げますよ。何なら私が今からでもしましょうか?」

 いやいや、何言ってるのこの人!?風呂の世話って、身体洗ったりよね。いくら旦那とはいえ男性に身体に触れられるとか…まあ、やることやってるしお風呂にも入れられてるから今更だけれど。

「明日からレイに頼みます」
「そうですか?残念です」

 ラクシュ様は、そういう事を言っても、何だかエッチな感じがしないのはなぜかしら。

「ああ、ただ、そうですね。ネルアの場合習慣化した癖での骨格になっていた様にも思えますので、しばらくはレイに念入りにメンテナンスするように伝えておきます」
「…癖、ですか」
「ええ。しっかりメンテナンスしていればそのうちそれが普通になりますので、癖も治ります。お任せしていただけますね?」

 言いながら、棚に用意されていた下着に手を付けないで!と慌てれば、

「我が君をお世話するのと変わりありませんし」

 想像通り、王族はそうなのねと思うけれど、ルーヴェリア様と一緒にされても。

「…恥ずかしいので、嫌ですの」
「脱がせるのも着せるのも同じでは?」
「…同じ、かもしれませんが、嫌です」

 そう言って、ラクシュ様の目をそっと伺い見れば、困ったような顔をされた。

「仕方ありませんね。では、部屋でお待ちしています」

 そう言って出ていくけれど…その姿が余りにも哀愁漂うというか、しょんぼりした感じがしたから、ちょっと悪かったかしらと思ったのだけれど…

「爪のお手入れしましょう」

 着替えて部屋に行ったら、手入れの道具を一式揃えて満面の笑みでソファに待機していたラクシュ様がいて、鋼メンタルかと思わず突っ込みを入れてしまっても、悪くはないと思う。
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