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二章

11 個別イベント 真夏の海水浴3

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「海に来た以上、少しは泳ぎたい」というお嬢様の願いを叶えるべく、パラソルを出た。向かう波打ち際、お嬢様が不意に足を止められ─

「…あー、そうか。ギャレン様の水着イベ、悪役令嬢わたしもチョイ役出演してたんだったな。…うん、忘れてた、失敗。」

「?」

お嬢様の視線の先を追えば、

「…ナディア・シュタイラート、貴様、ここで何をしている。」

「あれ?ナディアさんとジェイク?二人も遊びに来てたんだ!良かったら、一緒に遊ばない?」

近寄ってきた二人連れ、その片方の身分に頭を垂れる。

「えーっと、お二人の邪魔をするわけにはいきませんので、私達のことはどうぞお気になさらず、お二人でお楽しみください。」

「嫌味か、貴様!?こんな場所までつけ回しおって!挙句、エンジェの前に姿を現すなど!」

「おっしゃってる意味が分かりませんが、目障りでしたら、直ぐに退散いたします。はい、退散!」

「え?あ!ナディアさん!?ジェイク!待って!」

突如、己の腕を掴んで王太子殿下に背を向けたお嬢様。王太子殿下のお連れの呼びかけにも応えず、足早にその場を去るお嬢様の横顔はどこか必死で─

(…お嬢様、傷ついていらっしゃるのですね…)

如何いかに王太子殿下と言え、婚約者であるお嬢様を軽んじるかのような態度には、自身、思うところがある。他の女性を伴った、公務とは到底思えぬ王太子殿下のあの御姿。

「…お嬢様。」

「はー!焦った!まさかのウォーターメロンクラス!エンジェちゃん、なんか原作より成長してるんですけど!武器が!武器がグレードアップ!」

「…」

「ジェイク!!」

「あ、はい。如何されましたか、お嬢さ、」

「ジェイクは!ジェイクは惑わされたりしないよねっ!?」

「は…?、惑わ…?」

「魅惑のGカップ!いや!あれはもっと!もっとあったかもしれない!?」

「…」

「う~!」

苦悩を始めたお嬢様のお悩みが上手く汲み取れずに困惑する。何かをお悩みになっていることは確かなのに、それが、己が思うものとは異なるようで─

「…ジェイク?」

「はい、お嬢様。」

「見て。」

「?何を、」

「腕に縋っての上目遣い。胸まで押し付けてるんだよ?」

「む、…」

「身長差からくる眺めは如何でしょう?」

「…」

(眺め…?なが、なが、め。お嬢様の、む、…)

「よし。安心した。ありがとう、ジェイク。自身を取り戻せたよ。」




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