203 / 252
第8章
201 正統
しおりを挟む
転移門から出ると、早速激しい打ち合いの音が聞こえ始めた。どうやら入口の方で戦ってるらしい。
と、すぐ近くに這って移動するシルヴァが見えた。
「シルヴァ! 大丈夫か!」
「マスター!? 僕は平気です、それよりリフィストさんが……」
シルヴァの指さす先には、半壊した壁に縫い止められたリフィスト。……黒い槍が腹を貫通してる。敵の術か?
「……ああ、童か……これを壊してくれぬか。我やシルヴァに対しての術故、童への耐性はないはずでな」
「あ、ああ――加速」
少し時間を進めてやるだけで、槍はあっさり壊れた。
リフィストはゆっくりと降りて来ると、呻き声を上げながらその場に横たわる。なぜか出血は少ないが、人間なら死んでる傷だな。
「うう……すまぬ、童。油断が招いた敗北よ。情けのうたら……」
「いい、いいからもう話すな。傷が結構ヤバいんだ」
「カ、カカ、そんな顔をするな。我は天使であるからの、この程度すぐに治せるわ」
力なく笑うリフィスト。だがその言葉に嘘はないようで、一撫でで傷はほとんど塞がっていた。
「これで良し。中身の修復にはもう少しかかるが、まあ会話する程度なら問題はない」
「――ではリフィスト殿、敵についてお聞きしても?」
「うむ、勿論だとも。奴は妙な術を使う。形は''強制''に似ておるが、それよりも複雑で強力と言ったところか。ぬしや童でも抗えるか分からぬ」
まあリフィストがやられてるわけだしな。''傲慢''の強制ですら羽衣貫通したし、今回のがそうでも驚かない。
「さっきの耐性とかいうのが関係してるのか?」
「そう、それよ。先の術は我やシルヴァに対象を限定することによって、その効果を底上げしていると見た」
「……なるほどな」
術式に制限を掛けて威力を上げるって方法があるのは知ってた。だがアルデム曰くかなり昔に失われたはずだし、類まれなる魔術の才が必要だって話だ。
「僕の無属性魔術では歯が立たなかったんです。魔力の波長に合わせて耐性を付与するのではなく、僕らの存在そのものを対象にしていると推測します」
シルヴァは真面目な顔でそう言ってのけるが、それなら人数にも制限があるはずだ。そうポンポン使えていい術じゃない。
「分かった。とりあえず強制の魔術結晶は持ってるから、いざってときは解呪を頼む」
今のうちにレルアにも渡しておく。……とは言えこれは最終手段だ。あのレルアですら使うだけでボロボロになる術だからな。前は最終的にラビがなんとかしたが、今回も同じようにいくとは限らない。
つーかラビどこだ? リフェアが先に向かったはずだが、到着の念話もない。
気付けば戦闘音も止んでる。嫌な予感がしてきたぞ。使い魔の死亡アナウンスは切ってないはずだが……
「次はてめーらか? 来るならまとめて来いってんだ。無駄に俺様の手を煩わせやがって」
「みんな!」
声の方向に走ると、その場はまさに死屍累々といった感じだった。倒れているゴーストには見覚えのある奴も多い。多分ゼーヴェ直属の部下とかだ。
肝心のゼーヴェやアイラ、そしてリフェアにラビは全員リフィストと同じように磔にされている。
そして、俺を面倒そうに眺める男。こいつが、敵か。
灰色の髪に紫色の瞳――俺を見て溜息をつくそいつは、魔王によく似ていた。
「……おい、そこの男。なんだ? その腰の剣は」
「何だっていいだろ。それともこのイカした剣が欲しいのか――」
「さっさと答えろ死にてえのか? 代わりにこいつらを殺していってもいい。手足を一本ずつ引き千切ってくってのはどうだ?」
マジでやる雰囲気だ。こいつが多分魔王の息子なんだろうが、あの落ち着きみたいなものは一切感じられない。
仕方ない、会話で相手の気を逸らしながら加速で槍を壊していこう。そこそこ集中すれば、最近は術式名の省略だってできるんだぜ。
「わ、分かった話せばいいんだろ。これは邪竜を狩って作ったんだ」
「邪竜だあ? この辺には出ねえだろ? わざわざ魔界まで足を運んだのか?」
「それが出たんだよ、すぐ近くの村にな。信じられないならそこの村人に聞いてくるといい。ほら話したぞ、これで満足か?」
もう少しだ、まずはラビから下ろす。視線が不自然にならないように魔力だけ飛ばすってのは案外キツいな。形のイメージも掴めないし、術を正しく組み立てるだけでも一苦労だ。
「……やっぱりそうかよ。てめーが俺様の儀式を邪魔したってわけだ。ああ全部納得がいった」
「な、なんだよ儀式って?」
「このレイレス・エストハルクが魔王となるための儀式だ!」
男の――レイレスの周りの素因がザワつき始めた。まずいぞ。今仕掛けられたら加速使ってる場合じゃなくなる。
っつーかこのレベルの魔力だと迷宮街の方まで被害がいきかねない。戦うにしても、できれば迷宮内でやりたいんだが。
「それに、会話中にこっそり魔術だ? マナーがなってねえよな。魔王がやることでもねえ。てめーが魔王だなんて許されねえ。いいや俺が許さねえ!」
来る。仕方ない、一発目は魔術結晶の簡易結界で威力を殺すか。果たして俺にそれができるか? そもそもそんな単純な術なのか? 相手は強制さえ当てれば勝ちだと思ってるはずだ。ならこの怒りは演技? 攻撃的な魔力の流れも全てブラフで、本命は強制か?
「報いを受けさせてやるよ――」
「――マスター、お下がりください! 起動せよ!」
レルアが前に出る。そうだ、俺は何を迷ってたんだ。こうなったら先に強制の魔術結晶を使うのは全然ありだった。ラビを治したらすぐ解呪を貰えばいい。たったそれだけの話だ。
と言っても、既にその役はレルアがやってくれた。一応後ろで待機しとくが、俺はもう必要ないだろう。
「――王命・平伏せよ!」
だが、違った。レルアの体は凄まじい力に引っ張られるようにして、地面に叩き付けられた。
「三日に一回。この制限が何を意味するか分かるか? なあ? 正統なる後継者の力が、てめーのせいで不完全だっつってんだよ!」
「――起動せよ!」
状況が変わった、待機してる場合じゃない。
だが俺は解呪の使い方を知らない。詠唱は知ってるが、それだけだ。
槍で縫い止められているだけなら加速でどうとでもなるが、今みたいに直に強制を使われるとそれを解除する術が俺にはない。
「なんだ? おい、てめーも強制かよ。まあいい、それは元々俺様の力だ。守りにしか使えねえてめーとは違うっていうのを教えてやる」
クソっ。俺が結晶に念じたのは至ってシンプルな思い、レイレスを倒すってことだけだ。だがもし倒せたとして、その後はどうなる? その時点で勝手に解除されるような使い勝手のいい術じゃないのは確実だ。
「さあ始めようぜ――我が血液よ、刃となれ!」
レイレスは深紅の刃を作り出し、構えた。とにかく今は戦うしかない。
と、すぐ近くに這って移動するシルヴァが見えた。
「シルヴァ! 大丈夫か!」
「マスター!? 僕は平気です、それよりリフィストさんが……」
シルヴァの指さす先には、半壊した壁に縫い止められたリフィスト。……黒い槍が腹を貫通してる。敵の術か?
「……ああ、童か……これを壊してくれぬか。我やシルヴァに対しての術故、童への耐性はないはずでな」
「あ、ああ――加速」
少し時間を進めてやるだけで、槍はあっさり壊れた。
リフィストはゆっくりと降りて来ると、呻き声を上げながらその場に横たわる。なぜか出血は少ないが、人間なら死んでる傷だな。
「うう……すまぬ、童。油断が招いた敗北よ。情けのうたら……」
「いい、いいからもう話すな。傷が結構ヤバいんだ」
「カ、カカ、そんな顔をするな。我は天使であるからの、この程度すぐに治せるわ」
力なく笑うリフィスト。だがその言葉に嘘はないようで、一撫でで傷はほとんど塞がっていた。
「これで良し。中身の修復にはもう少しかかるが、まあ会話する程度なら問題はない」
「――ではリフィスト殿、敵についてお聞きしても?」
「うむ、勿論だとも。奴は妙な術を使う。形は''強制''に似ておるが、それよりも複雑で強力と言ったところか。ぬしや童でも抗えるか分からぬ」
まあリフィストがやられてるわけだしな。''傲慢''の強制ですら羽衣貫通したし、今回のがそうでも驚かない。
「さっきの耐性とかいうのが関係してるのか?」
「そう、それよ。先の術は我やシルヴァに対象を限定することによって、その効果を底上げしていると見た」
「……なるほどな」
術式に制限を掛けて威力を上げるって方法があるのは知ってた。だがアルデム曰くかなり昔に失われたはずだし、類まれなる魔術の才が必要だって話だ。
「僕の無属性魔術では歯が立たなかったんです。魔力の波長に合わせて耐性を付与するのではなく、僕らの存在そのものを対象にしていると推測します」
シルヴァは真面目な顔でそう言ってのけるが、それなら人数にも制限があるはずだ。そうポンポン使えていい術じゃない。
「分かった。とりあえず強制の魔術結晶は持ってるから、いざってときは解呪を頼む」
今のうちにレルアにも渡しておく。……とは言えこれは最終手段だ。あのレルアですら使うだけでボロボロになる術だからな。前は最終的にラビがなんとかしたが、今回も同じようにいくとは限らない。
つーかラビどこだ? リフェアが先に向かったはずだが、到着の念話もない。
気付けば戦闘音も止んでる。嫌な予感がしてきたぞ。使い魔の死亡アナウンスは切ってないはずだが……
「次はてめーらか? 来るならまとめて来いってんだ。無駄に俺様の手を煩わせやがって」
「みんな!」
声の方向に走ると、その場はまさに死屍累々といった感じだった。倒れているゴーストには見覚えのある奴も多い。多分ゼーヴェ直属の部下とかだ。
肝心のゼーヴェやアイラ、そしてリフェアにラビは全員リフィストと同じように磔にされている。
そして、俺を面倒そうに眺める男。こいつが、敵か。
灰色の髪に紫色の瞳――俺を見て溜息をつくそいつは、魔王によく似ていた。
「……おい、そこの男。なんだ? その腰の剣は」
「何だっていいだろ。それともこのイカした剣が欲しいのか――」
「さっさと答えろ死にてえのか? 代わりにこいつらを殺していってもいい。手足を一本ずつ引き千切ってくってのはどうだ?」
マジでやる雰囲気だ。こいつが多分魔王の息子なんだろうが、あの落ち着きみたいなものは一切感じられない。
仕方ない、会話で相手の気を逸らしながら加速で槍を壊していこう。そこそこ集中すれば、最近は術式名の省略だってできるんだぜ。
「わ、分かった話せばいいんだろ。これは邪竜を狩って作ったんだ」
「邪竜だあ? この辺には出ねえだろ? わざわざ魔界まで足を運んだのか?」
「それが出たんだよ、すぐ近くの村にな。信じられないならそこの村人に聞いてくるといい。ほら話したぞ、これで満足か?」
もう少しだ、まずはラビから下ろす。視線が不自然にならないように魔力だけ飛ばすってのは案外キツいな。形のイメージも掴めないし、術を正しく組み立てるだけでも一苦労だ。
「……やっぱりそうかよ。てめーが俺様の儀式を邪魔したってわけだ。ああ全部納得がいった」
「な、なんだよ儀式って?」
「このレイレス・エストハルクが魔王となるための儀式だ!」
男の――レイレスの周りの素因がザワつき始めた。まずいぞ。今仕掛けられたら加速使ってる場合じゃなくなる。
っつーかこのレベルの魔力だと迷宮街の方まで被害がいきかねない。戦うにしても、できれば迷宮内でやりたいんだが。
「それに、会話中にこっそり魔術だ? マナーがなってねえよな。魔王がやることでもねえ。てめーが魔王だなんて許されねえ。いいや俺が許さねえ!」
来る。仕方ない、一発目は魔術結晶の簡易結界で威力を殺すか。果たして俺にそれができるか? そもそもそんな単純な術なのか? 相手は強制さえ当てれば勝ちだと思ってるはずだ。ならこの怒りは演技? 攻撃的な魔力の流れも全てブラフで、本命は強制か?
「報いを受けさせてやるよ――」
「――マスター、お下がりください! 起動せよ!」
レルアが前に出る。そうだ、俺は何を迷ってたんだ。こうなったら先に強制の魔術結晶を使うのは全然ありだった。ラビを治したらすぐ解呪を貰えばいい。たったそれだけの話だ。
と言っても、既にその役はレルアがやってくれた。一応後ろで待機しとくが、俺はもう必要ないだろう。
「――王命・平伏せよ!」
だが、違った。レルアの体は凄まじい力に引っ張られるようにして、地面に叩き付けられた。
「三日に一回。この制限が何を意味するか分かるか? なあ? 正統なる後継者の力が、てめーのせいで不完全だっつってんだよ!」
「――起動せよ!」
状況が変わった、待機してる場合じゃない。
だが俺は解呪の使い方を知らない。詠唱は知ってるが、それだけだ。
槍で縫い止められているだけなら加速でどうとでもなるが、今みたいに直に強制を使われるとそれを解除する術が俺にはない。
「なんだ? おい、てめーも強制かよ。まあいい、それは元々俺様の力だ。守りにしか使えねえてめーとは違うっていうのを教えてやる」
クソっ。俺が結晶に念じたのは至ってシンプルな思い、レイレスを倒すってことだけだ。だがもし倒せたとして、その後はどうなる? その時点で勝手に解除されるような使い勝手のいい術じゃないのは確実だ。
「さあ始めようぜ――我が血液よ、刃となれ!」
レイレスは深紅の刃を作り出し、構えた。とにかく今は戦うしかない。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる