屍人の王とキョンシー娘の葬送行進曲

吸血鬼姉妹

依頼4

「フェスターくぅぅん！！」
「……マギー？」

ドラゴンは砂埃を上げながら地面に降りた。
そしてその背中からマギーとブルースが顔を出した。

「暗黒街の商人がやってきたぞ！！」
「冗談だろ？」

マギーはブルースを連れて、軽快に館のドアをノックした。
フェスターは不審に思いながらも扉を魔法で開く。

「君の家に遊びにきたのは久しぶりだな！」
「今日はテンションが高いなお前。あのドラゴンなんだ？」

エントランスホールでフェスターは彼を出迎えた。

「まぁじっくり話そう。コーヒーが出ると嬉しいんだけど」
「こっちこい」

フェスターはダイニングルームに彼らを案内した。
マギーらをソファーに座らせ、テンに自慢のコーヒーを出させる。

「マギー久しぶり！地下街で買ったコーヒーなんだけど口に合うかな？」
「お久しぶり！すごく美味しいよ！いくらでも飲めるなこれは。それはそうと……」

マギーはミユとコトネの顔を見た後に、フェスターを見た。

「君の娘たちか？」
「馬鹿言うな。居候だよ」
「館が賑やかになって羨ましいよ。お名前は？」
「おらお前ら挨拶しろ」
「はじめましてミユです」
「コトネだ」
「私はマギーだ。こっちはブルース。よろしくね」

挨拶を済ませたマギーは咳払いをして、話を始めた。

「伝書鴉の手紙読んだよ、この前は残念だったね、メビーラ教の件だ」
「ああ、オイトはみんなと仲良く自殺したからな。無駄骨だった」
「まぁそういうこともあるさ。気を落とすな」
「で？あのドラゴンなんだ？」　
「オークションで競り落としたんだ。かっこいいだろう！」
「また思い切って買ったな。高いだろあれ」
「美しいものが金で買えたんだ。後悔なんてない」
「見せびらかしにきたのか？」
「ああ、当然だろう」
「そうか、すごく感動したよ。ドラゴンなんて滅多に見られるもんじゃないからな。お前ら乗せてもらったらどうだ？」
「え！？乗りたい！」

テンは目をキラキラと輝かせた。
嬉しそうなマギーは「もちろんいいよ」と了承する。

「じゃあ遊覧飛行の前に仕事の話をしようか」
「やっぱり本題があるんだな」
「もちろんさ。とある物を手に入れてきてほしい」
「なんだ？」
「ネックレスだ」
「どこにある？」
「ミールブルグという町だよ、知ってるかな？」
「いや」
「そこの領主が持ってる。盗ってきてほしい」
「おい、それ泥棒だろう」

コトネが嫌そうな顔をして言った。
ミユの表情も暗い。