ぬきさしならへんっ!

夢野咲コ

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番外編

ラブリーウサチャンオシオキヘブン③*

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 カゲはなんだかんだ言って、俺をいじめるのが好きなんだと思う。被害妄想とかじゃなく。
「……やめ、もぅっ……」
 泣いてよがって、感じてどうしようもなくなっている俺を見て興奮している。絶対それって変態やのに、俺はカゲの興奮した表情にまた興奮する。……変態の永久機関が誕生してもーた。

 カゲは、顔面だけはええから。だからブーストかかってるだけで、俺はほんまはこんな……こんな変態プレイは好きじゃないはずや。だんだん何を言っているのかわからなくなってきた。
「まだ二つ目だろ、我慢してろ」
「無理、むりやて……う、あ……」
 体内に二個目のローターが侵入してくる。一つ一つは小さくても、二つも入ると違和感と圧迫感がすごい。
 むっつりスケベのカゲは意外とおもちゃを使うのが楽しいらしく、俺はたまにその餌食になる。
 こういうとき俺はずっと酒に酔ったみたいになる。エロすぎてくらくらしてくる、やらしい道具でやらしいことをしてくるカゲも、されている自分にも。

 テーブルに座って足を広げさせられた。女の下着みたいに小さいパンツを、脱がせてももらえずにずらして尻をいじられる。指で少し慣らすと、そこらに置いてある店の備品のピンクローターを挿れられた。声を殺すのに必死で、俺の背中はずっと汗ばんでいた。
「二つ目のスイッチも入れていいか」
 カゲはこうやって、あたかもちょっと意見を聞いてくれるような『フリ』をする。でもこの質問は結局一択なのだ。嫌がっても受け入れても、どうせスイッチは入れられる。
 だけど俺は嫌がってみる、無駄だとわかっても。受け入れるなんて、到底考えられないくらい恥ずかしい行為だった。
「イヤ……イヤや、無理やもん、無理……ん゙~……っ」
 言葉は無視されて予想通り、体内で新たにもう一つ振動する物体が増えて、俺の目の裏が刺激にチカチカした。
 こうやって選択の余地を与えているようで実は何も与えていない、なんかそういうやり口が手慣れているというか、意識せず自然にやってしまっているというか。こういう時、カゲはホンマにヤクザやってきた人なんやなって感じる。

「気持ちよさそうだけどな」
「あほ……よくないわっ! あ゙っあ……やめろ、ヘンなるってぇ……」
「もう十分ヘンだろ。仮にもヤクザの男が、こんなところでバニーの格好でおもちゃでケツ弄られて、ぴーぴー泣いて」
「……ぐ、おぼえとけよボケっ……」
 カゲの指が、二本のコードを飲み込む孔を撫でる。中はそれぞれ違う強さとリズムで振動していて、どっちがどっちなのかわからない。辛うじて気持ちいいところに直撃するのを免れているのでなんとか耐えられているものの、もうこれ以上何かされたりするとやばいのがわかった。
「あ……!?」
 カゲがもう一つ同じ種類のローターを手に取るのが見えて、俺はさすがに青ざめた。
「かげ……、いやや、それもうっ」
「庄助、これは躾なんだ。お前が二度とこんな格好で外に出ないように」
「嘘つけよお前っ、楽しんでるやろ……ひッ、あかんって、や、め……」
 ささやかな抵抗も虚しく、ローションでぬかるんだ穴に三つめのローターが押し当てられる。挿れられないようにぎゅっと閉じると、腹の中で動く二つの機械を食い締めてしまう。急激に腰に広がる気持ちよさに、思わず喉が鳴った。
「く、ぅン……お゙っ、あ……!」
 カゲの肩にすがってシャツ越しに爪を立てた。俺の頬に何度もキスをしながら、カゲはゆっくりと、わざと意識させるようなやり方で小さな機械を埋めてゆく。
 一緒に挿入されたカゲの太い指が、ぐっと最後のローターを押し込めて前立腺のところに食い込ませるように当てた。頭から足の先までが、下から上にぞくんと震えた。
「イ、ひっ……もう抜けって、やめ……ろっ」
「庄助は慣れてるんだ、余裕だろ」
「でも、でもっ……!」
 当たってるんやもん。カゲは俺の感じるとこ知ってるから、絶対めちゃくちゃに乱される。
 この部屋明らかに防音じゃないやん、大きな声も音も、フロントまで届かないとは言い切れない。あの太った店長さんだって、カゲに脅されたとはいえ、あんまり騒いでいると何かあったと思って部屋に入ってくるかもしれん。
 勝手に店の備品を使ってすんません、それ以前の問題や。こんなところで男同士でヤっててすんません。ぐるぐると頭で考えている俺に、カゲはキスをしてきた。

「ん、んぅっ、ン……! ゔ、うんんっ!」
 唇が重なった瞬間にどくんと異物が蠢いて、その後カチカチと機械同士がぶつかる音が身体の中で聞こえた。
 カゲがローターのダイヤルを指で動かすと、腹の中が容赦なくモーターによって揺らされた。段違いに気持ちいいのがこみ上げてきて、涙が出た。でも、もっとすごい刺激が来ると思ったのに。カゲはわざと振動を弱くしているのか、絶頂するほどではなかった。
「おっ……はぁ、んっん……、ぅゔ~~っ」
 上顎の裏の凹凸を何度も舌で確かめるようになぞられて、酸欠になりそうだった。薄く目を開けると、カゲの長いまつ毛が見える。左の頬の、引き攣れた古い刀疵も。
 切なかった、身体の中が。めちゃめちゃにローターでいじめられてるのにまだ足りない。もっと乱暴で凶悪な、いつものカゲのを突き入れてほしかった。
「あ~~っ、あ゙っ……う、あはっ……」
 カゲの唇が離れてしまうと、情けない声が喉から上がって口腔の外に出た。泣いている顔を見られるのが嫌で下を向いたが、勃起してエプロンを持ち上げる張り詰めたちんこと、胎内に続いているであろう三本の細いコードがちらりと見えて、俺はあまりのエグさに目を閉じた。
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