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第九章:終話。なんだかんだで愛されて幸せになりました

妊娠した。うそでしょ

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 なんか…スタンフォードにあーんして食べさせると、ふにゃんて…可愛いんだよ、笑顔が!ついそれが見たくて、何度も食べさせてしまった。やばい、癖になる…まあ、同じ位私も食べさせられてますけど。もちろんあーんで!

「だからまあ、その冷凍庫のようなものができるまでは、俺が買い物に付き合う。いいな」
「うん」
「それと…俺の乳母兄弟を、ここに呼ぼうかと思うんだが…いいか?」

 毒物な人、呼んじゃうの?というか、今更?それを聞けば、すこしばつが悪そうな顔をする。

「次兄の乳母兄弟がこれを届けてくれた時に、色々言っていてな。一応、同じ血族だから…料理が毒になる理由とかも教えられてな」

 その毒になる理由が、炭になるとか、調味料間違えてとんでもない味になるという、生易しいものではなく…本当に毒を仕込めるのだと聞いて、逆に怖くなるんだけど。毒を仕込まない理由を聞いても、一つも安心できないんですけど。

「ユウに対しては、問題ないはずだ」
「どうしてよ」
「…もう、その胎に、俺の子を宿しているからな」
「え…」
「しっかり、孕んでるぞ」

 言われて、思わず自分のお腹に手を当てた。妊娠、してるの?本当に?

「着床間もないし…まあ、実感はしないだろうけどな」
「ほんとに?ほんとに妊娠してる?」
「ああ…調べていいならもう一度調べるが」
「いい。でも、うれしい。赤ちゃん、日本では諦めてたから」

 そう、年齢的にちょっとね。いや、それでも産める事は産めるけれど…どうなのかなって思ってたから。自然に妊娠できるものなのかとか、さ。そもそも相手が…別れてしまったしね。
 頬にキスされて、スタンフォードを見れば…額にもキスされた。ほんとキス魔だな…嫌じゃないけどさ…

「そんな訳で、俺の子を孕んだユウに、毒なんか盛るはずがないし…身重になったら俺が魔術で色々できる事はできるが、手はあったほうがいいだろ」
「でも、男の人よね。あの人」
「そうだな。それがなにか?」
「…本当にあなたの子なのか、疑われない?」
「ああ…そうか、ユウはなじみがないからしょうがないな。王と兄…王太子に、魔術で見てもらって、認定してもらえばいい」

 認定て。まあ…スタンフォードがさっき着床がどうとか言ってたから、そういうの、王様と王太子様もできるって事か。なんか…エコー診断みたいなもの?それより精度は良さそうだけど。

「あいつを呼ぶと言っても、準備もあるだろうし、認定してもらった後…そうだな、一週間か10日位後に来るようにすれば問題ない、な」
「わかった…」
「それで…明日にでも見せに行くか?」

 え、ちょっとまって、それはやめて。一か月で仕込む発言も恥ずかしかったのに、もう仕込みましたとかすんごく嫌!それを主張したら、なんで恥ずかしいんだと聞かれた。

「すぐ子供ができるのは良い事だぞ。王族は特に」
「うぅ…でも、なんか…」
「兄達はもっとかかってたから、それに倣ってもいいが…どうせ、魔術で調べれば、いつ着床したのかもわかるぞ」
「うそでしょ…」

 うわぁ…魔術ってえげつない…というか…あの、獣の様にした時に妊娠したってことよね。なんか途中でこう、幸せ感というか、そっちに切り替わったというか、そんな感じがしたけど…まさかそれ…?おもわずそう零せば、時期的にそうだと言われた。うわぁ…まじかぁ…
 という事で、あっという間に妊娠してましたよ。
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