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魔女狩りの日
深緑の女王6
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「どこなの……?」
テンが感覚を研ぎ澄ましていると、確かな風切り音が聞こえた。
咄嗟にテンは顔を腕でガードする。
しなりのあるイバラの攻撃が、テンの腕にぶつかる。
ローズは綿毛に隠れながら、鞭のようなイバラを使い、凄まじい速さでテンを攻撃し続ける。
その攻撃に隙はなく、軌道が読みづらいのでテンは防ぐことで手いっぱいになった。
「くっ!」
上半身ばかり狙う攻撃にテンの足元がお留守になる。
ローズはその隙を狙い、イバラをテンの脚に絡ませる。
そして釣りをするように、思い切り引っ張る。
バランスを崩したテンは引っ張られて宙に浮き、そのまま地面に叩きつけられた。
「くそっ!」
ローズはもう一度、テンを空中に浮かせようと力を込める。
「このっ!」
テンは座ったまま、自分の脚に絡みつくイバラを両手で握る。
怪力に任せて、テンは逆にイバラを引っ張った。
力では勝てないローズは、テンのほうへ手繰り寄せられる。
踏ん張っていたテンだが、急に相手の力がなくなったので背中から地面に倒れる。
ローズがイバラを体から切り離したからだ。
「くっ、どこにいるの?」
立ちあがろうとしたテンの周辺に、拳ほどの大きさの種が植え付けられた。
そしてテンの体にも、2つ種が突き刺さる。
「なに!?」
種は地面の中とテンの体の中から、硬い植物を生やす。
植物は急速に成長し、テンの体に絡まり、そして刺し、体の自由を奪った。
「くっ……」
「終わりじゃ小娘」
ローズは綿毛の中から姿を現し、拘束されているテンの胸を踏んだ。
「ま、まだ……」
「力量の差も見抜けんか。貴様らはわしには勝てん」
踏む力がさらに強まる。
確かな痛みがテンを襲った。
テンは苦しんでいる仲間のほうを見て、歯ぎしりをする。
「みんなを……殺さないで」
テンはローズに懇願した。
ローズは冷たい目で見下ろす。
「その程度の実力で、わしと勝負をしようなどとは笑い種じゃな……のぼせ上がりおって。だがまぁ……お前は少しだけ認めてやろう」
ローズは足裏をテンからどかし、拘束していた植物を引っ込めた。
植物は地面に帰り、そしてテンの体からも消える。
「……え?」
「ヤマトの服着たあの小娘2人は論外。体が変化する娘はまだマシじゃが、やはり論外……お前にはほんの少しだけ見込みがあるといったところか」
「ローズ?」
「だがのぼせ上がるなよ。わしと貴様は対等ではない、それは念頭に置いておけ」
「う、うん」
ローズは地面から植物を生やし、椅子を作り出した。
それに尻を置いて、テンを睨みつける。
「ね、ねぇ。みんなの毒を解いてよ」
「は?」
「もう戦いは終わりなんでしょ?みんなを助けてあげて」
「ふん、あれは痺れ粉じゃ。死にはせん、しばらくすれば体は動く」
「え?ああ……そうなんだ」
「しかしこんな小娘たちのどこにフェスターが惹かれたのか……意外と乳臭いのが好きなのか?そうなるとわしは完敗じゃな」
「……は?」
ローズが何を言ってるのか分からず、テンは混乱した。
ローズはテンをじっと見つめ、質問を投げかける。
テンが感覚を研ぎ澄ましていると、確かな風切り音が聞こえた。
咄嗟にテンは顔を腕でガードする。
しなりのあるイバラの攻撃が、テンの腕にぶつかる。
ローズは綿毛に隠れながら、鞭のようなイバラを使い、凄まじい速さでテンを攻撃し続ける。
その攻撃に隙はなく、軌道が読みづらいのでテンは防ぐことで手いっぱいになった。
「くっ!」
上半身ばかり狙う攻撃にテンの足元がお留守になる。
ローズはその隙を狙い、イバラをテンの脚に絡ませる。
そして釣りをするように、思い切り引っ張る。
バランスを崩したテンは引っ張られて宙に浮き、そのまま地面に叩きつけられた。
「くそっ!」
ローズはもう一度、テンを空中に浮かせようと力を込める。
「このっ!」
テンは座ったまま、自分の脚に絡みつくイバラを両手で握る。
怪力に任せて、テンは逆にイバラを引っ張った。
力では勝てないローズは、テンのほうへ手繰り寄せられる。
踏ん張っていたテンだが、急に相手の力がなくなったので背中から地面に倒れる。
ローズがイバラを体から切り離したからだ。
「くっ、どこにいるの?」
立ちあがろうとしたテンの周辺に、拳ほどの大きさの種が植え付けられた。
そしてテンの体にも、2つ種が突き刺さる。
「なに!?」
種は地面の中とテンの体の中から、硬い植物を生やす。
植物は急速に成長し、テンの体に絡まり、そして刺し、体の自由を奪った。
「くっ……」
「終わりじゃ小娘」
ローズは綿毛の中から姿を現し、拘束されているテンの胸を踏んだ。
「ま、まだ……」
「力量の差も見抜けんか。貴様らはわしには勝てん」
踏む力がさらに強まる。
確かな痛みがテンを襲った。
テンは苦しんでいる仲間のほうを見て、歯ぎしりをする。
「みんなを……殺さないで」
テンはローズに懇願した。
ローズは冷たい目で見下ろす。
「その程度の実力で、わしと勝負をしようなどとは笑い種じゃな……のぼせ上がりおって。だがまぁ……お前は少しだけ認めてやろう」
ローズは足裏をテンからどかし、拘束していた植物を引っ込めた。
植物は地面に帰り、そしてテンの体からも消える。
「……え?」
「ヤマトの服着たあの小娘2人は論外。体が変化する娘はまだマシじゃが、やはり論外……お前にはほんの少しだけ見込みがあるといったところか」
「ローズ?」
「だがのぼせ上がるなよ。わしと貴様は対等ではない、それは念頭に置いておけ」
「う、うん」
ローズは地面から植物を生やし、椅子を作り出した。
それに尻を置いて、テンを睨みつける。
「ね、ねぇ。みんなの毒を解いてよ」
「は?」
「もう戦いは終わりなんでしょ?みんなを助けてあげて」
「ふん、あれは痺れ粉じゃ。死にはせん、しばらくすれば体は動く」
「え?ああ……そうなんだ」
「しかしこんな小娘たちのどこにフェスターが惹かれたのか……意外と乳臭いのが好きなのか?そうなるとわしは完敗じゃな」
「……は?」
ローズが何を言ってるのか分からず、テンは混乱した。
ローズはテンをじっと見つめ、質問を投げかける。
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