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2.花束を抱えて
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【傑視点】
——じいわ、じぃわ……
蝉が鳴く。
息をするだけで汗の滲む残暑である。
痛みさえ感じそうな夕陽を背負い、俺は商店街の端を進んでいた。
牛歩である。
輪を作った諸腕に視線を落とし、
「……どうしよう」
俺は本日幾度目かの溜息をついた。
腕から溢れんばかりの花束こそが鈍足の原因だ。
自ら買ったのではない。何の気無しに回した福引で、偶然当たっただけである。
折角アヤさんから夕飯のお誘いを受けているというのに。
花束を抱えて想い人を訪ねるなど——
「無理だよぉ……」
ヘタレの称号を頂く俺には、ハードルが高過ぎる。
Twitterお題「花束を抱えて」より
——じいわ、じぃわ……
蝉が鳴く。
息をするだけで汗の滲む残暑である。
痛みさえ感じそうな夕陽を背負い、俺は商店街の端を進んでいた。
牛歩である。
輪を作った諸腕に視線を落とし、
「……どうしよう」
俺は本日幾度目かの溜息をついた。
腕から溢れんばかりの花束こそが鈍足の原因だ。
自ら買ったのではない。何の気無しに回した福引で、偶然当たっただけである。
折角アヤさんから夕飯のお誘いを受けているというのに。
花束を抱えて想い人を訪ねるなど——
「無理だよぉ……」
ヘタレの称号を頂く俺には、ハードルが高過ぎる。
Twitterお題「花束を抱えて」より
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