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第二幕
11.悪の吼える夜③*
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「庄助ぇ。ワガママ言わんで協力してくれや。俺たちは戦友だろ? これもヤクザのシノギの一つじゃねえか。な?」
「……違うっ! 俺がやりたいのは、こんなんやないっ!」
「ハハッ、散々俺の金で美味えもん食って酒飲んだんだろうが。その金はな、庄助。ヒカリが股開いて稼いだ金なんだよ」
「そ、そんなんっ……」
「もらってばっかじゃ気が引けるよな? だから、下っ端のお前にも稼がせてやるっつってんだ、大人しくしてろ」
向田の声を合図に、まだ柔らかい店長のペニスが、庄助の眼前にまろび出た。
「ひゃぎゃ……っ」
「あ~ほっぺやわらかい。子供みたいだねえ」
おぞましいことに店長は、庄助の頬にペニスを擦り付けてきた。手指の間で陰茎が摩擦されるネチネチという音が不快だ。
ほどなくして硬くなった先端から、じわっと滲み出たカウパーは糸を引いて、そのまま庄助の頬に塗りつけられた。
生臭い雄の匂いが鼻を通り抜けて、吐き気がした。
「うぅ……」
汚いと思った。幹の真ん中が太く張り出して赤茶色く、景虎のものよりは一回り以上小さいが色も形も違うそれを、絶対に口に入れたくなかった。
「ヒカリちゃんっ! ヒカリちゃんはホンマにこんなことする男が好きなんか!?」
店長のペニスから極限まで顔を背けて、庄助は大声を出した。その切羽詰まった声に、ヒカリはビクンと顔を上げた。
「よく見ろ! 未来ある若者を二人がかりで押さえつけて、ちんこ舐めさせようとしてるオッサンが、ホンマに運命の人なんか!? 情けなさすぎやろ、ええトシしたっ……ぎゃうっ」
鳩尾の上に向田の大きな膝頭が落ちてきて、庄助は赤い液体を口の端から吐き出した。口腔に溜まった鼻血と、腹から逆流した胃液の混じったものだ。
腹を圧迫され、空気が口だけでなく鼻の穴からも、血を伴ってごぽごぽと吹き出す。
「よく喋るなあ、そんなに口にチンポ突っ込まれてえのか」
怒りで青筋の立った向田の掌が、庄助の喉を捉える。締め上げてくる指は、景虎のそれよりも節くれ立ち、太かった。
狭まる気道と自分の血の両方に溺れそうになりながら、それでも庄助は言葉を止めなかった。
「やってみろ、噛みちぎったる」
腹を踏まれて頬を張られても、庄助は向田を睨み続けた。
「ヒカリちゃんも俺も、お前らの商品やない」
首を絞められて真っ赤になった顔で、庄助は言った。
「じゃあなんだってんだ、言ってみろや」
「……っ、ニンゲン、やろが、普通に!」
血の泡を吹き上げる庄助を見て、向田は嘲笑った。
「はっ……そんな情けない格好して、なにがニンゲンだ、クソガキが。おい、いい加減黙らせろ、わからせてやれ」
それを聞くと、店長は庄助の鼻をつまんだ。血液でぬめる鼻の粘膜が、粘ついた厭な音を立てた。
酸素を求めて否が応でも口が開くと、頬の内側の傷に真新しい空気が染みた。
「はが……くそっ、くそ!」
庄助の唇に、膨張したペニスの先端が押し当てられる。ところどころに短い毛の生えた、干し柿のような質感の陰囊が、ぴたりと額に触れた。
「……違うっ! 俺がやりたいのは、こんなんやないっ!」
「ハハッ、散々俺の金で美味えもん食って酒飲んだんだろうが。その金はな、庄助。ヒカリが股開いて稼いだ金なんだよ」
「そ、そんなんっ……」
「もらってばっかじゃ気が引けるよな? だから、下っ端のお前にも稼がせてやるっつってんだ、大人しくしてろ」
向田の声を合図に、まだ柔らかい店長のペニスが、庄助の眼前にまろび出た。
「ひゃぎゃ……っ」
「あ~ほっぺやわらかい。子供みたいだねえ」
おぞましいことに店長は、庄助の頬にペニスを擦り付けてきた。手指の間で陰茎が摩擦されるネチネチという音が不快だ。
ほどなくして硬くなった先端から、じわっと滲み出たカウパーは糸を引いて、そのまま庄助の頬に塗りつけられた。
生臭い雄の匂いが鼻を通り抜けて、吐き気がした。
「うぅ……」
汚いと思った。幹の真ん中が太く張り出して赤茶色く、景虎のものよりは一回り以上小さいが色も形も違うそれを、絶対に口に入れたくなかった。
「ヒカリちゃんっ! ヒカリちゃんはホンマにこんなことする男が好きなんか!?」
店長のペニスから極限まで顔を背けて、庄助は大声を出した。その切羽詰まった声に、ヒカリはビクンと顔を上げた。
「よく見ろ! 未来ある若者を二人がかりで押さえつけて、ちんこ舐めさせようとしてるオッサンが、ホンマに運命の人なんか!? 情けなさすぎやろ、ええトシしたっ……ぎゃうっ」
鳩尾の上に向田の大きな膝頭が落ちてきて、庄助は赤い液体を口の端から吐き出した。口腔に溜まった鼻血と、腹から逆流した胃液の混じったものだ。
腹を圧迫され、空気が口だけでなく鼻の穴からも、血を伴ってごぽごぽと吹き出す。
「よく喋るなあ、そんなに口にチンポ突っ込まれてえのか」
怒りで青筋の立った向田の掌が、庄助の喉を捉える。締め上げてくる指は、景虎のそれよりも節くれ立ち、太かった。
狭まる気道と自分の血の両方に溺れそうになりながら、それでも庄助は言葉を止めなかった。
「やってみろ、噛みちぎったる」
腹を踏まれて頬を張られても、庄助は向田を睨み続けた。
「ヒカリちゃんも俺も、お前らの商品やない」
首を絞められて真っ赤になった顔で、庄助は言った。
「じゃあなんだってんだ、言ってみろや」
「……っ、ニンゲン、やろが、普通に!」
血の泡を吹き上げる庄助を見て、向田は嘲笑った。
「はっ……そんな情けない格好して、なにがニンゲンだ、クソガキが。おい、いい加減黙らせろ、わからせてやれ」
それを聞くと、店長は庄助の鼻をつまんだ。血液でぬめる鼻の粘膜が、粘ついた厭な音を立てた。
酸素を求めて否が応でも口が開くと、頬の内側の傷に真新しい空気が染みた。
「はが……くそっ、くそ!」
庄助の唇に、膨張したペニスの先端が押し当てられる。ところどころに短い毛の生えた、干し柿のような質感の陰囊が、ぴたりと額に触れた。
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