辺境伯家ののんびり発明家 ～異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々～

第1章：異世界転生！辺境伯家の発明少年

第20話「発明工房の始動と、王都での評判」

エルヴィンとベアトリスの協力によって「発明工房」が正式に立ち上がり、エルヴィンは工房の職人たちとともに、日々新しい魔道具の開発と改良に励むこととなった。発明工房では、エルヴィンが考案した「魔法オーブ」の量産が始まり、徐々に王都の商会や領地の人々にもその評判が広がりつつあった。

特に「魔法オーブ」は、小型で安定して魔力を供給できる便利な動力源として、王都で高い関心を集めていた。王都の住民たちは貴族だけでなく商人や職人も多く、彼らの中にはこのオーブを使って自分たちの道具や設備を改良しようとする者も現れ始めた。

ある日、エルヴィンは王都で取引をしている商会から呼び出され、「魔法オーブ」の大量注文を受けることになった。王都にはエルヴィンの評判を聞きつけた商会が集まっており、特に魔法オーブに興味を持つ商人たちが増えていた。そこで、エルヴィンは商会の代表者たちと会談し、オーブの用途や価格、納品スケジュールについて話し合うことになった。

エルヴィンはまだ幼いながらも、自分の発明が人々の生活に役立つという喜びと責任感を持って商談に臨んだ。商会の代表たちはエルヴィンの若さに驚きながらも、その発明家としての才能に感心し、彼の話を真剣に聞いてくれた。

「エルヴィン坊ちゃま、この魔法オーブは本当に便利な代物ですな。小型でありながら安定した魔力供給が可能で、しかも品質が非常に高い。ぜひ我が商会で扱わせていただきたいのですが、量産はどれほどのペースで可能でしょうか？」

エルヴィンはその質問に少し考え込んだ後、答えた。

「今の工房の規模では、月に数十個が限界ですが、もし必要ならさらに生産設備を拡張して、もっと多くのオーブを提供できるようにしたいと思っています。そのためには、より効率的な生産方法を確立する必要がありますが……」

ベアトリスと工房の職人たちが協力してくれることを前提に、エルヴィンはできる限りの対応を約束した。そして商会側も、エルヴィンの誠実な姿勢に感心し、彼の発明に期待を寄せていた。

「魔法オーブ」が順調に量産され始めたことで、エルヴィンは次なる発明に取りかかることにした。彼が考案したのは、魔法オーブを動力源とした「魔道ランプ」だった。これは、王都の広場で見かけたランプから着想を得て、魔力によって自動で点灯し、近くに人がいるときにだけ光を放つように調整できる機能を持たせたものだ。

エルヴィンは、夜道で使うためのランプとしても屋内の照明としても適している魔道ランプを開発し、試作品を作り上げた。このランプは、自分でスイッチを入れなくても周囲の暗さを感知し、自動で点灯する仕組みになっている。

工房で試作品を完成させたエルヴィンは、そのランプをベアトリスに見せた。彼女はその便利な機能に感心し、さらに改良のアドバイスをしてくれた。

「エルヴィン、これはなかなか面白い代物だね。ただ、夜間に使うなら少し光が強すぎるかもしれない。光の強さを調整できる機能を追加すれば、もっと便利になるんじゃないか？」

エルヴィンはその助言に頷き、ランプの表面に「光量調整」の魔道文字を追加し、使用者が光の強さを自分で調整できるようにした。この改良により、魔道ランプはさらに実用的なものとなり、王都の商会での取り扱いが決定した。

エルヴィンの発明品は次々と評判を呼び、彼の名前は王都でも少しずつ知られるようになっていった。工房にはエルヴィンの魔道具を使ってみたいという商人や職人が訪れ、彼の発明に興味を持つ者たちが集まってきた。

ある日、工房を訪れたのは、魔道具に詳しい若い職人のロイドだった。彼はエルヴィンの魔法オーブと魔道ランプに強い関心を抱き、自分もその開発に携わりたいと申し出た。

「僕も、エルヴィン坊ちゃまのような革新的な魔道具を作りたいんです。この工房で働かせてもらえませんか？」

エルヴィンはその申し出に少し驚いたが、熱意を感じ、ロイドを工房の一員として迎えることにした。ロイドは器用で魔道文字の刻印にも熟練しており、エルヴィンの発明の量産化に大きく貢献してくれることになった。

ベアトリスやロイド、そして工房の他の職人たちと協力しながら、エルヴィンの発明はますます磨きがかかり、工房は忙しくも充実した日々を送るようになった。

エルヴィンの「発明工房」は、今や王都の中でも評判の工房となり、多くの人々が彼の発明品を求めて訪れるようになっていた。魔法オーブや魔道ランプはもちろん、他にも小型の魔道具や日用品に便利な道具が次々と開発され、王都での需要が増え続けている。

その評判を耳にした貴族や商人の中には、エルヴィンに直接注文を依頼してくる者も現れるようになった。エルヴィンはその反応に喜びを感じる一方で、ますます「責任」を意識するようになった。

「自分が作る道具が、いろんな人の生活に役立っているんだ。だからこそ、品質には妥協せず、みんなが安心して使えるものを作り続けたい」

そう考えるようになったエルヴィンは、品質管理の仕組みも整えることを決意した。量産を担当する職人たちには細かなチェックリストを用意し、一つ一つの魔道具が確実に動作するように確認を徹底した。

王都での発明工房の評判が上がる中、エルヴィンは家族への報告を兼ねて一度領地に戻ることにした。父カールや母エレナ、そして妹リリィに、自分がどれだけの成果を上げられたかを伝えたいと思ったのだ。

帰省したエルヴィンが家族の前で発明の進捗を話すと、父カールはとても誇らしげに息子を見つめ、母エレナも喜びの表情を浮かべていた。リリィはまだ小さいが、兄が作った魔道具がどんなふうに役立っているか、楽しそうに耳を傾けていた。

「エルヴィン、お前の努力と才能が王都で認められているのは、私にとっても誇りだ。これからも、周りの人々の生活を豊かにするために努力を惜しむな」

「はい、父上。これからももっと頑張ります！」

エルヴィンは家族の温かい言葉を胸に刻み、さらに発明家としての道を突き進むことを誓った。

家族からの応援を受けたエルヴィンは、次なる目標として「王国全体に自分の発明品を届ける」ことを目指すようになった。これまでは王都の一部や自分の領地内での取引が中心だったが、もっと多くの人々に自分の魔道具を使ってもらうことで、王国全体の生活をより便利で豊かなものにしたいと考えたのだ。

エルヴィンは王都の発明工房を拠点としつつ、さらなる発展のための計画を立て始めた。例えば、工房の規模を拡張し、より多くの職人を雇うことで生産力を強化すること。そして、王都の外の都市や他の領地とも連携し、自分の魔道具を広く普及させるための流通網を整えることを考えた。

「僕の発明で、もっとたくさんの人々を笑顔にできたらいいな」

エルヴィンはそんな夢を胸に、王国中に自分の発明を届けるための道を歩み始めた。彼の「発明工房」は、今や王都の職人たちや商人、貴族たちの間でも話題となり、ますます多くの人々が彼の発明を待ち望むようになっていた。

エルヴィンの異世界発明ライフは、ここからさらに大きな目標へと向かい、王国全体を豊かにする夢へと進んでいく。