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第一章 転生した

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「あなた、馬鹿なの?」

赤髪魔術師のお姉さんに、鼻で笑われた。こっちは、家壊されてるのに、一応、頭まで下げてお願いしたんだよ?社畜OLの悲しいさが、だよね?なのに、この対応。

「アデリナさん、そのような言い方はないでしょう?」

聖職者なんだろうなーって感じのお姉さんが言ってくれたけど、このお姉さん自体も、困った顔でこっち見てるし。

「嬢ちゃん、リヒトに憧れんのはわかるけどよ。こっちは命懸けでやってんだ。遊び気分でついてこられんのは、ムカツクぜ」

筋肉剣士のお兄さんに睨まれて、リヒトって誰だよ。って思ったけど、流れ的に勇者のことだよね。睨まれると怖いんですけど。

だけど、こっちだってひくわけにはいかない。

「…何でもするので、お願いします」

だってさ、勇者のあんな力、見せられちゃったら。

フライングエイプって、そんな、指先一つで消し飛ばせるような魔物じゃないでしょ?もし、もし、あれが、先輩に向けられたら。

多分、て言うか、ほぼ確信。先輩は魔族、もしくは魔物に生まれ変わってる。四天王最弱くらいだったら、まだいいかもだけど。ザコキャラAとか、道中、狩りまくられる魔物Aとかだったら。

だって、私、村娘Aなんだよ?先輩だって何に生まれ変わってるかなんて。

やばい、血の気引いてきた。ダメだ、何か、何とかしないと。先輩に会えなくなる。先輩がまた、死んじゃう。そんなのは、嫌だ。

「お願いします!お願いします!」

膝をついて、頭を地面に擦り付ける。この世界に土下座なんてあるのか、知らないけど。

憐れでしょ?可哀想でしょ?勇者様のせいで家を失った、何の力もない村娘が、こんな姿さらしてるんだよ?

―ほら、みんな、見てるよ?

「…雑用係としてなら、連れていってやる。その代わり、足手まといだと判断した時点で置いていくからな」

心底、不本意だと言う声が降って来て、おでこ痛いけど、勝ったって思った。




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