上 下
6 / 150
序章

6

しおりを挟む
「…会いたくないわ」

 いつも、お仕着せを着て、出勤というか、ルーヴェリア様とラクシュ様とで一緒に朝食を食べるべく向かうのだけれど…今日は行きたくない。というか、ラクシュ様とどんな顔をして会えばいいのか…

「欠席すると連絡しても、押しかけてきますよ」
「え!?」
「抱きつぶして壊したかと心配して」
「え…」
「あれだけまったりタイムしておいてそれはないでしょうにねぇ」

 なんだかレイの言葉にわたくしの心が耐えられない…!というか…抱きつぶすとか、ただの作り話かと思っていたのだけれど…まさか本当にあるの…

「さ、行きますよ。嫌な事はさっさと済ませる方がよいですよ」

 嫌というか…恥ずかしいだけよとは言えないわ。



 レイがノックをして、そうして食事の部屋へと入れば…ルーヴェリア様がげんなりした顔をしている!?
 部屋を見回すと、ルーヴェリア様しかいないから…ラクシュ様が食事を取りに行ったのかしら。ルーヴェリア様をお一人にしておくことはしないと思っていたのだけれど…

「…おはようございます」
「おーおはよう」
「お疲れですか?あ、二日酔いでしょうか」

 そういえば、余りアルコールに強くないと、ラクシュ様が言っていたわね。二日酔いのルーヴェリア様を叩き起こして、剣でふるぼっこにするとか、王族に対してそれはどうなのかと思われる事を言っていたことまで思い出して聞けば、すごく嫌そうな顔をする。

「それもあるが、あいつ、いつになく上機嫌でなぁ…もうヤった?っ、いってぇ」

 今、何もない空間から、トレイが飛んで来て、ルーヴェリア様の頭に当たったのだけれど…怪奇現象!?
 …というか…そっちの話がラクシュ様の態度で筒抜けってちょっといたたまれないのだけれど…

「まったく…油断するとすぐこれですからね。ネルア、おはようございます。キスしていいですか?」
「え、いえ、あの、」

 今どこから現れたの!?ルーヴェリア様の近くに急に湧いて出たわよ!?しかも流れる様にキスしていいかと聞かれるとかちょっと空気というか、場所を考えて欲しい。この場には、高貴な方…というか、ラクシュ様の主様がいらっしゃるというのに、その方の目の届く場所でそれとかどうなの…

「俺もジョセフィーヌに会いたいというのに。あーあと二か月もあるんだぞ」
「ご希望でしたらお連れしますが」
「バレたら意味がないだろが」
「バレなければいいんですよ」

 ルーヴェリア様、そこで残念がっていないで、止めてくださいませんか。と、そう願うも、とんでもない方向へ…確かに昨日ラクシュ様は男子禁制のわたくしの部屋に来ましたが、駄目でしょう。バレなければいいとかそういう問題ではないと思うのですが。

「で、キスしていいですよね、では失礼して」
「え、ちょ、んっ」

 軽く現実逃避していたら、質問という体をすっ飛ばして、強制的な方向に切り替えられて、キスされていた。しかも舌…ルーヴェリア様もいらっしゃるというのに、こんなの、嫌。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

二人の甘い夜は終わらない

藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい* 年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。

ドクターダーリン【完結】

桃華れい
恋愛
女子高生×イケメン外科医。 高校生の伊吹彩は、自分を治療してくれた外科医の神河涼先生と付き合っている。 患者と医者の関係でしかも彩が高校生であるため、周囲には絶対に秘密だ。 イケメンで医者で完璧な涼は、当然モテている。 看護師からは手作り弁当を渡され、 巨乳の患者からはセクシーに誘惑され、 同僚の美人女医とは何やら親密な雰囲気が漂う。 そんな涼に本当に好かれているのか不安に思う彩に、ある晩、彼が言う。 「彩、      」 初作品です。 よろしくお願いします。 ムーンライトノベルズ、エブリスタでも投稿しています。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

処理中です...