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第149話 【生配信回】悪い冒険者をやっつけろ!④
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「一条先生!?」
「モンスレさん……!?」
ファルコンはすぐ手を引き、梨央もまた警戒して距離を取る。
「一条、お前、戻って来るにはまだ時間がかかるんじゃなかったのかよ?」
吾郎の問いに、モンスレは頷く。
「だから他のみんなは置いて、おれだけ先行して来たんだ。お陰で間に合った」
"主役は遅れてやってくるを素でやるとは"
"これでもう安心だ"
"来てくれてありがとう、本当にありがとう"[¥8888]
間合いを取った梨央に、モンスレは顔を向ける。
「梨央さん、もうよすんだ。君がその力を使えば使うほど、体には異常な負担がかかる。信じられない速度で寿命を消費してるんだ。このままじゃすぐ死んでしまうぞ!」
「急に出てきてなに言ってるの! そんなわけないじゃない! 人生で一番調子が良いくらいなのよ! 負担なんて全然ないわ!」
「それは本来あるはずの苦痛を、麻痺させられてるだけなんだよ。でなきゃ、全力で戦闘なんてできないから」
「例えそうだとしても、だからなに? なんの力もない、暴力に屈して泣くような毎日が何十年も続くよりは、この無敵の力で太く短く生きたほうがずっと有意義だわ!」
「その太く短くが、あとほんの数分だとしても?」
その言葉に、一瞬だが梨央はたじろいだ。
「き、極端なこと言って騙すつもりでしょ! あたしは他の連中みたいにバカじゃない! もう誰かに利用されて搾取されたりなんかしない! あなたと同じ――いや、もっとずっと強い力を手に入れたんだから!」
「フィリアさんなら、君の寿命を伸ばしてあげられるかもしれない。それで稼いだ時間で、研究を進めて、もとの人間に戻せる日も来るかもしれない。生きたいなら、その変身もすぐ解いて、おれたちと一緒に来るんだ」
「嘘よ! あなたはあたしから力を奪って、また上に立ちたいだけだ!」
モンスレはファルコンのほうを見遣る。
「君もだ、ファルコン。その状態は維持するだけでも命を削るはずだ。早く解除するんだ」
「……わかりました。正直、しんどかったっす……。梨央さんを止めるにはこれしかないって思ってましたけど、先生が一緒なら、安心っすね」
ファルコンはまた全身から蒸気を噴き出した。表皮を包んでいた体毛は抜け落ち、鋭い爪も剥がれて落ちる。骨格も、元の形状に戻っていく。やがて、最初のほとんど人間と言える姿になった。
その姿に頷いて、モンスレは再び梨央に向かう。
「さあ梨央さん、君も……」
「嫌だ! 誰があんたなんかに従うもんか! あたしをどうにかしたかったら、あたし以上の力でどうにかしてみろぉ!」
逆上した梨央が飛びかかってくる。
4本腕を2本ずつ、モンスレとファルコンに振り分けて同時攻撃してくる。
モンスレは剣と盾を巧みに使ってそれを捌く。
変身解除して身体能力に大きな差のできたファルコンは、相手の手数が半分になっても対応しきれていない。防御に回した両腕がひどく傷ついていく。
"モンスレさん、あの化け物の動きについて行ってるぞ"
"ついて行ってるっていうか、動きを予測して防御を置きにいってる感じ?"
"さすが、経験値が半端ないぜ!"
"いやなんで同じ怪物のファルコンが防げない攻撃を防げてんの"
"↑モンスレさんは、ボクシングでいうと井上、将棋でなら藤井、格付けチェックならガクトみたいな存在だから……"
"武器を! ファルコンにもなにか武器があれば!"
梨央の凄まじい速さに、さすがのモンスレもファルコンのフォローまではできない様子。
それを見かねたか、雪乃が動いた。
「これを使え!」
梨央に向かって剣を投擲。梨央は容易く弾くが、軌道の変わったその剣をファルコンがキャッチする。
「雪乃先生、ありがとうございます!」
その剣を使うことでファルコンも、攻撃を防ぐようになっていく。
初めこそ防御で精一杯だったのが、徐々に勢いを増していく。防御だけでなく、反撃する余裕さえ生まれてくる。
"やっぱり武器か"
"いやこれモンスレさんの動き真似てない?"
"こいつ、戦いの中で成長してるのか!?"
モンスレがにやりと笑う。
「いいね、さすがだよ」
「へへっ、本当に俺、もう先生より強いかも」
「調子に乗らないの、っと!」
息の合ったふたりが、同時に梨央を蹴り飛ばす。
「でも先生、どうやって止めればいいっすか。無力化しようにも傷もすぐ再生しちゃいますし」
「再生なんかさせたら寿命も削らせてしまうしね。無傷のまま気絶させるしかない」
「無茶言ってません?」
「やれるさ。おれたちには頼りになる仲間がいる」
ファルコンが周囲を見渡す。傷つき倒れていたはずの紗夜や結衣、雪乃や吾郎が、立ち上がってくれている。
「ファルコン、君はいいやつだけど、ひとりで抱え込みすぎだよ。もっと頼っていいんだ」
「……はいっ」
「みんな! やつの意識を奪う! 紗夜ちゃんは魔法で足止め、他のみんなは総出で腕を抑えてくれ。最後はおれが絞める!」
指示を飛ばすやいなや、モンスレは駆け出す。ファルコンもそれを追っていく。
起き上がった梨央は迎撃しようとするも、勢いづいたふたりの攻撃を防ぎきれない。ほどなくして体勢を崩す。
「紗夜ちゃん!」
「はい!」
すでに魔力を集中させていた紗夜が、両手で土系と氷系を同時に発動させる。
"えっ、『花吹雪』がふたりがかりでやってたことをひとりで!?"
"さすが魔法少女は伊達じゃない!"
梨央の足に土や石が張り付き、瞬間的に凍りつく。
間髪入れず、ファルコンが梨央の右に回り込み、2本の腕を抑え込む。左からは結衣が駆け込む。彼女の力では、1本が限度。残る1本の腕を、雪乃と吾郎がふたりがかりで捕まえる。
3秒にも満たないその間に、モンスレは梨央の背後に回っていた。その首に腕を回し、頸動脈を締め上げる。
「が、ぐ――っ!?」
"なんて見事なスリーパーホールドだ"
"これは……やったか!?"
"↑やってないフラグ立てんな!"
"でもモンスレさんなら、そんなフラグだって!"
"落ちろ、落ちろ、落ちろー!"
梨央は拘束を振りほどこうと抵抗するが、徐々に動きが弱まっていく。
そして、こてん、と頭がうなだれた。体から蒸気が噴き出してくる。
「あちちち!」
高温に耐えきれず、みんなが梨央から離れる。魔法で凍らされた足も溶けて、梨央はそのままうつ伏せに倒れた。
気絶したその体が、人に近い姿に戻っていく。
"うぉおおお! 倒したアアア!"
"ありがとうモンスレさん!"[¥28000]
"絞め技で勝利とかマニアックだな"[¥3000]
"ああ、みんな生きててよかった!"[¥25000]
"手に汗握る戦いだった、ありがとうー!"[¥10000]
「モンスレさん……!?」
ファルコンはすぐ手を引き、梨央もまた警戒して距離を取る。
「一条、お前、戻って来るにはまだ時間がかかるんじゃなかったのかよ?」
吾郎の問いに、モンスレは頷く。
「だから他のみんなは置いて、おれだけ先行して来たんだ。お陰で間に合った」
"主役は遅れてやってくるを素でやるとは"
"これでもう安心だ"
"来てくれてありがとう、本当にありがとう"[¥8888]
間合いを取った梨央に、モンスレは顔を向ける。
「梨央さん、もうよすんだ。君がその力を使えば使うほど、体には異常な負担がかかる。信じられない速度で寿命を消費してるんだ。このままじゃすぐ死んでしまうぞ!」
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「それは本来あるはずの苦痛を、麻痺させられてるだけなんだよ。でなきゃ、全力で戦闘なんてできないから」
「例えそうだとしても、だからなに? なんの力もない、暴力に屈して泣くような毎日が何十年も続くよりは、この無敵の力で太く短く生きたほうがずっと有意義だわ!」
「その太く短くが、あとほんの数分だとしても?」
その言葉に、一瞬だが梨央はたじろいだ。
「き、極端なこと言って騙すつもりでしょ! あたしは他の連中みたいにバカじゃない! もう誰かに利用されて搾取されたりなんかしない! あなたと同じ――いや、もっとずっと強い力を手に入れたんだから!」
「フィリアさんなら、君の寿命を伸ばしてあげられるかもしれない。それで稼いだ時間で、研究を進めて、もとの人間に戻せる日も来るかもしれない。生きたいなら、その変身もすぐ解いて、おれたちと一緒に来るんだ」
「嘘よ! あなたはあたしから力を奪って、また上に立ちたいだけだ!」
モンスレはファルコンのほうを見遣る。
「君もだ、ファルコン。その状態は維持するだけでも命を削るはずだ。早く解除するんだ」
「……わかりました。正直、しんどかったっす……。梨央さんを止めるにはこれしかないって思ってましたけど、先生が一緒なら、安心っすね」
ファルコンはまた全身から蒸気を噴き出した。表皮を包んでいた体毛は抜け落ち、鋭い爪も剥がれて落ちる。骨格も、元の形状に戻っていく。やがて、最初のほとんど人間と言える姿になった。
その姿に頷いて、モンスレは再び梨央に向かう。
「さあ梨央さん、君も……」
「嫌だ! 誰があんたなんかに従うもんか! あたしをどうにかしたかったら、あたし以上の力でどうにかしてみろぉ!」
逆上した梨央が飛びかかってくる。
4本腕を2本ずつ、モンスレとファルコンに振り分けて同時攻撃してくる。
モンスレは剣と盾を巧みに使ってそれを捌く。
変身解除して身体能力に大きな差のできたファルコンは、相手の手数が半分になっても対応しきれていない。防御に回した両腕がひどく傷ついていく。
"モンスレさん、あの化け物の動きについて行ってるぞ"
"ついて行ってるっていうか、動きを予測して防御を置きにいってる感じ?"
"さすが、経験値が半端ないぜ!"
"いやなんで同じ怪物のファルコンが防げない攻撃を防げてんの"
"↑モンスレさんは、ボクシングでいうと井上、将棋でなら藤井、格付けチェックならガクトみたいな存在だから……"
"武器を! ファルコンにもなにか武器があれば!"
梨央の凄まじい速さに、さすがのモンスレもファルコンのフォローまではできない様子。
それを見かねたか、雪乃が動いた。
「これを使え!」
梨央に向かって剣を投擲。梨央は容易く弾くが、軌道の変わったその剣をファルコンがキャッチする。
「雪乃先生、ありがとうございます!」
その剣を使うことでファルコンも、攻撃を防ぐようになっていく。
初めこそ防御で精一杯だったのが、徐々に勢いを増していく。防御だけでなく、反撃する余裕さえ生まれてくる。
"やっぱり武器か"
"いやこれモンスレさんの動き真似てない?"
"こいつ、戦いの中で成長してるのか!?"
モンスレがにやりと笑う。
「いいね、さすがだよ」
「へへっ、本当に俺、もう先生より強いかも」
「調子に乗らないの、っと!」
息の合ったふたりが、同時に梨央を蹴り飛ばす。
「でも先生、どうやって止めればいいっすか。無力化しようにも傷もすぐ再生しちゃいますし」
「再生なんかさせたら寿命も削らせてしまうしね。無傷のまま気絶させるしかない」
「無茶言ってません?」
「やれるさ。おれたちには頼りになる仲間がいる」
ファルコンが周囲を見渡す。傷つき倒れていたはずの紗夜や結衣、雪乃や吾郎が、立ち上がってくれている。
「ファルコン、君はいいやつだけど、ひとりで抱え込みすぎだよ。もっと頼っていいんだ」
「……はいっ」
「みんな! やつの意識を奪う! 紗夜ちゃんは魔法で足止め、他のみんなは総出で腕を抑えてくれ。最後はおれが絞める!」
指示を飛ばすやいなや、モンスレは駆け出す。ファルコンもそれを追っていく。
起き上がった梨央は迎撃しようとするも、勢いづいたふたりの攻撃を防ぎきれない。ほどなくして体勢を崩す。
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「はい!」
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"さすが魔法少女は伊達じゃない!"
梨央の足に土や石が張り付き、瞬間的に凍りつく。
間髪入れず、ファルコンが梨央の右に回り込み、2本の腕を抑え込む。左からは結衣が駆け込む。彼女の力では、1本が限度。残る1本の腕を、雪乃と吾郎がふたりがかりで捕まえる。
3秒にも満たないその間に、モンスレは梨央の背後に回っていた。その首に腕を回し、頸動脈を締め上げる。
「が、ぐ――っ!?」
"なんて見事なスリーパーホールドだ"
"これは……やったか!?"
"↑やってないフラグ立てんな!"
"でもモンスレさんなら、そんなフラグだって!"
"落ちろ、落ちろ、落ちろー!"
梨央は拘束を振りほどこうと抵抗するが、徐々に動きが弱まっていく。
そして、こてん、と頭がうなだれた。体から蒸気が噴き出してくる。
「あちちち!」
高温に耐えきれず、みんなが梨央から離れる。魔法で凍らされた足も溶けて、梨央はそのままうつ伏せに倒れた。
気絶したその体が、人に近い姿に戻っていく。
"うぉおおお! 倒したアアア!"
"ありがとうモンスレさん!"[¥28000]
"絞め技で勝利とかマニアックだな"[¥3000]
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