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2章:魔王城へ向けて出発しちゃいました。
城の中は馬車で進むものなの?
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◆◇◆勇者(梨々花)視点◆◇◆
なんだか旅が進むにつれて、不安が大きくなる。昨夜なんか、うなされて、ローランドさんに泣きついちゃったし。
馬車は、アーカスさんかノルンさんが交代で馬を操るから、ローランドさんは常にいる。ノルンさんが馬車内にいる時は、気持ちが沈んでしまうと、ノルンさんに見えないように手に触れてくれたりする。アーカスさんが馬車内にいるときは、お菓子を用意してくれたり、観光地の話とかして気を紛らわせてくれる。アーカスも話してくれるけど、余り、そういう話は得意じゃないみたい。
ノルンさんは…庶民的で、下町で食べ歩きが好きなのだとか。旅が終わってから、そういうことをするのも楽しみになった。
そうして…魔王城へと到着したのだけれど…
「うわぁ…おっきいお城…」
そう、私たちが生活していた城も大きかったけれど…それよりも大きい。三倍位?縦にも横にも大きい。
「これ、魔王がいる場所を探さないといけないのよね?」
「そうですね。時間が掛かりそうですが…少し、内部の様子を見ましょう」
余りに広すぎて、時間が掛かるようならマッピングをしながら物資の補給をしたほうがいいと言う。ここまで来てこんな事になるなんて…
◆◇◆神視点◆◇◆
魔王城へ到着できてよかった。途中で本当に城へ帰る事になったら、目も当てられない。まあ、あの黒髪モノクルの人がそれを許す訳ないか。魔法はもちろん呪術とかも習う魔術師だし、魔王がどういったものかわかってるはずだし…そもそも、アレ、末端だけど王族だしね。おそらく一般人よりしっかりみっちり教育されているはずで。
今回は広いだけで、迷路みたいにはなってない城だから、そんなに大変じゃないんだけど…しょうがないかな。毎回城の内部構造変わるからね。
あと…馬車のまま行ける。だって、考えてもみて欲しい。広大なダンジョンに、持てる量だけ持って入ったとして…どれ位もつの?っていう。だから内部構造位はね、ちゃんと鑑みて作られるように調整してある。
そもそも、生物ではないただのモノである魔王が、なんでこんな城にあるのかっていう問題だけど、これはなんというか、お遊び要素というかね。こう、日本人てそういうモノは城や洞窟なんかにいるのが当然で、ダンジョンを抜けた先というか、最深部にボスがいるものとして考えてる節があるから。
それだけって訳でもないんだけれども。一応防衛上、って事になるのかな。もし、勇者の進みが悪くて悪い物をまとめてられなくなった場合、できるだけココにとどめておけるようにっていう理由もある。悪いモノが世界にあふれ出る直前とかになると、この城、すっごいでろっでろになってくるから、見た目結構怖いんだけれど。今の所はちゃんとした住処だし、タイムリミットもまだ先だから、問題ない。
あ。盾の獣人が一人で入って行ったな。さっきの話だと、まずは様子見で、一人でならなんとかなる盾の獣人が行ったって事か。
小一時間ほど経って、出てきたね。どうやら、馬車ごと城に入ることにしたみたいだ。さてさて、どうなるかな~
◆◇◆勇者(梨々花)視点◆◇◆
ノルンさんが城の中に一人で入って、調べてきてくれた。ノルンさん一人でなんて、そんな!って言ったけど、逆に一人のほうが安心だと、ノルンに言われてしまっては、黙るしかなかった。
ノルンさんが戻るまで、そわそわして落ち着かなくて、しょうがなかった。城の入り口近くで、火を熾してお茶をいれてくれたから、落ち着けたけど。
「中は広くて、馬車が通れるようにスロープ状だ。だから馬車でいけるぞ」
と、戻ってきたノルンさんが言う。こんなお城なのに、至れり尽くせりね…と、茫然としてしまった。
「おかえりなさい!怪我はない?大丈夫?」
「大丈夫です」
「ご苦労様でした。お茶どうぞ。それで、魔物とかはいましたか?」
「いや…入口に数体いたが、強くもなかったから倒してしまった。多分、この入口から入り込んだんじゃないか」
「それなら、用心して進むとして…構造はどうでした?複雑でしたか?」
「入ってまっすぐ通路が伸びて、突き当りがスロープになってて、上にいける。あとはその通路の両側に扉がある位。一つ開けてみたけど、部屋…というか…庶民の家、のような」
「見てみない事にはわかりませんが、特に魔物が潜んでたりはしませんでしたか?」
「そこでは何もなかったな。ほかの扉はわからんが」
「しかたありませんね。物資と相談しながらになりますが、マッピングしながら行きましょう」
そんな相談で、あっさりと決まってしまった。お茶を飲んで休憩したら出発という事になったけど…
はっ!そういえば、戦闘のスチルとか、イベントとか、今までなにも起きてないじゃない!ここからなの?でも、そんなはずは…道中で戦闘とか…魔王城に進みながら、被害にあった町からの依頼とか、そういうイベントも、一切なく、ここまで来ちゃった…なんで?モスやカミーユがいないから?でも、それならそれで、この三人の誰かのイベントが起きるはずで…
「?梨々花様、どうしました?何か問題でも?」
「あ、いいえ。大丈夫です」
「何もなければよかったです。馬車でこのまま進めるようですし、中でお寛ぎを」
「え、みんなは?」
「わたくしどもは外で周りを見ながら参ります。大丈夫ですよ」
さあ。と、促されて、馬車に乗るけど…一応明り取り用の窓が小さく開いてるけど…まわり、見えないから嫌なんだよね。しかも一人だけだなんて。
かたんと音がして、馬車が進む。カミーユがいれば…もちろん、推しだから仲間にいてくれるだけでうれしいけど、精霊が見回りをしてくれるから…いまだって、きっと、傍にいてくれたはずなのに。
あーあ。なんだか上手くいかないなぁ…
なんだか旅が進むにつれて、不安が大きくなる。昨夜なんか、うなされて、ローランドさんに泣きついちゃったし。
馬車は、アーカスさんかノルンさんが交代で馬を操るから、ローランドさんは常にいる。ノルンさんが馬車内にいる時は、気持ちが沈んでしまうと、ノルンさんに見えないように手に触れてくれたりする。アーカスさんが馬車内にいるときは、お菓子を用意してくれたり、観光地の話とかして気を紛らわせてくれる。アーカスも話してくれるけど、余り、そういう話は得意じゃないみたい。
ノルンさんは…庶民的で、下町で食べ歩きが好きなのだとか。旅が終わってから、そういうことをするのも楽しみになった。
そうして…魔王城へと到着したのだけれど…
「うわぁ…おっきいお城…」
そう、私たちが生活していた城も大きかったけれど…それよりも大きい。三倍位?縦にも横にも大きい。
「これ、魔王がいる場所を探さないといけないのよね?」
「そうですね。時間が掛かりそうですが…少し、内部の様子を見ましょう」
余りに広すぎて、時間が掛かるようならマッピングをしながら物資の補給をしたほうがいいと言う。ここまで来てこんな事になるなんて…
◆◇◆神視点◆◇◆
魔王城へ到着できてよかった。途中で本当に城へ帰る事になったら、目も当てられない。まあ、あの黒髪モノクルの人がそれを許す訳ないか。魔法はもちろん呪術とかも習う魔術師だし、魔王がどういったものかわかってるはずだし…そもそも、アレ、末端だけど王族だしね。おそらく一般人よりしっかりみっちり教育されているはずで。
今回は広いだけで、迷路みたいにはなってない城だから、そんなに大変じゃないんだけど…しょうがないかな。毎回城の内部構造変わるからね。
あと…馬車のまま行ける。だって、考えてもみて欲しい。広大なダンジョンに、持てる量だけ持って入ったとして…どれ位もつの?っていう。だから内部構造位はね、ちゃんと鑑みて作られるように調整してある。
そもそも、生物ではないただのモノである魔王が、なんでこんな城にあるのかっていう問題だけど、これはなんというか、お遊び要素というかね。こう、日本人てそういうモノは城や洞窟なんかにいるのが当然で、ダンジョンを抜けた先というか、最深部にボスがいるものとして考えてる節があるから。
それだけって訳でもないんだけれども。一応防衛上、って事になるのかな。もし、勇者の進みが悪くて悪い物をまとめてられなくなった場合、できるだけココにとどめておけるようにっていう理由もある。悪いモノが世界にあふれ出る直前とかになると、この城、すっごいでろっでろになってくるから、見た目結構怖いんだけれど。今の所はちゃんとした住処だし、タイムリミットもまだ先だから、問題ない。
あ。盾の獣人が一人で入って行ったな。さっきの話だと、まずは様子見で、一人でならなんとかなる盾の獣人が行ったって事か。
小一時間ほど経って、出てきたね。どうやら、馬車ごと城に入ることにしたみたいだ。さてさて、どうなるかな~
◆◇◆勇者(梨々花)視点◆◇◆
ノルンさんが城の中に一人で入って、調べてきてくれた。ノルンさん一人でなんて、そんな!って言ったけど、逆に一人のほうが安心だと、ノルンに言われてしまっては、黙るしかなかった。
ノルンさんが戻るまで、そわそわして落ち着かなくて、しょうがなかった。城の入り口近くで、火を熾してお茶をいれてくれたから、落ち着けたけど。
「中は広くて、馬車が通れるようにスロープ状だ。だから馬車でいけるぞ」
と、戻ってきたノルンさんが言う。こんなお城なのに、至れり尽くせりね…と、茫然としてしまった。
「おかえりなさい!怪我はない?大丈夫?」
「大丈夫です」
「ご苦労様でした。お茶どうぞ。それで、魔物とかはいましたか?」
「いや…入口に数体いたが、強くもなかったから倒してしまった。多分、この入口から入り込んだんじゃないか」
「それなら、用心して進むとして…構造はどうでした?複雑でしたか?」
「入ってまっすぐ通路が伸びて、突き当りがスロープになってて、上にいける。あとはその通路の両側に扉がある位。一つ開けてみたけど、部屋…というか…庶民の家、のような」
「見てみない事にはわかりませんが、特に魔物が潜んでたりはしませんでしたか?」
「そこでは何もなかったな。ほかの扉はわからんが」
「しかたありませんね。物資と相談しながらになりますが、マッピングしながら行きましょう」
そんな相談で、あっさりと決まってしまった。お茶を飲んで休憩したら出発という事になったけど…
はっ!そういえば、戦闘のスチルとか、イベントとか、今までなにも起きてないじゃない!ここからなの?でも、そんなはずは…道中で戦闘とか…魔王城に進みながら、被害にあった町からの依頼とか、そういうイベントも、一切なく、ここまで来ちゃった…なんで?モスやカミーユがいないから?でも、それならそれで、この三人の誰かのイベントが起きるはずで…
「?梨々花様、どうしました?何か問題でも?」
「あ、いいえ。大丈夫です」
「何もなければよかったです。馬車でこのまま進めるようですし、中でお寛ぎを」
「え、みんなは?」
「わたくしどもは外で周りを見ながら参ります。大丈夫ですよ」
さあ。と、促されて、馬車に乗るけど…一応明り取り用の窓が小さく開いてるけど…まわり、見えないから嫌なんだよね。しかも一人だけだなんて。
かたんと音がして、馬車が進む。カミーユがいれば…もちろん、推しだから仲間にいてくれるだけでうれしいけど、精霊が見回りをしてくれるから…いまだって、きっと、傍にいてくれたはずなのに。
あーあ。なんだか上手くいかないなぁ…
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