うっかり死にたいと呟いたばかりに、異世界で妻として生きるように強制されました

番外編

という事で実践

　暇を見ては、魔術の発動方法は、とか、コントロール方法は、とか…謎知識活用して調べましたよ。もうね、謎知識が優秀すぎる。
　ただ…

「お前の場合、術発動のワードだけでも勝手に補完して発動できそうだが」

　と、スタンフォードに言われた時の怒りをどこへぶつければ。いや、なんかこう、スキルMAXとか何か影響あるのかと現地へと向かいながら聞いたらね、そういう返答だったのよ。

「見てみないと威力や精度が分からんから何とも言えんが、あいつの薬も使うし、色々試そう」
「試す？」
「スキル、という概念はこの世界にはない。おそらく、お前に接続した知識が何か影響して、お前に分かりやすい様にそうなってるのかもな」

　え、無いの？こう、ファンタジーな世界だからみんなそういう物だと思ってたわよ。

「ないっすね～え、じゃあ他に何かそういうのあるんすか」
「剣とか、なんなら家事とかそういう物も表示されてるけど、家事はレベル1なのよ」
「えぇ～あれだけ料理出来るのに？おかしくないっすか」

　ほんとにね。これはこれで仕様が謎よね。

「そこら辺も後で調べるとして、まあ…お前、引っ張ってこい」
「うわぁ…すっごい無茶ぶり…バフください。自前だと弱いっす」
「そうか？まあいいが」

　話していたら、目的地へと到着したらしい。少し開けた場所だけど、スタンフォードが狩りをする時に使う場所の一つらしい。まだ魔物はいないから、静かなものだけど。
　きょろきょろと見ていたら、そんな話がされているけど…引っ張るって何？バフってなに？と考えている間にも、スタンフォードが手を振る。魔力の流れからスピードと力をアップさせたのだと分かる。分かるけど…何をしたのかが何となくわかるって何。潜在能力高すぎ。

「じゃあ、いってきまっす」

　シルヴさんがそう言うと、一瞬後にはいなかった。シルヴさんの姿が一瞬で見えなくなって、茫然としていると…

「呆けてても構わんが、どうするのか考えているんだろうな」
「そ、それは勿論」

　と、声を掛けられて答える。一応初心者なので、スタンフォードおすすめの土魔術でと考えている。魔術を使うには、呪文を唱えたり、陣を描いたりが必要なんだけれど、私の場合は呪文をとなえようとしてたのよね。だって、謎知識で呪文一覧とかあるからさあ。
　でも、スタンフォードの一言で、どうしようかと考えていたんだけど---

「来ますよ」

　と、いつの間に戻って来たのか、隣にシルヴさんがいて。がさがさバキバキと木をなぎ倒しているのか音がするし、何よりどすどすと振動も。ちょっと、まだ方針がはっきり決まってないわよ！？