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末章:魔王を倒して、それから…それから?
終話。ハッピーエンドととるか、バッドエンドととるか。それはその人次第
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◆◇◆勇者(梨々花)視点◆◇◆
とうとう、魔王とご対面…!
一応、最初の宿泊から、あの後2日かけて、ここまで来た。なんでこんなに時間が掛かったのかというと、面白い部屋がたくさんあって、何度もお茶したり見て回ったりしたから。
だって、魔王を倒すとこのお城は徐々に消えてしまうというのだから、後でじっくり見ることができないじゃない。…駄目って言われなかったし、それ位、いいよね?
そして今目の前にある、少し大きな両開きの扉。この先に、魔王がいるのだという。
「この扉の向こうに、いるのね?」
「ええ。中を確認したところ、確かに」
「えっ!危ないじゃない、大丈夫なの?」
「くすっ…問題あるようにみえますか?」
「あ…」
言われるまでもなく、みんな怪我とか、体調不良とか、そんなことはなさそうだった。ほっとして、じゃあ…と、気を取り直す。
「部屋の広さは…そう、ですね。梨々花様、召喚の間は覚えてらっしゃいますか?この世界に初めていらっしゃった、あの場所です」
「うん。覚えてる。あれくらいの広さなの?」
「ええ。ですから、入ったらすぐに歌い始めていただければ、あとはわたくしどもにお任せを」
「…うん…」
うなずくと、ローランドさんが扉に手をかけ、そっと開かれ---
◆◇◆神視点◆◇◆
さーて、魔王とご対面だけど、あっさり終わりすぎて勇者がびっくりしなければいいなぁ。
お、鬼畜眼鏡が扉に手を掛けた!そして、扉が開かれ、まずは盾の獣人、騎士、鬼畜眼鏡、最後に勇者が入場!そして、勇者が歌いだした!
じわじわと魔王…今回は霧の様な靄の様な魔王だ。それに忍び寄る騎士。その後ろから鬼畜眼鏡。盾の獣人は…勇者を守っている!
そして…勇者の歌がサビに…!一気にテンションが盛り上がり、そして~~~~鬼畜眼鏡が~~~魔法一発~~~
はい、終了。
「梨々花様、終わりましたよ」
「え…」
茫然としてる間に、勇者に接続っと。
『勇者よ、見事、仲間と力を合わせ、魔王を滅ぼしてくれましたね』
「え、あ…あなた…」
『さあ、そなたの希望を叶えましょう。このままサヴェーリアに留まりますか?それとも、輪廻へと帰りますか?輪廻へ戻るのであれば、今なら良いようにできますよ』
このまま留まったら鬼畜眼鏡に飼い殺しですよとは言えないから、しょうがない。でも、大体がさ…
「この世界にまだいたい!だって---」
『よいでしょう、それでは、サヴェーリアを楽しんでいってくださいね』
そう、留まることを選ぶんだよねえ。わからなくもないけれど。
勇者は何か言おうとしたけれど、この後の余生は、どうせ鬼畜眼鏡に捕まるだろうし、それをどうこう言えるわけもないのだから、聞くだけ無駄だし、時間も限られているから、かぶせるようにいって話をさせない。
見ることはできるけれど、イレギュラーで調整が必要でないかぎり神託はもう使えないから、助けることもできないしね。
『すべては、あなたの選択にかかっています』
そう、鬼畜眼鏡が優しい眼鏡になる可能性も…なくは、ない、といいなぁ。
◆◇◆勇者(梨々花)視点◆◇◆
「ちょ、…あれ…」
「どうかなさいましたか?」
「あ…神様、が」
「!ということは、梨々花様、この世界に残っていただけると?」
「う、うん、そう、そうね。うん」
「それはようございました!では、城に戻りましょう。魔王討伐完了の報告はもちろん、今後についても、相談しなければ」
ローランドさんは、嬉しそうに笑って、私の手を引く。なんだか、視界の隅で、アーカスさんが頭を抱えてるし…え、なんで?ノルンさんはなんか悲しそう?え、なんで?残っちゃいけなかったの?でも、ローランドさんがすごいうれしそうだから…え、なんでこう、温度差あるの?
そこからは、目まぐるしい一か月だった。
まず、魔王討伐の報告。これは、いい。でも、なんでその討伐の報告と共に、私とローランドさんが婚約することになるの!?
「婚約だなんて聞いてない!嫌よ!」
「…駄目ですか?もちろん、順序が逆になってしまったのは、謝ります。結婚、していただけますね?」
謁見の間での報告だったから、口をはさめなかったけど、部屋に戻ってから、ローランドへと言えば、膝まづくなり、指輪を差し出されて、目を丸くしてしまう。
「…返事は?”はい”以外聞きませんけれど」
「な…」
「梨々花様、諦めたほうが良いですよ。こうなったらもうどうしようもないですから」
アーカスさんがやれやれ。なんて言ってるけど、なんで…!そりゃ、優しくしてくれたり、気を使ってくれてるのかなって思ってたけど、そんな…嫌いじゃない、嫌いじゃないけど、だからって結婚…考えてもいなかったし、そりゃイケメンだけど…
「へ ん じ は ?」
「~~~~~保留でっ」
「却下です。”はい”以外、許しませんよ」
「っ…」
そう。魔王を倒した後は…ローランドさんと強制的に結婚、というイベントが発生したのだった。
結婚式用のドレスの採寸から始まり、結婚式後のパーティーで踊るダンスのレッスン、城の一室に用意されていた部屋から、ローランドさんが用意したという新居への引っ越しと、ほんと、目まぐるしい一か月だった。結婚から逃げるなんて、できなかった…だって、常に侍女や兵士がつきまとって一人になれないし…
というか、そもそもとして、ローランドさんとのイベントなんて一切発生してないよね!?何かあったかと記憶を思い出してみても、全くない。
本当に、どこでどうなってこんな事になったのか。
今思えば…あれは、神様なりのやさしさだったのかも、なんて…思っても、後の祭りだ。
『輪廻へ戻るのであれば、今なら良いようにできますよ』
今なら…輪廻へ戻してくださいと、土下座する勢いで言うのに!!!!!
とうとう、魔王とご対面…!
一応、最初の宿泊から、あの後2日かけて、ここまで来た。なんでこんなに時間が掛かったのかというと、面白い部屋がたくさんあって、何度もお茶したり見て回ったりしたから。
だって、魔王を倒すとこのお城は徐々に消えてしまうというのだから、後でじっくり見ることができないじゃない。…駄目って言われなかったし、それ位、いいよね?
そして今目の前にある、少し大きな両開きの扉。この先に、魔王がいるのだという。
「この扉の向こうに、いるのね?」
「ええ。中を確認したところ、確かに」
「えっ!危ないじゃない、大丈夫なの?」
「くすっ…問題あるようにみえますか?」
「あ…」
言われるまでもなく、みんな怪我とか、体調不良とか、そんなことはなさそうだった。ほっとして、じゃあ…と、気を取り直す。
「部屋の広さは…そう、ですね。梨々花様、召喚の間は覚えてらっしゃいますか?この世界に初めていらっしゃった、あの場所です」
「うん。覚えてる。あれくらいの広さなの?」
「ええ。ですから、入ったらすぐに歌い始めていただければ、あとはわたくしどもにお任せを」
「…うん…」
うなずくと、ローランドさんが扉に手をかけ、そっと開かれ---
◆◇◆神視点◆◇◆
さーて、魔王とご対面だけど、あっさり終わりすぎて勇者がびっくりしなければいいなぁ。
お、鬼畜眼鏡が扉に手を掛けた!そして、扉が開かれ、まずは盾の獣人、騎士、鬼畜眼鏡、最後に勇者が入場!そして、勇者が歌いだした!
じわじわと魔王…今回は霧の様な靄の様な魔王だ。それに忍び寄る騎士。その後ろから鬼畜眼鏡。盾の獣人は…勇者を守っている!
そして…勇者の歌がサビに…!一気にテンションが盛り上がり、そして~~~~鬼畜眼鏡が~~~魔法一発~~~
はい、終了。
「梨々花様、終わりましたよ」
「え…」
茫然としてる間に、勇者に接続っと。
『勇者よ、見事、仲間と力を合わせ、魔王を滅ぼしてくれましたね』
「え、あ…あなた…」
『さあ、そなたの希望を叶えましょう。このままサヴェーリアに留まりますか?それとも、輪廻へと帰りますか?輪廻へ戻るのであれば、今なら良いようにできますよ』
このまま留まったら鬼畜眼鏡に飼い殺しですよとは言えないから、しょうがない。でも、大体がさ…
「この世界にまだいたい!だって---」
『よいでしょう、それでは、サヴェーリアを楽しんでいってくださいね』
そう、留まることを選ぶんだよねえ。わからなくもないけれど。
勇者は何か言おうとしたけれど、この後の余生は、どうせ鬼畜眼鏡に捕まるだろうし、それをどうこう言えるわけもないのだから、聞くだけ無駄だし、時間も限られているから、かぶせるようにいって話をさせない。
見ることはできるけれど、イレギュラーで調整が必要でないかぎり神託はもう使えないから、助けることもできないしね。
『すべては、あなたの選択にかかっています』
そう、鬼畜眼鏡が優しい眼鏡になる可能性も…なくは、ない、といいなぁ。
◆◇◆勇者(梨々花)視点◆◇◆
「ちょ、…あれ…」
「どうかなさいましたか?」
「あ…神様、が」
「!ということは、梨々花様、この世界に残っていただけると?」
「う、うん、そう、そうね。うん」
「それはようございました!では、城に戻りましょう。魔王討伐完了の報告はもちろん、今後についても、相談しなければ」
ローランドさんは、嬉しそうに笑って、私の手を引く。なんだか、視界の隅で、アーカスさんが頭を抱えてるし…え、なんで?ノルンさんはなんか悲しそう?え、なんで?残っちゃいけなかったの?でも、ローランドさんがすごいうれしそうだから…え、なんでこう、温度差あるの?
そこからは、目まぐるしい一か月だった。
まず、魔王討伐の報告。これは、いい。でも、なんでその討伐の報告と共に、私とローランドさんが婚約することになるの!?
「婚約だなんて聞いてない!嫌よ!」
「…駄目ですか?もちろん、順序が逆になってしまったのは、謝ります。結婚、していただけますね?」
謁見の間での報告だったから、口をはさめなかったけど、部屋に戻ってから、ローランドへと言えば、膝まづくなり、指輪を差し出されて、目を丸くしてしまう。
「…返事は?”はい”以外聞きませんけれど」
「な…」
「梨々花様、諦めたほうが良いですよ。こうなったらもうどうしようもないですから」
アーカスさんがやれやれ。なんて言ってるけど、なんで…!そりゃ、優しくしてくれたり、気を使ってくれてるのかなって思ってたけど、そんな…嫌いじゃない、嫌いじゃないけど、だからって結婚…考えてもいなかったし、そりゃイケメンだけど…
「へ ん じ は ?」
「~~~~~保留でっ」
「却下です。”はい”以外、許しませんよ」
「っ…」
そう。魔王を倒した後は…ローランドさんと強制的に結婚、というイベントが発生したのだった。
結婚式用のドレスの採寸から始まり、結婚式後のパーティーで踊るダンスのレッスン、城の一室に用意されていた部屋から、ローランドさんが用意したという新居への引っ越しと、ほんと、目まぐるしい一か月だった。結婚から逃げるなんて、できなかった…だって、常に侍女や兵士がつきまとって一人になれないし…
というか、そもそもとして、ローランドさんとのイベントなんて一切発生してないよね!?何かあったかと記憶を思い出してみても、全くない。
本当に、どこでどうなってこんな事になったのか。
今思えば…あれは、神様なりのやさしさだったのかも、なんて…思っても、後の祭りだ。
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