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第五章:城下町でのあれこれ

なんとかなった…ようです

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 しつけられたのはアンタにでしょうよ!?と、スタンフォードの物言いに心の中で盛大に悪態をついた。
 正確にはしつけというよりは…ホムンクルスの習性だけれど。まあ…私も最初の恐怖がどうしても抜けないから、相乗効果で怖がってる所もある、とは思う。

「だから…あまり人が多い所にはやりたくないんですが」
「囲っておくにしても、まずはその生活習慣をどうにかしたほうがいいぞ。お前だけなら、魔術でなんとでもするだろうが…その子は…そういえば、魔術の素養は?」
「ありますが…まだ細かいところまでは。心が安定しないので…ほら、食べていいんだよ」

 ひょいとクッキーを摘まみ上げて、口に押し付けられた。すっごいきらきらしい王子様顔で!条件反射で口の中のクッキーをもぐもぐしながら、その顔をじっと見てしまう。

「ほら。これも。…今までも問題なかったですし、そんなに言うほど変えたほうがいいとは思えませんけど」
「お前はな。というか、女のおねだりを叶えてやるのが男としての甲斐性っていうモンだろうに」
「そういうものですかね」
「はぁ~お前、そんなんじゃ愛想つかれるぞ~」

 愛想つきたくてもつけないんですけどね。と、もぐもぐしながら心の中で文句をいう位しかできない。


 お城に戻ってきました。というか、よくもまああのお菓子がお腹にはいったものだ…
 食べなくてもいい体だけど、久しぶりに食べたご飯は美味しかったぁ…
 家具家財に関しては、購入したとしても運ぶのが手間だしどうせ魔術で作れるしとスタンフォードが言い、結局見に行かなかった。城の方が参考になるだろうという事らしい。
 …運ぶの、魔術で浮かせればいいだけじゃないのか?と思ったけど、言わない。
 そして、侍従へと料理を教えてもらうべく言えば。

「え、料理、を、私が教える、んですか?」

 と、ものすっごく青い顔をして言われた。スタンフォードが怖いとかそういう訳ではないようで…

「あの、料理ってあれですよね、食べると死ぬやつですよね。そんなものを教えるって、スタンフォード様、なんて…」

 …ものすごく料理に対しての偏見がすごい、というか…え、この人、昨日の晩御飯、持って来てたよね。あれ、料理じゃないの?と、こう、伝えれば。

「あれは料理じゃなくて、いえ、料理で間違いないんですが、ええと、私が料理すると大抵毒物になるので…」

 うわぁ…毒物、は言い過ぎかもしれないけれど、炭にしちゃうとか、味が…とかそういう事なのかな。でも、乳母兄弟って言ってたよね。幼馴染とみてもいいと思うんだけど、それ、知らなかったのかな。

「…お前に相談したのが間違いだった」

 あ。知らなかったっぽい。流石のスタンフォードも、そう言って匙を投げていた。
 結局、2日だけ、従業員用、というか、シェフたちの食事を作っている女性がいるようで、その人と一緒に作ってみることになった。食材に関してはさすがにいろいろと聞くわけにはいかないから…ちょっとずつ試してみるしかないかな。
 びっくりしたのが…私がお手伝いして作ったその料理を、スタンフォードが食べに来たことだ。私を迎えに来たと言っていたけれど、ついでだとかなんとかいって。しかも、帰り道に、ぼそりとおいしかったとか言うもんだから、もうほんとびっくりしたし…うれしかった。

 一応、包丁の扱いは、体が覚えていたっていう風にしてやってたけどこれなら大丈夫とお墨付きを貰えたし…二人きりのあの家でも、料理できるかも。
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