転生ニートは迷宮王

三黒

文字の大きさ
上 下
121 / 252
第4章

119 ゼーヴェ・アーゲンデルト

しおりを挟む
「わ、っと――危ないんですケド」
 
 ラステラはゼーヴェの剣を宙返りで軽々躱し、着地までの間に地上に何本もの小型熱線を降らせる。
 つい先程までの疲れきった様子はない。左肩から先の結晶部は、今や眩しすぎるほどに光り輝いている。
 
「……なんで正面から受けてまだ生きてるワケ? 面倒なんですケド」
「――踊れプリミース嗤えオゼロンそして貪れエッソ・アヴェルク――」
 
 どうやら、ゼーヴェは魔術障壁マジックバリアか何かを展開して熱線を防いだらしい。
 
「――崇高なる闇の支配者よゲレディア・デルス・ドネルタ!」 
 
 真っ黒の何かがラステラを囲んで、噴水のように噴き出す。リフェアの影にそっくりだ。量も勢いもリフェアのものには及ばないが、その分何かアレンジされてるようにも見える。
  
「まさか影の一族ってワケ!? でもこんな小細工、何の意味もないんですケド!」
 
 ラステラは腕の一振りで粘土のような――というよりは乾留液タールのような、粘り気を増した影の膜に穴を開ける。
 だが、影はそのままラステラの体にまとわりついて離れない。
 
「はあ? 動きづらいし、イライラするんですケド!」 
「私は拘束系の魔術が得意でな――繋檻ジェノン」 
 
 ゼーヴェは、影と格闘するラステラの上から更に漆黒の繭を被せにいった。
 ラステラは繭の方には見向きもせず、無抵抗で飲み込まれる。繭が完全にその姿を覆い隠しても動きはない。
 
「聖なる光よ、此より広がり魔を祓え――」 
 
 おいおい。レイスなのに聖浄リファイス、それも高位のやつなんて使っちゃって大丈夫か。
 ……案の定大丈夫ではないらしく、魔力を練っている段階で既に掌が焼けてる。
 
「――ミア――宿りてゾア――と成せツァウ――」 
「――大聖浄エル・リファイス!」

 大聖浄エル・リファイスが発動して爆発を起こす頃には、白い炎は腕まで移ってとんでもなくヤバいことになってた。すぐに解呪ディスペルで消して治癒ヒールしたお陰で、治りは早そうなのが救いか。
 ラステラ側も何か詠唱していたようだが、漆黒の繭は派手に弾け飛んだし、あれは避けようがないはずだ。腕を犠牲にした甲斐はあったってこと――
 
「――全っ然効いてないんですケド!!!」
 
 上から熱線。ゼーヴェは躱しきれずに数本食らった。
 
「何を終わったみたいな顔してるワケ? アンタの大聖浄エル・リファイスなんて毛ほども痛くないんですケド?」
 
 嘘だな。ギリギリで加速して避けたみたいだが、大聖浄エル・リファイスが当たった部分はしっかり傷が残っている。膝と脛の爛れてる部分は、今の爆発で負った火傷だ。
 
「――ならばもう一度食らわせるまでだ。私とて大罪の弱点くらいは把握している」
「はっ! レイスごときが調子に乗らないでほしいんですケド!」 
 
 次の瞬間には、ラステラはゼーヴェの背後を取っていた。はやい。今までにない速度だ。これがラステラ本人が使うラステラの肉体か。
 
「――焼き尽くせイルズィア!」 
「――聖盾セイリード――っ」
 
 咄嗟に盾を出して守るが、ラステラの炎は前方だけに収まらなかった。
 
「まさか上がったのが速度だけだと思ってたワケ? 超ウケるんですケド!!」 
「――闇鎖ダレイド!」
「そんな遅い鎖、当たるはずないんですケド?」 
「――治癒ヒール」 
 
 なるほど治癒ヒールのための時間稼ぎか。だが治りが遅い。聖浄リファイスの火傷はすぐ治ったのに。
 
「――闇の茨よデルス・ソネイ隔絶の茨よイゼルム・ソネイ! 深淵より出でアグネウ・エギスその体にスェグ・メヌ・魂を宿せコルフ・ロナ! 我が腕を贄としフィーソ・ノィ・ゾア我が命に従えサレゲン・ノィ・リズ!」 
「そんな低練度の複合魔術なんて怖くないんです……ケド……?」 
 
 詠唱終了と同時に、ゼーヴェの焼け焦げた右腕が消失した。治癒ヒールで治ならないと判断して捨てたのか。だがそのせいで出血が酷い。そして多分めちゃくちゃ痛い。見てるだけでも痛い。
 と、先程の影が棘を纏って復活する。それらはまるで意思を持っているかのように、バラバラにラステラに襲いかかった。
 
「なっ……ちょ……面倒なんですケド!」
 
 重力を無視して四方八方から向かってくる影の相手は中々に大変そうだ。一本一本熱線で撃ち落としてるが、キリがない。
 しかも、影は燃やされて数秒後には復活した。
 
「――炎の蛇は灼熱イレミア・サージェスの渦に身を投げる・ネィセル・ケイエ・ヴィルト!」  
 
 鞭のようにうねる炎の蛇が、影の茨を燃やしにかかる。だが影の復活ペースは落ちない。
 燃やすのにもエネルギーを使うらしく、対する炎の蛇はどんどん小さくなっていく。
 
「――其の闇は冠を象るコルフ・デルス・フィーレン・レーヴ――」
 
 ゼーヴェは止血もそこそこに、新たな詠唱に入った。素因エレメントの震えからしてかなり強力なやつだな。多分勝負を決めにいってる。
 
「――其の闇は黒衣を飲むコルフ・デルス・ボルグロ・アグノ――」
「ねえ! アンタは悔しくないワケ!? ウザったい攻撃ばっかだし、もう私一人じゃ厳しいんですケド!」
 
 ラステラがレイ――恐らく――に向かって叫ぶ。
 
「――されどミス其の闇は器を作らぬコルフ・デルス・マ・エミック・シヴ――」 
「そう思うなら、もっと、脳が沸騰するくらいキレまくってほしいんですケド! 私の、そしてアンタの勝利のために――」
 
 ラステラの周囲に黒い霧が出始めた。だが、レイに使ったものとは全く別物な気がする。
 そもそも、まだ詠唱が終わっていない。
 
「――顕現せよアグナルツ闇霊の心臓よエスグレーティス!」
「――消し飛べアーレス!」
 
 ――轟音。鼓膜が破れるかと思った。
 突如として出現した巨大な黒球が、ラステラを押し潰すようにして包み込む。
 ラステラから放たれた純白の光線は、そのブラックホールのごとき黒球に飲み込まれて、消えた。
 少し経っても、黒球は沈黙したままだ。ゼーヴェは残った片腕と両膝を地について、肩で息をしている。
 
「理に触れたな、レイスの童」
「うおリフィスト、いたのか。それよりゼーヴェがどうしたって?」 
「ふむ……あれは恐らく、精霊王の核を擬似的に創り出したモノであろう。闇のそれは、一般的には災厄を呼ぶとされているらしいの」
 
 これまたすげえのを作ったもんだ。
 
「詠唱を聞くに、あえて不完全な状態で止め、純粋な力として創り出したようだが……精霊王の心臓など一個人が創り出していいものではないからのう。本来なら、対価として己の全てを捧げても失敗に終わるはずよの。それを可能にしたのは迷宮ここ素因エレメント濃度の高さが故か、はたまた……」
 
 そんなの作って大丈夫なのかよ。ゼーヴェは強いが、それでも普通のレイスの域を出ないはずだろ?
 
「うむ。まあ駄目であろうな。レイスの童の肉体はもう長くは持たぬ」
「マジかよそれを先に言ってくれ! 待ってろゼーヴェ、今助けに――」
「やめておけ童。人の形を保っているだけでも奇跡のようなものであるぞ。何をしてもレイスの童は助からん」 
 
 ……そんな。
 
「何を悲しい顔をする? どうせ復活するのであろ。違うかえ?」 
「あ、ああ。そうだった……」
 
 そうだ。別にマジで死ぬわけじゃない。すっかり忘れてた。ここは迷宮内だからな。
 ――と、黒球が派手な音を立てて割れた。ゼーヴェもその場に崩れ落ちる。確かにもう限界って感じだ。
 ラステラの側は……レイと分離していた。っていうか動いてる。レイは気絶してるみたいだが、ラステラには動けるだけの力が残ってる。まずい。
 
(レルア! 今から地下40階に向かってくれ、俺も行く!) 
(了解しました)
 
「童が行く必要はなかろ」 
「いや、俺がここで座ってるだけってのはなんか、ほら、違うだろ」
「ふむ、そういうものかえ」 
 
 一応近くにあった紅蓮刀を引っ掴んで転移門ゲートを踏む。
 
「……アンタがマスターってワケ?」 
「いかにも俺がマスターだ」 
 
 やっぱ殺気立ってる大罪って弱ってても怖いな。レルアももう着く頃だと思うが……。
 
「はあ……認めるんですケド。今回は私の負けってワケ。契約もここで破棄するんですケド」 
「おう、そうか! 話が早くて助かる。ま、ここで死んだところで上で復活するけどな」 
「はあ? アンタはそうでも、私はそうはいかないんですケド。まあ詳しいことは色欲ラビにでも聞けばいいと思うんですケド――」 
 
 ラステラが目を閉じると、その体は細かい橙のガラス片のようなものに変わり始め……数秒で完全に消えた。消え方が他の魔物と違うし、もしや大罪は復活できない……のか?
 
「マスター、レイは死ねば復活します。叛逆者はここで……地下51階以降で殺しておくべきかと」
 
 ああ、ラステラが消えたから魔術が解けて、肩の結晶部分が消えたのか。早いとこ止血しないと、というか止血しても間に合わない気がする。
 
「……ろ、ロード……」
「ゼーヴェ! どうした?」
 
 ゼーヴェもかなりヤバそうだな。今にも死にそうな雰囲気だ。……まあリフィスト曰く何しても無駄らしいが。
  
「勝手な願いであることは承知しておりますが、どうか、レイの記憶を消して……我々を忘れて平和に暮らせるように……していただけないでしょうか……」
「ゼーヴェ、分を弁えなさい。貴方の息子だとしても、叛逆者に変わりはありません」
「いや……本来ならそうすべきなんだろうが、レイがこうなったのは八割方俺の責任だ。ここはゼーヴェの意見を採用したい」 
「ロード……! ありがとうございます……! このご恩は、必ず……!」 
 
 そう言うと、ゼーヴェの姿は塵となって消えていった。
 まあこれはせめてもの罪滅ぼしだ。ひとまず止血しないと。別に無理に殺さずとも、傷治して記憶消して上に送ればいいだけだし。

「――遅延ディロウ――時遡ヒール」  
「……申し訳ありません。差し出がましい真似を……」 
「いやいやレルアが謝る必要はないってマジで!! 普通はその判断が正しいし、迷宮王マスターとしてはそうするべきだった」
 
 だが、無理だ。甘すぎる選択な気もするが、俺にレイを殺す権利はない。
 
「それで、ええと……その、レイの記憶を消してもらうことってできるか?」
「勿論です。お任せください。不自然にならないよう、忘却ヴァピルではなく改変アストルガを使用します」
「ありがとう、頼んだ」 
 
 さて……これで全部終わりか。今回は楽しくパーティする気にはなれないが、ゼーヴェとカインは特に頑張ってたしな。復活したら何か美味いもんでも贈ろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

欲しいのならば、全部あげましょう

杜野秋人
ファンタジー
「お姉様!わたしに頂戴!」 今日も妹はわたくしの私物を強請って持ち去ります。 「この空色のドレス素敵!ねえわたしに頂戴!」 それは今月末のわたくしの誕生日パーティーのためにお祖父様が仕立てて下さったドレスなのだけど? 「いいじゃないか、妹のお願いくらい聞いてあげなさい」 とお父様。 「誕生日のドレスくらいなんですか。また仕立てればいいでしょう?」 とお義母様。 「ワガママを言って、『妹を虐めている』と噂になって困るのはお嬢様ですよ?」 と専属侍女。 この邸にはわたくしの味方などひとりもおりません。 挙げ句の果てに。 「お姉様!貴女の素敵な婚約者さまが欲しいの!頂戴!」 妹はそう言って、わたくしの婚約者までも奪いさりました。 そうですか。 欲しいのならば、あげましょう。 ですがもう、こちらも遠慮しませんよ? ◆例によって設定ほぼ無しなので固有名詞はほとんど出ません。 「欲しがる」妹に「あげる」だけの単純な話。 恋愛要素がないのでジャンルはファンタジーで。 一発ネタですが後悔はありません。 テンプレ詰め合わせですがよろしければ。 ◆全4話+補足。この話は小説家になろうでも公開します。あちらは短編で一気読みできます。 カクヨムでも公開しました。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...