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一章:キャンプ道具ではなく、イケメンを手に入れた
***ラスウルside:一目ぼれ***
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※※※注意※※※
ヒーローがむっつりというか、感情が表に出ないタイプなので、澄ました顔の下がちょっとアレなので、紳士でイケメンご希望の方は読まない方が良い様な。
***ラスウルside***
神の訪れは突然だとは聞いていたし、手首につけている腕輪から音が鳴るのだと聞いていたが、本当に突然…しかも剣の鍛錬中に鳴るとは。
前任者から、マジックバックの容量はあるのだからと、正装を常に用意しておけと言われていて良かった。早着替えの練習もしていて良かった。部屋に飛んですぐに着替え、身体を綺麗にする魔法で身繕いして待たせる事なく聖域の扉の前に飛んだ。
そうして、扉を開いて目にした女性のなんと美しい事か!その佇む姿を見て目を奪われてしまった。
服装は、男の恰好ではあったが、かの国では珍しくはないらしいし、この世界でもズボンを履く女性がいない訳ではない。けれど…その体型から、女性であることは一目瞭然で。
黒髪で、背に流れている為に長さは分からないが、ストレートの髪。眉の上で切りそろえられた前髪の下にあるくりっとした大きな目は驚いたのか大きく開かれた後でとろりと緩む。
そして、その頬が赤く色づくと共に、うっすらと開かれた唇から吐息がこぼれる。ああ、ぷっくりとした唇はなんて魅力的な…今すぐむしゃぶりつきたい位だ。
ああ、いかん。いくらなんでも初対面の女性にこんな…しかし、その豊かな胸も、ぴったりとしたズボンからうかがえる肢体も、とても……ああ、こらえろ…!
「初めまして。ラスウルと申します。貴女様がこちらで活動するにあたり、世話役が付く事は聞いておりますか?」
まずは挨拶。だが、全く反応がなく、不安になる。
「…私の声、聞こえていますか」
「は、はい!すみません。見惚れてました聞き惚れてました!ある程度は聞いてます…」
再び声を掛ければ、うれしい答えが返って来た。見惚れて、という事は…この顔が好みだということだろう。それは僥倖。踊りだしたい位だが、それよりも。
「ある程度…ではその確認をさせていただきたいのですが、その前にお傍に寄ってもよろしいでしょうか」
「は、はい」
断ってから傍に寄れば、手をもじもじとさせて落ち着かない様子。顔を赤く染めるその表情も、すごくいい…そんな不埒な事を考えつつも、傍に寄って片膝をついた。下から見上げれば、視線が彷徨う。そんな表情も、とても愛らしい。
「お手をよろしいでしょうか」
「…手、ですか」
ただの形式に則っただけの誓い。けれど。
「ラスウル・ガーグル・ノヴェシュタイン、貴女様をお守りすると誓います」
「ひぇっ」
差し出された手を取り、その柔らかな感触にぞくりとした。重ねられたその手の甲に唇を寄せて、キスをしたふりをする。その綺麗な手に唇を押し当ててしまいたかったが、こういう事は日常的ではないと聞いているから、抑えた。漏れ出た声を聞いて、やはり抑えてよかったかとほっとする。
重ねられた手から、そっと手を離す。離し難かったが…いつまでも手を握っているのも良くない。
なにより、離さなければそのまま引き寄せて閨に連れ去ってしまいたい。いや、だから落ち着け自分。
双方の認識のすり合わせと目的を聞けば、野営をしたいのだという。こんな魅力的な女性を、誰かの目につく…しかも、野営などという安全ではない場所に晒すのは耐えられず…いくら結界で隔離出来たとしても、見られるだけで減る。この美しい女神が。だから、無人島を選んだ。
自分で選んでおいて、二人っきりの夜に自分の首を絞める事になるとは思わなかったが。
後から15歳なのだと聞いて、とても驚いた。こんなにも色香があるのに、未成年だとは。それに…この国は、かの国と同様に20歳で成人としている。私は23だが、これでは手が出せぬではないか。
ヒーローがむっつりというか、感情が表に出ないタイプなので、澄ました顔の下がちょっとアレなので、紳士でイケメンご希望の方は読まない方が良い様な。
***ラスウルside***
神の訪れは突然だとは聞いていたし、手首につけている腕輪から音が鳴るのだと聞いていたが、本当に突然…しかも剣の鍛錬中に鳴るとは。
前任者から、マジックバックの容量はあるのだからと、正装を常に用意しておけと言われていて良かった。早着替えの練習もしていて良かった。部屋に飛んですぐに着替え、身体を綺麗にする魔法で身繕いして待たせる事なく聖域の扉の前に飛んだ。
そうして、扉を開いて目にした女性のなんと美しい事か!その佇む姿を見て目を奪われてしまった。
服装は、男の恰好ではあったが、かの国では珍しくはないらしいし、この世界でもズボンを履く女性がいない訳ではない。けれど…その体型から、女性であることは一目瞭然で。
黒髪で、背に流れている為に長さは分からないが、ストレートの髪。眉の上で切りそろえられた前髪の下にあるくりっとした大きな目は驚いたのか大きく開かれた後でとろりと緩む。
そして、その頬が赤く色づくと共に、うっすらと開かれた唇から吐息がこぼれる。ああ、ぷっくりとした唇はなんて魅力的な…今すぐむしゃぶりつきたい位だ。
ああ、いかん。いくらなんでも初対面の女性にこんな…しかし、その豊かな胸も、ぴったりとしたズボンからうかがえる肢体も、とても……ああ、こらえろ…!
「初めまして。ラスウルと申します。貴女様がこちらで活動するにあたり、世話役が付く事は聞いておりますか?」
まずは挨拶。だが、全く反応がなく、不安になる。
「…私の声、聞こえていますか」
「は、はい!すみません。見惚れてました聞き惚れてました!ある程度は聞いてます…」
再び声を掛ければ、うれしい答えが返って来た。見惚れて、という事は…この顔が好みだということだろう。それは僥倖。踊りだしたい位だが、それよりも。
「ある程度…ではその確認をさせていただきたいのですが、その前にお傍に寄ってもよろしいでしょうか」
「は、はい」
断ってから傍に寄れば、手をもじもじとさせて落ち着かない様子。顔を赤く染めるその表情も、すごくいい…そんな不埒な事を考えつつも、傍に寄って片膝をついた。下から見上げれば、視線が彷徨う。そんな表情も、とても愛らしい。
「お手をよろしいでしょうか」
「…手、ですか」
ただの形式に則っただけの誓い。けれど。
「ラスウル・ガーグル・ノヴェシュタイン、貴女様をお守りすると誓います」
「ひぇっ」
差し出された手を取り、その柔らかな感触にぞくりとした。重ねられたその手の甲に唇を寄せて、キスをしたふりをする。その綺麗な手に唇を押し当ててしまいたかったが、こういう事は日常的ではないと聞いているから、抑えた。漏れ出た声を聞いて、やはり抑えてよかったかとほっとする。
重ねられた手から、そっと手を離す。離し難かったが…いつまでも手を握っているのも良くない。
なにより、離さなければそのまま引き寄せて閨に連れ去ってしまいたい。いや、だから落ち着け自分。
双方の認識のすり合わせと目的を聞けば、野営をしたいのだという。こんな魅力的な女性を、誰かの目につく…しかも、野営などという安全ではない場所に晒すのは耐えられず…いくら結界で隔離出来たとしても、見られるだけで減る。この美しい女神が。だから、無人島を選んだ。
自分で選んでおいて、二人っきりの夜に自分の首を絞める事になるとは思わなかったが。
後から15歳なのだと聞いて、とても驚いた。こんなにも色香があるのに、未成年だとは。それに…この国は、かの国と同様に20歳で成人としている。私は23だが、これでは手が出せぬではないか。
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