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善人だけの世界
追加少女
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「これ美味しいんだ!お店で買ったんだけどね、カフェラテっていうの!」
上機嫌なテンから出された熱いカフェラテを、ミユとコトネは口にした。
今まで味わったことのない甘味が口の中に広がり、2人は驚愕する。
「美味しい!」
「うん!こんなの飲んだことない!」
「そうでしょーそうでしょー!」
客の反応に満足がいったテンはさらにニコニコ笑顔になる。
酒をラッパ飲みしながらそれを見ているフェスターの顔は険しい。
「なんでこいつらを館に招かなきゃならないんだ」
「そういうところだよフェスター。あなたには優しさが足りなさすぎる」
テンは村で拾ったウルクス神の教えが書いてある本をフェスターの前に置いた。
彼はそれを手に取るなり、魔法で燃やして近くのアンデッドに投げつけた。
「ミユちゃんもコトネちゃんも頼れる人がいないんだ。それに聞いたでしょ?すごく苦労して生きてきたんだから」
「苦労なんざ誰でもしてる。ここは託児所じゃねぇぞ」
「あの……ご迷惑ならすぐに出ていきますので」
ミユは頭を下げて言った。
フェスターは彼女をまじまじと見つめる。
「あ!女の子に頭下げさせた!」
「うるせぇよ」
「いいじゃん、フェスターって巫女に興味があったんでしょ?いさせてあげようよ、宿屋開けるくらい部屋もあるんだし」
フェスターは考え込み、鼻を鳴らした。
「まぁテンの言うことも一理ある。俺は巫女に興味があってな、お前神の力ってやつを使えるんだろ?」
「ええ……使えるというより貸していただくが正しいですね」
「どっちでもいい。お前死んだ人間を蘇らせることはできるか?」
「え?蘇生ですか?どうして?」
「強いアンデッドを作るためだ」
「えっと……すみません。人を生き返らせることはできません。でも修行を積めば、もしかしたらできるようになるかもしれません」
「ふーん……」
「フェスターお願いだよ、ケチな男は嫌われるよ?それにミユちゃんたちがいなかったら私たちたぶんやられてたんだし」
フェスターは頭を掻いて、酒を呷った。
「いいだろう。だがタダ飯食らいは許さん。ちゃんと働けよ」
「肉体労働なら任せてくれ」
「あとミユ、お前のことは調べさせてもらう。巫女の力を解き明かしたい」
「わ、分かりました。お役に立てるのなら」
「じゃあ早速研究を始める。とりあえず脱げ」
「はい……はい?」
ミユは目を丸くして、聞き返した。
自分の聞き間違いだと思ったからだ。
「だから服を脱げ。研究のためだ早くしろ」
失礼すぎるミユへの発言に、コトネは顔を真っ赤にした。
刀に手を当てて、今すぐにでも抜刀できるようにする。
「貴様!何を言ってるんだ!?」
「俺の役に立ちたいんだろう?だから脱げって言ってんだ」
「し、痴れ者め!その顔で好色家を気取ってるのか!?」
「そうなんだよ、この人スケベゾンビなんだよ」
「なんだお前ら!てめぇらの乳くせぇ体に興味なんかあると思ってんのか!?舐めた口聞きやがって全員娼館に売り飛ばすぞ!」
「やってみろ下郎!!」
「誰が下郎だ!」
獣のような下らない喧嘩を繰り広げるフェスターたちを見て、ミユは思わず笑ってしまった。
己の理想に従い、少しでも叶う日を想像しながら、彼女は温かいカフェオレを口にした。
上機嫌なテンから出された熱いカフェラテを、ミユとコトネは口にした。
今まで味わったことのない甘味が口の中に広がり、2人は驚愕する。
「美味しい!」
「うん!こんなの飲んだことない!」
「そうでしょーそうでしょー!」
客の反応に満足がいったテンはさらにニコニコ笑顔になる。
酒をラッパ飲みしながらそれを見ているフェスターの顔は険しい。
「なんでこいつらを館に招かなきゃならないんだ」
「そういうところだよフェスター。あなたには優しさが足りなさすぎる」
テンは村で拾ったウルクス神の教えが書いてある本をフェスターの前に置いた。
彼はそれを手に取るなり、魔法で燃やして近くのアンデッドに投げつけた。
「ミユちゃんもコトネちゃんも頼れる人がいないんだ。それに聞いたでしょ?すごく苦労して生きてきたんだから」
「苦労なんざ誰でもしてる。ここは託児所じゃねぇぞ」
「あの……ご迷惑ならすぐに出ていきますので」
ミユは頭を下げて言った。
フェスターは彼女をまじまじと見つめる。
「あ!女の子に頭下げさせた!」
「うるせぇよ」
「いいじゃん、フェスターって巫女に興味があったんでしょ?いさせてあげようよ、宿屋開けるくらい部屋もあるんだし」
フェスターは考え込み、鼻を鳴らした。
「まぁテンの言うことも一理ある。俺は巫女に興味があってな、お前神の力ってやつを使えるんだろ?」
「ええ……使えるというより貸していただくが正しいですね」
「どっちでもいい。お前死んだ人間を蘇らせることはできるか?」
「え?蘇生ですか?どうして?」
「強いアンデッドを作るためだ」
「えっと……すみません。人を生き返らせることはできません。でも修行を積めば、もしかしたらできるようになるかもしれません」
「ふーん……」
「フェスターお願いだよ、ケチな男は嫌われるよ?それにミユちゃんたちがいなかったら私たちたぶんやられてたんだし」
フェスターは頭を掻いて、酒を呷った。
「いいだろう。だがタダ飯食らいは許さん。ちゃんと働けよ」
「肉体労働なら任せてくれ」
「あとミユ、お前のことは調べさせてもらう。巫女の力を解き明かしたい」
「わ、分かりました。お役に立てるのなら」
「じゃあ早速研究を始める。とりあえず脱げ」
「はい……はい?」
ミユは目を丸くして、聞き返した。
自分の聞き間違いだと思ったからだ。
「だから服を脱げ。研究のためだ早くしろ」
失礼すぎるミユへの発言に、コトネは顔を真っ赤にした。
刀に手を当てて、今すぐにでも抜刀できるようにする。
「貴様!何を言ってるんだ!?」
「俺の役に立ちたいんだろう?だから脱げって言ってんだ」
「し、痴れ者め!その顔で好色家を気取ってるのか!?」
「そうなんだよ、この人スケベゾンビなんだよ」
「なんだお前ら!てめぇらの乳くせぇ体に興味なんかあると思ってんのか!?舐めた口聞きやがって全員娼館に売り飛ばすぞ!」
「やってみろ下郎!!」
「誰が下郎だ!」
獣のような下らない喧嘩を繰り広げるフェスターたちを見て、ミユは思わず笑ってしまった。
己の理想に従い、少しでも叶う日を想像しながら、彼女は温かいカフェオレを口にした。
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