先輩が死んだ、ら自分も死んで転生した～今は魔王様に寄生して生きてます～

第四章 出世した

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「前世の俺って、どんな男だったの？」

おそれ多くも、陛下の御髪おぐしをといている時ですよ。

適当でいいよ、とかのたまうアッシュ様に、お世話係ですから、お世話係ですから、って押しきってのお仕事。

好きな人の体の一部に、合法的に触れられる、幸せ。お世話係最高！艶っ艶にしてやんよ！ってしてる時の、突然の質問。と言うか、アッシュ様、前世話なんて信じてるんだ。

「年の離れた女の子誑たぶらかしちゃうような、悪い男だった？」

タブラカされたかったなー。けど、はい、残念ながら―

「…先輩は、五歳上で、職場の先輩で、」

本当にただの先輩で。イケメンじゃなくて、休日は一日家でごろごろしてて、スポーツなんて絶対しない人で。

困ってる後輩を絶対に放って置けない人だった。

「…好きだったんだねえ。こんなとこまで追いかけて来るくらい。すごいすごい」

アッシュ様の目尻、元から下がってるけど、今、もっと下がってるから、不覚にも、涙腺緩みそうになって。

でも、仕事中だから。先輩言ってた、仕事中に泣くなって。後で愚痴くらい聞いてやるからって。お酒飲みに連れてってくれて、本当に愚痴聞いて、泣かせてくれた。

今は、泣かせてくれる人はいないけど、アッシュ様の『すごいすごい』が嬉しかったから。後で、部屋で、一人で泣く。あっちゃんいるから、大丈夫。