43 / 50
第八章
8-2
しおりを挟む
「……何を、言っているの……?」
レジーナは、本気でリオネルが何を言っているのかがわからなかった。茫然としたまま聞き返し、それに、彼が真剣な表情で見つめ返したことで漸く、彼の言葉を理解する。
(本気なの……?)
けれど、理解した後も、レジーナの胸の内に浮かんだのは喜びではなかった。僅かな不快と共に、「彼の意図は何だろう」と疑問に思うだけ。婚約破棄を無かったことにして、彼は何をしたいのか。その答えを探ろうとしている自分に気が付いて、レジーナは小さくため息をついた。
「あなたの頼みはきけないわ」
最早習い性、つい条件反射的に、彼が言葉にしない部分を読みとろうとしたが、そんなものは必要ない。彼の思惑が何であれ、レジーナの答えは一つしかないのだから。
「婚約破棄を無かったことには出来ない」
言い切ったレジーナに、リオネルの表情が歪む。泣きそうな顔で前髪を掻き上げたリオネルが、小さく「そうだな」と呟いた。
拒絶をあっさりと受け入れたリオネルに内心で安堵して、レジーナは立ち上がる。一人になりたかったが、彼に捕まってしまった以上、この場に長居は無用。立ち去ろうとしたレジーナだったが、その行く手をリオネルに阻まれた。
「……まだ、何かあるの?」
「すまない。もう少しだけ、どうしても、君に話を聞いて欲しい。聞いてくれるだけでいいんだ……」
今までのように、怒るでも諌めるでもなく、ただただ懇願するリオネルに、レジーナは戸惑う。その一瞬の躊躇に、彼が一歩、二人の間の距離を詰めた。
「レジーナ、私は君とやり直したい」
「それはもう断ったでしょう?できないと言ったはずよ」
「分かっている。婚約破棄をなかったことにはできない。……だが、また新たにやり直すことはできないだろうか?」
彼の言葉が信じられず、レジーナは言葉を失う。二人の間にやり直せるものなど何もない。それは、彼自身が粉々に打ち砕いてしまったのだから。
レジーナの中に怒りが生まれる。悔しくて、腹立たしい。簡単に「やり直し」を口にする彼が許せなかった。怒りに任せて口を開きかけたレジーナだったが、リオネルがその先を制す。
「私に対する君の怒りや不信はもっともだ。私の裏切りを思えば当然のこと。それは甘んじて受け入れる」
「……」
「だが、どうかお願いだ。私を切り捨てるのだけは止めてほしい。私たちの間にあったものを、全て無かったことにはしないでくれ」
自分勝手な彼の言葉に、レジーナは嗤いそうになった。二人の間にあったもの。それがあったからこそ、自分はあれほど苦しんだというのに――?
「……あなたは、エリカを愛しているのでしょう?」
怒りを押し殺したレジーナの言葉に、リオネルはそっと視線を逸らす。そのことがまた、レジーナの怒りを誘った。
(どうして即答しないの?)
彼女を愛しているからこそ、自分との婚約を破棄したのではないか。「切り捨てるな」というが、先に自分を切り捨てたのはリオネルの方だ。そこまでして手に入れた愛を――例えシリルのことがあろうと――簡単に手放してしまえるものなのか。
(その程度の想いで、私は捨てられたというの……?)
レジーナの胸の内に、グルグルと怨嗟がとぐろを巻き始める。だが、リオネルがそれに気づいた様子はない。
「……エリカは、エリカのことは、何というか……。私は、彼女に理想を見すぎていたのだと思う」
彼はレジーナを見ることもせず、ただ、苦渋に満ちた自身の思いを吐き出す。
「彼女の姿に理想を重ねて、彼女ではない『誰か』に恋をしていた。……それに気付いた今、私は己の愚かさを痛感している」
吐き出して、漸くレジーナに視線を向けたリオネルが、レジーナの右手を取ろうとした。レジーナが咄嗟に避け、届かなかった距離に、二人の間に沈黙が落ちる。
リオネルが、深い溜息をついた。
「君と築いてきたもの、これから築いていこうとしていたもの、それら全てを投げ出してしまうなんて、本当に、愚かだった……」
初めて目にするリオネルの姿。常の自信を失い、打ちひしがれる彼を、レジーナは黙って見つめる。
レジーナの視線を真っすぐ受け止めたリオネルが、片足を引き、その場に跪いた。
「……レジーナ、私のことを一生許さなくて構わない。それでも、どうか、もう一度だけ、私に償いの機会を与えてくれないか」
言って、リオネルが右手を差し出した。その手が震えている。
「どうか、私と共に歩く未来を考えてほしい」
不安に揺れる瞳、差し出された手を見下ろして、レジーナの胸には様々な思いが去来する。
リオネルが私を選んだ。私の元に戻ってきた。思い描いていた未来を共に歩こうと願ってくれている。
(これが、三日前なら……)
三日前なら、レジーナはきっと彼を受け入れた。彼への執着を捨てて、「これで楽になれる」と嘯きながらも、結局は捨て切れない想いがあったから。彼の裏切りも何もかもなかったことにして、その手をとっただろう。
そして、きっとまた、泣くのだ――
「……レジーナ?」
知らず自嘲したレジーナに、リオネルが戸惑いを見せる。行き場のない彼の手を見下ろして、レジーナは告げた。
「あなたと共に生きるのは無理よ」
「っ!レジーナ!」
悲痛な叫びをあげたリオネルに、レジーナは首を横に振る。
「あなたって、笑って心にもないことを口にするの」
「それは、君を傷つけたくなくて!……いや、だが、反省する。君を余計に傷つけていたというのなら二度としないと誓う。だから、どうか……!」
必死に言い募るリオネルの言い分は分かる。確かに、全てを言葉にされていれば、それはそれで、レジーナは傷ついていただろうから。だから、問題はそこではない。
「私は、あなたの『正しさ』がつらい。あなたの期待を裏切る度、あなたは私に失望していく。その度、私は自分の至らなさを痛感して、自分が惨めで駄目な人間に思えてしまうの」
「待ってくれ!そんなつもりはないんだ!」
リオネルの叫びに、レジーナは首を横に振る。
「あなたの理想が悪いわけではないわ。期待外れに失望してしまうのも仕方ないことだと思う。だけど、私はそれを読めてしまうから……」
例え「弱さ」だ「甘え」だと言われようと、否定され続け磨耗したレジーナには、もう抗う気力も、努力する恋慕も残されていない。
「きっと、あなたは正しい。だけど、その正義に到らない私を、到らない私のまま愛してくれる人でなければ、私にはもう無理なの」
レジーナの言葉に、リオネルが立ち上がる。触れんばかりの距離に近づいて、レジーナを見下ろした。
「レジーナ、すまない!君をそこまで傷つけていたとは……!気付けなかった私を許してほしいとは言えない。だが、努力する!きっと、変わってみせる!私は、ありのままの君を愛してみせるから!」
「違うわ……」
そうではないのだと、レジーナは首を横に振る。
リオネルに――他の誰であろうと、愛する努力をして欲しいわけではない。そんなことをする必要ないくらい、自分を認めて必要としてほしいだけ。
(……それに、求めてほしい相手はリオネルじゃない……)
脳裏に浮かぶ人の姿に、レジーナの胸がツキリと痛む。彼への告白の答えは保留されたまま。彼とここでお別れになる可能性を考えると、レジーナは泣きそうになる。
「……レジーナ」
不意に、リオネルがレジーナを抱きしめた。初めての温もり、かつて慣れ親しんだ匂いを、レジーナは彼の胸に両手を突っ張り拒絶する。
「離して、リオネル……」
「駄目だ……!」
そう口にしたリオネルの腕の力が強まる。
「レジーナ、頼む、どこにも行かないでくれ。私の心を、君への想いを疑わないでほしい。私の心をいくら読んでくれても構わない」
レジーナの耳に、リオネルが深く息を吸う音が聞こえた。
「私には、君が必要なんだ……!」
レジーナは、本気でリオネルが何を言っているのかがわからなかった。茫然としたまま聞き返し、それに、彼が真剣な表情で見つめ返したことで漸く、彼の言葉を理解する。
(本気なの……?)
けれど、理解した後も、レジーナの胸の内に浮かんだのは喜びではなかった。僅かな不快と共に、「彼の意図は何だろう」と疑問に思うだけ。婚約破棄を無かったことにして、彼は何をしたいのか。その答えを探ろうとしている自分に気が付いて、レジーナは小さくため息をついた。
「あなたの頼みはきけないわ」
最早習い性、つい条件反射的に、彼が言葉にしない部分を読みとろうとしたが、そんなものは必要ない。彼の思惑が何であれ、レジーナの答えは一つしかないのだから。
「婚約破棄を無かったことには出来ない」
言い切ったレジーナに、リオネルの表情が歪む。泣きそうな顔で前髪を掻き上げたリオネルが、小さく「そうだな」と呟いた。
拒絶をあっさりと受け入れたリオネルに内心で安堵して、レジーナは立ち上がる。一人になりたかったが、彼に捕まってしまった以上、この場に長居は無用。立ち去ろうとしたレジーナだったが、その行く手をリオネルに阻まれた。
「……まだ、何かあるの?」
「すまない。もう少しだけ、どうしても、君に話を聞いて欲しい。聞いてくれるだけでいいんだ……」
今までのように、怒るでも諌めるでもなく、ただただ懇願するリオネルに、レジーナは戸惑う。その一瞬の躊躇に、彼が一歩、二人の間の距離を詰めた。
「レジーナ、私は君とやり直したい」
「それはもう断ったでしょう?できないと言ったはずよ」
「分かっている。婚約破棄をなかったことにはできない。……だが、また新たにやり直すことはできないだろうか?」
彼の言葉が信じられず、レジーナは言葉を失う。二人の間にやり直せるものなど何もない。それは、彼自身が粉々に打ち砕いてしまったのだから。
レジーナの中に怒りが生まれる。悔しくて、腹立たしい。簡単に「やり直し」を口にする彼が許せなかった。怒りに任せて口を開きかけたレジーナだったが、リオネルがその先を制す。
「私に対する君の怒りや不信はもっともだ。私の裏切りを思えば当然のこと。それは甘んじて受け入れる」
「……」
「だが、どうかお願いだ。私を切り捨てるのだけは止めてほしい。私たちの間にあったものを、全て無かったことにはしないでくれ」
自分勝手な彼の言葉に、レジーナは嗤いそうになった。二人の間にあったもの。それがあったからこそ、自分はあれほど苦しんだというのに――?
「……あなたは、エリカを愛しているのでしょう?」
怒りを押し殺したレジーナの言葉に、リオネルはそっと視線を逸らす。そのことがまた、レジーナの怒りを誘った。
(どうして即答しないの?)
彼女を愛しているからこそ、自分との婚約を破棄したのではないか。「切り捨てるな」というが、先に自分を切り捨てたのはリオネルの方だ。そこまでして手に入れた愛を――例えシリルのことがあろうと――簡単に手放してしまえるものなのか。
(その程度の想いで、私は捨てられたというの……?)
レジーナの胸の内に、グルグルと怨嗟がとぐろを巻き始める。だが、リオネルがそれに気づいた様子はない。
「……エリカは、エリカのことは、何というか……。私は、彼女に理想を見すぎていたのだと思う」
彼はレジーナを見ることもせず、ただ、苦渋に満ちた自身の思いを吐き出す。
「彼女の姿に理想を重ねて、彼女ではない『誰か』に恋をしていた。……それに気付いた今、私は己の愚かさを痛感している」
吐き出して、漸くレジーナに視線を向けたリオネルが、レジーナの右手を取ろうとした。レジーナが咄嗟に避け、届かなかった距離に、二人の間に沈黙が落ちる。
リオネルが、深い溜息をついた。
「君と築いてきたもの、これから築いていこうとしていたもの、それら全てを投げ出してしまうなんて、本当に、愚かだった……」
初めて目にするリオネルの姿。常の自信を失い、打ちひしがれる彼を、レジーナは黙って見つめる。
レジーナの視線を真っすぐ受け止めたリオネルが、片足を引き、その場に跪いた。
「……レジーナ、私のことを一生許さなくて構わない。それでも、どうか、もう一度だけ、私に償いの機会を与えてくれないか」
言って、リオネルが右手を差し出した。その手が震えている。
「どうか、私と共に歩く未来を考えてほしい」
不安に揺れる瞳、差し出された手を見下ろして、レジーナの胸には様々な思いが去来する。
リオネルが私を選んだ。私の元に戻ってきた。思い描いていた未来を共に歩こうと願ってくれている。
(これが、三日前なら……)
三日前なら、レジーナはきっと彼を受け入れた。彼への執着を捨てて、「これで楽になれる」と嘯きながらも、結局は捨て切れない想いがあったから。彼の裏切りも何もかもなかったことにして、その手をとっただろう。
そして、きっとまた、泣くのだ――
「……レジーナ?」
知らず自嘲したレジーナに、リオネルが戸惑いを見せる。行き場のない彼の手を見下ろして、レジーナは告げた。
「あなたと共に生きるのは無理よ」
「っ!レジーナ!」
悲痛な叫びをあげたリオネルに、レジーナは首を横に振る。
「あなたって、笑って心にもないことを口にするの」
「それは、君を傷つけたくなくて!……いや、だが、反省する。君を余計に傷つけていたというのなら二度としないと誓う。だから、どうか……!」
必死に言い募るリオネルの言い分は分かる。確かに、全てを言葉にされていれば、それはそれで、レジーナは傷ついていただろうから。だから、問題はそこではない。
「私は、あなたの『正しさ』がつらい。あなたの期待を裏切る度、あなたは私に失望していく。その度、私は自分の至らなさを痛感して、自分が惨めで駄目な人間に思えてしまうの」
「待ってくれ!そんなつもりはないんだ!」
リオネルの叫びに、レジーナは首を横に振る。
「あなたの理想が悪いわけではないわ。期待外れに失望してしまうのも仕方ないことだと思う。だけど、私はそれを読めてしまうから……」
例え「弱さ」だ「甘え」だと言われようと、否定され続け磨耗したレジーナには、もう抗う気力も、努力する恋慕も残されていない。
「きっと、あなたは正しい。だけど、その正義に到らない私を、到らない私のまま愛してくれる人でなければ、私にはもう無理なの」
レジーナの言葉に、リオネルが立ち上がる。触れんばかりの距離に近づいて、レジーナを見下ろした。
「レジーナ、すまない!君をそこまで傷つけていたとは……!気付けなかった私を許してほしいとは言えない。だが、努力する!きっと、変わってみせる!私は、ありのままの君を愛してみせるから!」
「違うわ……」
そうではないのだと、レジーナは首を横に振る。
リオネルに――他の誰であろうと、愛する努力をして欲しいわけではない。そんなことをする必要ないくらい、自分を認めて必要としてほしいだけ。
(……それに、求めてほしい相手はリオネルじゃない……)
脳裏に浮かぶ人の姿に、レジーナの胸がツキリと痛む。彼への告白の答えは保留されたまま。彼とここでお別れになる可能性を考えると、レジーナは泣きそうになる。
「……レジーナ」
不意に、リオネルがレジーナを抱きしめた。初めての温もり、かつて慣れ親しんだ匂いを、レジーナは彼の胸に両手を突っ張り拒絶する。
「離して、リオネル……」
「駄目だ……!」
そう口にしたリオネルの腕の力が強まる。
「レジーナ、頼む、どこにも行かないでくれ。私の心を、君への想いを疑わないでほしい。私の心をいくら読んでくれても構わない」
レジーナの耳に、リオネルが深く息を吸う音が聞こえた。
「私には、君が必要なんだ……!」
22
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説
虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ
くわっと
恋愛
黒く長い髪が特徴のフォルテシア=マーテルロ。
彼女は今日も兄妹・父母に虐げられています。
それは時に暴力で、
時に言葉で、
時にーー
その世界には一般的ではない『黒い髪』を理由に彼女は迫害され続ける。
黒髪を除けば、可愛らしい外見、勤勉な性格、良家の血筋と、本来は逆の立場にいたはずの令嬢。
だけれど、彼女の髪は黒かった。
常闇のように、
悪魔のように、
魔女のように。
これは、ひとりの少女の物語。
革命と反逆と恋心のお話。
ーー
R2 0517完結 今までありがとうございました。
半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!
八代奏多
恋愛
侯爵令嬢のレティシアは恵まれていなかった。
両親には忌み子と言われ冷遇され、婚約者は浮気相手に夢中。
そしてトドメに、夢の中で「半月後に死ぬ」と余命宣告に等しい天啓を受けてしまう。
そんな状況でも、せめて最後くらいは幸せでいようと、レティシアは努力を辞めなかった。
すると不思議なことに、状況も運命も変わっていく。
そしてある時、冷徹と有名だけど優しい王子様に甘い言葉を囁かれるようになっていた。
それを知った両親が慌てて今までの扱いを謝るも、レティシアは許す気がなくて……。
恵まれない令嬢が運命を変え、幸せになるお話。
※「小説家になろう」「カクヨム」でも公開しております。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
悪役令嬢の幸せは新月の晩に
シアノ
恋愛
前世に育児放棄の虐待を受けていた記憶を持つ公爵令嬢エレノア。
その名前も世界も、前世に読んだ古い少女漫画と酷似しており、エレノアの立ち位置はヒロインを虐める悪役令嬢のはずであった。
しかし実際には、今世でも彼女はいてもいなくても変わらない、と家族から空気のような扱いを受けている。
幸せを知らないから不幸であるとも気が付かないエレノアは、かつて助けた吸血鬼の少年ルカーシュと新月の晩に言葉を交わすことだけが彼女の生き甲斐であった。
しかしそんな穏やかな日々も長く続くはずもなく……。
吸血鬼×ドアマット系ヒロインの話です。
最後にはハッピーエンドの予定ですが、ヒロインが辛い描写が多いかと思われます。
ルカーシュは子供なのは最初だけですぐに成長します。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる