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第1章:異世界転生!辺境伯家の発明少年

第16話「王都への再訪と、エルヴィンの新たな決意」

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リリィのために次々と魔道具を作り、家族を守る手助けができることに喜びを感じていたエルヴィンだったが、心の中には「もっと多くの人の役に立つものを作りたい」という新しい思いが芽生えていた。そこで彼は、再び王都を訪れ、そこでの出会いや経験を通してさらに発明家としての知識と技術を広げることを考えた。

父カールが王都で開かれる貴族の会議に出席することになり、エルヴィンも同行する許可を得たのだ。前回の訪問で王都の活気や商会の多様な商品に感銘を受けたエルヴィンは、今回の旅でも新たな発見があるだろうと期待に胸を膨らませていた。

護衛として近衛兵のエドガーと数人の兵士が付き添い、シュトラウス家の馬車で王都へ向けて出発した。馬車の中でエルヴィンは、新しい発明のアイデアが浮かぶたびにノートに書き留めながら、道中の風景を楽しんでいた。

王都に到着したエルヴィンは、再びあの大きな市場通りを見て、自然と胸が高鳴った。今回の目的は、自分の発明を世に広めるためのヒントを得ることと、リリィや家族のためだけでなく、もっと多くの人に喜んでもらえる魔道具のアイデアを探すことだ。

エルヴィンは、まずは前回訪れた「ガレット商会」に足を運ぶことにした。ガレット商会は王都でも有数の商会であり、最新の魔道具や日用品を扱っている。エルヴィンが自分の発明を商会に持ち込むことで、実際に売り物として取り扱ってもらえないか相談することも考えていた。

店に入ると、支配人のガレットがエルヴィンの姿を見つけてにこやかに迎えてくれた。

「おや、エルヴィン坊ちゃま。またお会いできて光栄です。今日は何をお探しでしょうか?」

ガレットの言葉に、エルヴィンは少し緊張しながらも、自分の考えを素直に伝えることにした。

「ガレットさん、僕、もっとたくさんの人の役に立つ魔道具を作りたいと思っているんだ。今は家族や妹のために作っているけど、将来的にはもっと広く役立つものを考えたいんです」

ガレットはその言葉に目を細め、興味深そうにエルヴィンを見つめた。

「素晴らしい心がけですね。坊ちゃまのような若い発明家が、そこまで考えていらっしゃるとは。何か具体的なアイデアはありますか?」

エルヴィンは少し考えてから、以前に作った「体温センサー」や「空気清浄石」のような健康管理の魔道具を、より多くの人が使えるよう改良したいと話した。そして、王都での生活に便利な小型の移動道具や、屋内で使える安全な照明具についても興味を持っていることを伝えた。

ガレットはその話に深く頷き、店内の商品をいくつか紹介しながら、エルヴィンにいくつかのアドバイスをくれた。

「確かに、体温や空気を管理する魔道具は、特にこの季節の変わり目には需要が高まります。王都には多くの人々が住んでおり、特に子供や老人の健康管理には気を使っていますからね」

エルヴィンはその言葉に励まされ、家族の健康を守る魔道具をより多くの人に届ける意欲がさらに高まった。さらに、ガレットが見せてくれた商品を見て、いくつか新しいアイデアも浮かんだ。

商会を出たエルヴィンは、王都の市場を歩きながら、もう一つの目的である「人々の生活を観察する」ことに集中した。市場には様々な職人や商人、そして買い物客がひしめき合っており、彼らの会話や日常の様子を見ているだけで、多くのヒントを得られる気がした。

ふと、ある露店で「魔法オーブ」と呼ばれる小さなクリスタル玉が展示されているのが目に入った。オーブの中には小さな魔力鉱が埋め込まれており、光の加減で淡く輝く美しい道具だった。エルヴィンはその魔法オーブに興味を持ち、近くで観察することにした。

店主が説明するには、この魔法オーブは一定量の魔力を蓄えて動力源として使うことができ、ランプや小型の家電に接続して使用するものらしい。しかし、製造には高度な技術が必要で、非常に高価なため一般人にはなかなか手が届かないのだという。

「なるほど、魔力を蓄えて使う動力源か……。これなら、僕が作った魔道具にも応用できるかもしれない」

エルヴィンは、魔法オーブの仕組みを観察しながら、自分でも似たような動力源を作れないかと考え始めた。もしこのオーブをもっと手軽に作れるようにすれば、多くの人の生活が便利になるだろうというアイデアが浮かんだのだ。

「これを改良して、誰でも使えるようにできたら、きっと役立つはずだ!」

その場で魔法オーブを購入することはできなかったが、エルヴィンはしっかりとその構造を頭に焼き付け、後で試作してみる決意をした。

その後、エルヴィンは護衛のエドガーとともに、貴族や商人が集まる王都の広場へと向かった。広場には豪華な噴水があり、その周りには美しい装飾が施されたランプが並んでいる。エルヴィンはそのランプにも興味を持ち、じっくりと観察を始めた。

このランプには魔力鉱が使われており、日が暮れると自動的に光を灯す仕組みになっている。しかし、エルヴィンはこの仕組みをもっと簡単で便利なものにできないかと考えた。例えば、魔力を節約できるように、光の強さを調節する機能や、近くに人がいるときだけ点灯する機能を追加できれば、より実用的になるのではないかと思ったのだ。

「人が近づくと自動で光が点く……そういう仕組みを組み込めば、屋敷の中でも使いやすくなるかも」

エルヴィンは広場のランプからアイデアを得て、自分の発明に応用できる魔道具の新しい設計図を頭の中で描き始めた。

エルヴィンはその日の夕方、王都の滞在先であるシュトラウス家の屋敷に戻った。父カールと夕食を共にしながら、今日の王都での発見や新しいアイデアについて話した。

「父上、王都には本当にたくさんの面白い道具があるね。今日は、ガレットさんのところで体温センサーの改良について相談したんだ。もっと多くの人の役に立てるようにしたいんだ」

父カールはエルヴィンの言葉に満足そうに頷き、彼に期待を込めた眼差しを向けた。

「エルヴィン、お前はまだ若いが、すでにこの世界で多くの人々の役に立つことを考えている。私も誇らしく思うよ。しかし、発明には時に危険も伴う。慎重に取り組むことを忘れず、常に安全を第一に考えるのだぞ」

「はい、父上!安全に気をつけて、みんなが安心して使える魔道具を作っていきます」

エルヴィンはその言葉に力強く頷いた。彼の中で「発明家」としての決意がさらに固まり、これからも家族や人々のために役立つ道具を作り続けたいという思いが強まった。

その夜、エルヴィンはノートに今日の発見やアイデアを書き込んだ。市場で見かけた魔法オーブの構造や、広場のランプから得たヒントで「自動点灯機能を持つランプ」の設計を始め、さらに魔力を蓄えられる小型の動力源を試作する計画を立てた。彼のノートには、家族や周りの人々の生活を便利にするためのアイデアが次々と綴られていく。

「家族や友達、そしてもっと多くの人々が喜んでくれる道具を作るんだ……!」

エルヴィンはそのノートを見つめながら、発明家としての未来を想像し、静かに笑みを浮かべた。王都での再訪を通して得た新しい知識と経験は、彼にとって貴重な財産となり、彼の創作意欲をさらに掻き立てていた。

彼の異世界発明ライフは、家族のため、友達のため、そしてこの世界の人々のために——ますます広がり続けていく。
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