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第三章:そんなこんなで生活がはじまりましたが
そんな話は聞いてない。
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ハーブの加工、と言っても、摘んで、洗って、乾かすだけだ。それらの知識も、もちろんそのハーブを何に使うのかも分かるから、手間がなくていい。
あの後、あの男とは会ってない。多分、研究室に籠っているからだろうけれど。
でも、そんなある日の事…ふと、ぞくりと背筋を駆け上がる感覚がしたと思ったら、勝手に身体が動いた。
え、どこに行くの。まって、ねえ、そっちはあの男の部屋じゃ…
研究室の隣にある、あの男の私室というか、寝室へ向かっているのだと、分かった。この建物の作りは理解しているから。でも、なんでこの身体が勝手にそちらに向かうのか、分からない。
研究室じゃないから、邪魔は、しないだろうけど…会いたくない。怖い。でも、いずれは話さないといけない事とかあるから、これはいい機会とも思う。
…でも怖いものは怖い…
一枚の、質素なドアの前まで到着して…気持ちは固まらないのに、無慈悲にも、勝手にノックをする身体。
「…来たか。入れ」
ドア越しに聞こえる声は、落ち着いたイイ声だ。でも…最後に会った時の恐怖から立ち直れていないのに。
「…魂が入っていてもやっぱり来るんだな。まあ、ホムンクルスはそういうものだし、当然か」
部屋に入れば、カウチソファに座っている男。でも、髪は濡れていて、いつも鼻のあたりまで覆い隠している前髪が後ろに撫でつけられているから、しっかりと顔が見えた。無精ひげは相変わらずだけど…すこし彫が深くて…かっこいい。初めてしっかりと見たその顔に、思わずどきりとしてしまった。
一言も発しないまま…勝手に男の傍へと向かっていく身体。
「お前、ホムンクルスの生態に関する知識は入れたのか?…ああ、話せないな。待ってろ」
するりと魔力線が伸びてきて、またあの恐怖がよみがえる。でも、あの時みたいに身体は震えず、ただその男の目の前で、待っている。
「ああ、お前、知識いれてないのか。しかもかなり怯えてるな…面白い。納得済みなら興ざめだが、気が変わった。こっちへ来い」
こっちって…立ち上がった男が向かった先は、ベッドだ。なんでベッド!?混乱する私をよそに、身体は従順にその命令に従うのか…男の後ろをついて歩く。
男は…ベッドへ腰かけたけれど…なんで私はその男の足の間に座るの!
「知識を入れてないようだから教えてやる。ホムンクルスはな…」
主が発情すると、奉仕するようにできてるんだよ---
あの後、あの男とは会ってない。多分、研究室に籠っているからだろうけれど。
でも、そんなある日の事…ふと、ぞくりと背筋を駆け上がる感覚がしたと思ったら、勝手に身体が動いた。
え、どこに行くの。まって、ねえ、そっちはあの男の部屋じゃ…
研究室の隣にある、あの男の私室というか、寝室へ向かっているのだと、分かった。この建物の作りは理解しているから。でも、なんでこの身体が勝手にそちらに向かうのか、分からない。
研究室じゃないから、邪魔は、しないだろうけど…会いたくない。怖い。でも、いずれは話さないといけない事とかあるから、これはいい機会とも思う。
…でも怖いものは怖い…
一枚の、質素なドアの前まで到着して…気持ちは固まらないのに、無慈悲にも、勝手にノックをする身体。
「…来たか。入れ」
ドア越しに聞こえる声は、落ち着いたイイ声だ。でも…最後に会った時の恐怖から立ち直れていないのに。
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一言も発しないまま…勝手に男の傍へと向かっていく身体。
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するりと魔力線が伸びてきて、またあの恐怖がよみがえる。でも、あの時みたいに身体は震えず、ただその男の目の前で、待っている。
「ああ、お前、知識いれてないのか。しかもかなり怯えてるな…面白い。納得済みなら興ざめだが、気が変わった。こっちへ来い」
こっちって…立ち上がった男が向かった先は、ベッドだ。なんでベッド!?混乱する私をよそに、身体は従順にその命令に従うのか…男の後ろをついて歩く。
男は…ベッドへ腰かけたけれど…なんで私はその男の足の間に座るの!
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