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第九章:終話。なんだかんだで愛されて幸せになりました

お祝いの品

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 あー…王子様がいる…

「目が覚めたか。どこか悪い所は?」

 最近…スタンフォードは、髭も剃って、王子様っぽい割合が多い。前みたいに、世捨て人の様な出で立ちは…時々夜、見ることもあるけど。今は、髪は結ってないけれど…さらりと髪が揺れ動いてる。

「…おい、大丈夫か?」
「あ…平気、です」

 見とれてたなんて絶対に言わない。心配そうにのぞき込んで、頬を撫でられると…なんか、ふわふわする…

「…全く平気そうには見えんが…」
「平気…ただ…なんか、手…もっと撫でて…」

 なんか、頭とか、頬とか、撫でられると…気持ちいいっていうんじゃないし…なんかよくわからないけど…もっと触れてて欲しいというか。
 なんともないならいいが。と言って、するすると頭とか頬を撫でてくれる。うっとりと目を閉じてそのぬくもりを感じながら…最中を思い出す。
 最初はただ欲しかっただけだったけど、なんか、途中で満足というか、幸せ感がした。今もそんな感じ、な…気がする…?もしやこれが身体からオトされるっていうやつか。まあ、見た目はいいし…最近なんか優しいし…どうせ強制的に結婚して夫婦になるんだから、毛嫌いしちゃうような男じゃないならまあ、いいかなぁ。
 王族だしね。食うに困らないしね。食べなくても生きていけるホムンクルスですが。

 まあ、そんな事を考えていられたのも少しの間で。抱っこされて、部屋にいつの間にか出現した小さなテーブルとイス。イスは2脚あるのに、なぜかスタンフォードの膝の上に座る格好になってました。

「これ、兄…二番目の兄からのお祝いだそうだ。兄についてる乳母兄弟が持ってきた。お茶も。食べるだろう?」
「うん。でも、お茶って…いつ淹れたの?」
「維持の魔術を掛けているからな。それも、話さないととは思ってたんだが」

 そう言って、お茶をポットからカップに注ぎながら話してくれた。その維持の魔術は、以前冷凍庫はないのかと聞いた時にないという回答だったけど…その冷凍庫がどういうものか聞いて、作った魔術、らしい。
 でも…維持の魔術がどういった効果をもたらすのかを聞いて、冷凍庫よりすごいものを作るとか魔術ってすごいというか…スタンフォードの頭どうなってんのっていうか。だって、時が止まって現状の状態から変わらないって、なによって思うよね!?

「だから…その維持の魔術を冷蔵庫の様に出来たら、買い物に行く回数も減らせるんだが…まだそれがうまくいってなくてな。ほら、あーん」
「それは、分かったけど…なんで食べさせられてるの私。自分で食べますよ」
「…だめか?」
「う…駄目じゃないけど…なんで手づかみなの」

 マドレーヌの様な…小さなケーキ菓子で、それがかわいらしい籠に入れられていた。一応、箱にも入っていたけれど、話しながらそれを開けて、スタンフォードの手で、あーんを強要されている…話してる口に強引に押し付ける事はなく、ただ目の前に差し出されて待たれてる…仕方なく、口を開ければ…そっと押し込まれて…ロイヤルスマイルよこしやがった…!くそう、イケメンだな!

「手づかみは…その方が楽しいからかな。ユウは、してくれないのか…」

 …よくわからない理由により…フォークがカップと一緒に用意されていたのに使用されず、しかも私も手づかみでスタンフォードに食べさせなくてはならないとか…一体なんなの…食べさせたら食べさせたで、めっちゃ可愛く笑うんだよ…なんだこの生物…
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