12 / 150
宮殿での生活
12
しおりを挟む
「こちらがメインの調理場で、私共が使う調理場は、こちらです。忙しい時間でも使えるようになってますし、なんなら私共の休憩場所にもなります」
「休憩場所ですか。そういえばレイって食事とかどうなさってますの?ちゃんと召し上がってます?」
今更ながらにそのことに気が付いた。領での今までは、わたくしの話し相手として一日中ついている訳ではなかったから、空いた時間に食べていると思っていたけれど…レイって基本的にずっとそばにいるから。今もただ静かに後ろについて来ているレイに聞けば。
「給湯室にも用意ございますし、ご心配には及びません」
「そう…それなら、いいですわ。ごめんなさい、気が付かなくて」
そう言えば、レイはにこりと笑う。ラクシュ様は、意外と合間に取っているから大丈夫だと言って笑う。
「さて、では、材料ですが、一応食材は料理人が使うものと同じものを使えるようになっています。ただ、食材に毒を仕掛けられる事もなくはないので、うちの者と一緒に来る方が無難ですね」
「………」
「食材に毒を仕掛ける場合は、嫌がらせなので、下剤とかそういう物が大半で、そこまで酷いモノは使われませんが」
いえ、下剤って…嫌がらせと言えばそうだけれど…日本なら食中毒かと騒ぎになるやつでは。毒ではなくて、そちらの可能性はないのかしらと思って聞けば、食材の管理は徹底しているし、それに…
「手洗いはもちろんですが、こちらにこういった道具がございまして」
と、手洗いの場所のすぐ隣に箱。ラクシュ様が手を入れているけれど、これは…
「クリーンの魔術が常時発動している魔術道具です」
「そんな物がございますの?」
「王都では魔術が使えませんからね。こういった道具も様々ありますが…ご興味あるようなら、冊子用意しましょう」
「はい。お願いいたしますわ」
なんだか家電道具みたいで楽しそう。魔術が使えないからと今まで遠ざけていたけれど、もう少し勉強しておけばよかったと今更ながらに思う。
「では、そうですね。フルーツは召し上がってましたので…」
そう言って、卵と、ロールパンを持ち出している。食材を置いている場所は結構広いし綺麗に整えられていた。
調理台で調味料と卵を混ぜて、コンロ…これは炭を魔術道具でコントロールしているそうで煤が出ないらしい。火力をコントロールはしてくれないみたいで、火箸で調節してたわ。
ラクシュ様はあっという間にロールサンドを作っていた。色どりが、と言って、レタスを挟んでいたけれど、そのレタスは調理場の下が冷蔵庫になっているらしく、そこから取り出していたわ。こうしてみると、設備は意外と日本と近いのかしら。領では設備が遅れていると思ったけど、もしかしたら魔術ありきの設備だったのかもしれない。
料理したいなんて言っても、叱られるか咎められるから、そこまで聞けなかったのよね。
そうしてそれを執務室へと持って行くと、何故かルーヴェリア様がソファで待機していたわ。
「ただサボっていただけでしょう」
そのルーヴェリア様を見て、そう言ったのはラクシュ様だ。まあ、休憩は必要、ですよね。うん。
ロールサンド、何気にたくさんあるなと思ったら、わたくし達の分もあったらしい。ルーヴェリア様は2個で、わたくし達は1個ずつ。お茶を飲みながら頂いたけれど、卵がふわふわで、しっかり味つけされていておいしい。
「ネルア。味はどうですか?」
「すごく美味しいですわ」
「それはよかったです」
にこりと笑う顔は、とても優しい感じがして安心する。
「休憩場所ですか。そういえばレイって食事とかどうなさってますの?ちゃんと召し上がってます?」
今更ながらにそのことに気が付いた。領での今までは、わたくしの話し相手として一日中ついている訳ではなかったから、空いた時間に食べていると思っていたけれど…レイって基本的にずっとそばにいるから。今もただ静かに後ろについて来ているレイに聞けば。
「給湯室にも用意ございますし、ご心配には及びません」
「そう…それなら、いいですわ。ごめんなさい、気が付かなくて」
そう言えば、レイはにこりと笑う。ラクシュ様は、意外と合間に取っているから大丈夫だと言って笑う。
「さて、では、材料ですが、一応食材は料理人が使うものと同じものを使えるようになっています。ただ、食材に毒を仕掛けられる事もなくはないので、うちの者と一緒に来る方が無難ですね」
「………」
「食材に毒を仕掛ける場合は、嫌がらせなので、下剤とかそういう物が大半で、そこまで酷いモノは使われませんが」
いえ、下剤って…嫌がらせと言えばそうだけれど…日本なら食中毒かと騒ぎになるやつでは。毒ではなくて、そちらの可能性はないのかしらと思って聞けば、食材の管理は徹底しているし、それに…
「手洗いはもちろんですが、こちらにこういった道具がございまして」
と、手洗いの場所のすぐ隣に箱。ラクシュ様が手を入れているけれど、これは…
「クリーンの魔術が常時発動している魔術道具です」
「そんな物がございますの?」
「王都では魔術が使えませんからね。こういった道具も様々ありますが…ご興味あるようなら、冊子用意しましょう」
「はい。お願いいたしますわ」
なんだか家電道具みたいで楽しそう。魔術が使えないからと今まで遠ざけていたけれど、もう少し勉強しておけばよかったと今更ながらに思う。
「では、そうですね。フルーツは召し上がってましたので…」
そう言って、卵と、ロールパンを持ち出している。食材を置いている場所は結構広いし綺麗に整えられていた。
調理台で調味料と卵を混ぜて、コンロ…これは炭を魔術道具でコントロールしているそうで煤が出ないらしい。火力をコントロールはしてくれないみたいで、火箸で調節してたわ。
ラクシュ様はあっという間にロールサンドを作っていた。色どりが、と言って、レタスを挟んでいたけれど、そのレタスは調理場の下が冷蔵庫になっているらしく、そこから取り出していたわ。こうしてみると、設備は意外と日本と近いのかしら。領では設備が遅れていると思ったけど、もしかしたら魔術ありきの設備だったのかもしれない。
料理したいなんて言っても、叱られるか咎められるから、そこまで聞けなかったのよね。
そうしてそれを執務室へと持って行くと、何故かルーヴェリア様がソファで待機していたわ。
「ただサボっていただけでしょう」
そのルーヴェリア様を見て、そう言ったのはラクシュ様だ。まあ、休憩は必要、ですよね。うん。
ロールサンド、何気にたくさんあるなと思ったら、わたくし達の分もあったらしい。ルーヴェリア様は2個で、わたくし達は1個ずつ。お茶を飲みながら頂いたけれど、卵がふわふわで、しっかり味つけされていておいしい。
「ネルア。味はどうですか?」
「すごく美味しいですわ」
「それはよかったです」
にこりと笑う顔は、とても優しい感じがして安心する。
10
お気に入りに追加
285
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる