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宮殿での生活
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翌朝。今朝も、ラクシュ様はすでにいなかった。それはそうよね。ルーヴェリア様の用意とかするのだものね。寂しい訳ではないわよ。断じて。
今朝もレイに手伝われて用意をして、向かう。
「今日は、ジョセフィーヌ嬢へ会いに行きましょうか。許可が下りましたので」
朝食を取りながら、ラクシュ様に言われるけれど…ジョセフィーヌ嬢か。ルーヴェリア様の婚約者を決めるパーティーでは、お茶をしていた様に思う。遠目でもはっきりわかる赤い髪が綺麗だったわね。
「それでは、着替えたほうがよろしいですわね」
「いえ、そのままで構いませんよ」
いくらなんでも駄目な気がしますが。
「一応、今のネルアの役職が、上級メイドになるので、いいんです。貴族の令嬢の話し相手というのも、含まれますので」
上級メイドで、配属先がラクシュ様の傍付、という事らしい。ラクシュ様の傍付とは言われていたけれど、なるほど。
朝食を終え、執務室へと行くと、ラクシュ様はジョセフィーヌ嬢付きのメイドを呼んでくるといって出て行ってしまった。今日はあの執事の人とか、他にもちらほらと人がいる。皆ラクシュ様の一族なのだとか。今日は書類仕事を片付ける予定だから、書記官をたくさん用意したそうで。
あの執事の人がそれぞれ紹介してくれたけれど、実際はそこまで接する事もないでしょう。と言われてしまった。でも、挨拶は必要よね。
しばらくして、ノックがされて入って来たのは、メイド。あ、ラクシュ様と同じ目の色だわ。
「ぶふっ」
「ジョセフィーヌ様付のクリスでございます。ルーヴェリア様の筆頭護衛騎士様よりご案内を申し付けられました」
よろしくお願いします。と、言われるけれど…あの、ルーヴェリア様。なぜ吹き出して笑っているのですか?
「…あの」
「いや、っく…なんでもない。行ってこい、ぶっふ」
…えぇと…なんだかよくわからないけれど、笑いをこらえて苦しそうなルーヴェリア様に行って来いと言われたので、レイと一緒にクリスさんに案内されて、ジョセフィーヌ様のお部屋へと向かう。
宮殿への入り口を入って、通路を曲がって行く。結構入り乱れている通路で、わたくしの部屋へ向かう道とは違って、迷ってしまいそう。案内してくれているクリスさん曰く、男性を簡単に侵入させないためにそうなっているのだとか。
…わたくしの部屋までそんなに難しくないのはなぜなのかしら。そして、簡単に侵入されてますが、どなたへ苦情を言えばいいのでしょうか。
そんな事を考えているうちに、たどり着いたドア。ノックをして入れば、ドアを開けたのはメイドで。けれど、すぐそばに、真っ赤な髪をゆるくまとめた女性。
「ようこそおいで下さいました。ジョセフィーヌ=クラムト=ハフマンと申します」
綺麗なカーテシーをして、そう自己紹介をしていただいたので、わたくしも同じように返す。ソファへと案内されて座ると、すぐにお茶が用意された。
「先に、謝っておきますわ。わたくし、こういうお付き合いをしてこなかったものですから、慣れていませんの」
「まあ。そうなのですか?それでしたら私もです。小さい領地なもので」
お財布事情が、と、困ったように笑う。確かに、ルーヴェリア様との出会いも、出稼ぎに来て、と言うお話でしたしね。
普通、こういうお茶会では、カップを褒めたり菓子の話題、その時のドレスやアクセサリーを褒めたり…そういう話題を繰り広げるのだけれど、わたくしはお仕着せですし…カップやドレスを褒めるのは、どうすればいいのかわからない。
ただ、まずは…
「失礼ですが、お名前でお呼びしても?わたくしも、ネルアとお呼びください」
「そうですね。私は、どうぞジョゼと」
「よろしいのですか?」
「ええ。長い付き合いになると思いますし…兄弟はもちろん、領地でもそう呼ばれていましたから」
そう言って笑うジョセフィーヌ様に、わたくしも笑って返す。ルーヴェリア様とジョセフィーヌ様とのデートに、警護という名が付いたデートをするのだし、確かに長い付き合いになりそう。
まだ分からないけれど、あまり貴族っぽい感じはしないし…お友達になれるといいけれど、歳は一つ上だし、立場的にも上になるだろうから、余り失礼にならない様に注意しないといけないわね。
今朝もレイに手伝われて用意をして、向かう。
「今日は、ジョセフィーヌ嬢へ会いに行きましょうか。許可が下りましたので」
朝食を取りながら、ラクシュ様に言われるけれど…ジョセフィーヌ嬢か。ルーヴェリア様の婚約者を決めるパーティーでは、お茶をしていた様に思う。遠目でもはっきりわかる赤い髪が綺麗だったわね。
「それでは、着替えたほうがよろしいですわね」
「いえ、そのままで構いませんよ」
いくらなんでも駄目な気がしますが。
「一応、今のネルアの役職が、上級メイドになるので、いいんです。貴族の令嬢の話し相手というのも、含まれますので」
上級メイドで、配属先がラクシュ様の傍付、という事らしい。ラクシュ様の傍付とは言われていたけれど、なるほど。
朝食を終え、執務室へと行くと、ラクシュ様はジョセフィーヌ嬢付きのメイドを呼んでくるといって出て行ってしまった。今日はあの執事の人とか、他にもちらほらと人がいる。皆ラクシュ様の一族なのだとか。今日は書類仕事を片付ける予定だから、書記官をたくさん用意したそうで。
あの執事の人がそれぞれ紹介してくれたけれど、実際はそこまで接する事もないでしょう。と言われてしまった。でも、挨拶は必要よね。
しばらくして、ノックがされて入って来たのは、メイド。あ、ラクシュ様と同じ目の色だわ。
「ぶふっ」
「ジョセフィーヌ様付のクリスでございます。ルーヴェリア様の筆頭護衛騎士様よりご案内を申し付けられました」
よろしくお願いします。と、言われるけれど…あの、ルーヴェリア様。なぜ吹き出して笑っているのですか?
「…あの」
「いや、っく…なんでもない。行ってこい、ぶっふ」
…えぇと…なんだかよくわからないけれど、笑いをこらえて苦しそうなルーヴェリア様に行って来いと言われたので、レイと一緒にクリスさんに案内されて、ジョセフィーヌ様のお部屋へと向かう。
宮殿への入り口を入って、通路を曲がって行く。結構入り乱れている通路で、わたくしの部屋へ向かう道とは違って、迷ってしまいそう。案内してくれているクリスさん曰く、男性を簡単に侵入させないためにそうなっているのだとか。
…わたくしの部屋までそんなに難しくないのはなぜなのかしら。そして、簡単に侵入されてますが、どなたへ苦情を言えばいいのでしょうか。
そんな事を考えているうちに、たどり着いたドア。ノックをして入れば、ドアを開けたのはメイドで。けれど、すぐそばに、真っ赤な髪をゆるくまとめた女性。
「ようこそおいで下さいました。ジョセフィーヌ=クラムト=ハフマンと申します」
綺麗なカーテシーをして、そう自己紹介をしていただいたので、わたくしも同じように返す。ソファへと案内されて座ると、すぐにお茶が用意された。
「先に、謝っておきますわ。わたくし、こういうお付き合いをしてこなかったものですから、慣れていませんの」
「まあ。そうなのですか?それでしたら私もです。小さい領地なもので」
お財布事情が、と、困ったように笑う。確かに、ルーヴェリア様との出会いも、出稼ぎに来て、と言うお話でしたしね。
普通、こういうお茶会では、カップを褒めたり菓子の話題、その時のドレスやアクセサリーを褒めたり…そういう話題を繰り広げるのだけれど、わたくしはお仕着せですし…カップやドレスを褒めるのは、どうすればいいのかわからない。
ただ、まずは…
「失礼ですが、お名前でお呼びしても?わたくしも、ネルアとお呼びください」
「そうですね。私は、どうぞジョゼと」
「よろしいのですか?」
「ええ。長い付き合いになると思いますし…兄弟はもちろん、領地でもそう呼ばれていましたから」
そう言って笑うジョセフィーヌ様に、わたくしも笑って返す。ルーヴェリア様とジョセフィーヌ様とのデートに、警護という名が付いたデートをするのだし、確かに長い付き合いになりそう。
まだ分からないけれど、あまり貴族っぽい感じはしないし…お友達になれるといいけれど、歳は一つ上だし、立場的にも上になるだろうから、余り失礼にならない様に注意しないといけないわね。
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