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閑話No10(3)
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「行くぞ!」
街道から外れて、森の奥に進む冒険者達。
既に武器は手にして警戒態勢を取りながら、慎重に歩を進めている。
その最後尾を、ヨタヨタついて行く少女。
やがて先頭を歩く冒険者が手で合図を出し全員の動きを止めた後、小声で指示を出す。
「おい、ギルドの書類で見た事がある魔獣がいる。確かあいつの魔力レベルは5だったはずだな?」
自身の魔力レベルが4であるので、それ以上の相手に対しては一切鑑定ができない。
当然既に鑑定を試しているが判定できないので、魔力レベル5以上が確定している。
そんな中、流石は熟練の冒険者であるので、姿だけで相手の魔力レベルを判断できた。
とは言えギルドの資料に記載の魔獣の魔力レベルは、平均的な魔力レベルの記載だ。
人族も魔力レベルが上昇するように、魔獣も魔力レベルが上昇するからだ。
自分達よりも魔力レベルが上である魔獣を目の前にした冒険者。
「どうする?魔力レベル5であれば、俺達三人であれば倒せるんじゃないか?」
「ハンネルのギルドの対応も知っておきたいし、俺は倒す方に賛成だ」
「万が一は、あいつがいるからな」
最後の冒険者の発言と共に、全員が少し遠くで疲れた顔をしている少女を見る。
「決まりだな」
こうして魔力レベル4のパーティーは、推定魔力レベル5の魔獣と戦う事を決意した。
「おい、お前はここを動くなよ」
少女に一言だけ指示をすると、冒険者は一斉に魔獣に襲い掛かった。
不意打ちを受けた形になった魔獣は、一撃目をまともに食らってしまう。
「こいつ、相当硬いぞ!身体強化を使っているはずだ」
「ならば魔術で対応する。少し時間を稼げ」
「任せろ!」
身体強化に魔力を使っている冒険者。
この世界では魔術を行使する際には魔力レベルに応じた魔力を魔力強化に移行する必要がある。
彼らは同時に身体強化と魔力強化は使えないのだ。
更には、魔術に対しての防御は魔力強化で、身体強化による攻撃は身体強化で防御するのが最も効果的であるのはこの世界の常識だ。
身体強化で防御をしていると思われる魔獣に対しては魔力強化による魔術での攻撃が有効であると判断し、即座に行動を取る。
そのため、一人の冒険者が攻撃魔術を行使するための魔力移行を行う時間を稼ぐように、残りの二人に伝えたのだ。
二人の冒険者は魔獣に身体強化による猛攻撃を加えるが、魔獣側に大きなダメージはない。
「どけ!」
すると、残りの一人が攻撃をしている冒険者二人に指示を出す。
攻撃魔術の準備が整ったのだ。
魔術を行使した冒険者の体から白い光がほとばしり、魔獣を直撃する。
この冒険者が使用した魔術は、雷魔術。
比較的どの魔獣にもダメージを与えられると言われている魔術だ。
魔力レベルが格上の魔獣である為、一撃で倒せると思っていない冒険者。
魔術が直撃したのを見ると、残りの二人も魔獣から距離を取って魔力強化に魔力を移行し始めた。
その間は、既に魔術を行使していた冒険者が連続で魔術攻撃をする。
やがて残りの二人も魔術を行使すると、魔獣はその巨体を地へ沈めた。
「よし、やったぞ」
「これだけ大物だど、全ては持って行けないな」
「おい、グズ!この角、牙を全部剥ぎ取れ!」
以前見た資料の討伐証明部位と、最も高価と記載されていた部位を剥ぎ取るように少女に指示を出す。
その間の冒険者達はいつもの通りさっさとこの場を後にするのではなく、周囲の調査を継続して行う事にした。
だが、この少女からあまり離れると少女の奴隷の首輪に影響を及ぼす。
そのため、主として登録している冒険者がその制限を解除した。
もちろん少女にはそんな事は分からない。
「俺達は少し周囲を警戒して戻ってくる。その間に素材は全て剥ぎ取っておけ」
「わかりました~」
こうして冒険者は、少女を中心にして三方向にそれぞれ調査のために散っていった。
残された少女は必死で作業をしていたのだ。
既に朦朧としている中で作業をしているので、どれくらい時間が経ったのかも分からない少女。
周囲が騒がしくなって、ようやく少し意識が覚醒する。
すると、周りには既に冒険者が三人全員戻ってきているが、周囲にいるのは冒険者だけではなかった。
既に素材を剥ぎ取った魔獣、推定魔力レベル5の魔獣と同じ魔獣が五体、少女と冒険者を囲うように佇んでいたのだ。
「おい、流石に五体は無理だ。どうする?」
「あっちの方向を見ろ、少々魔獣の間隔が他よりも開いている。あっちはハンネル王国の方角だ」
「成程な。じゃあそれでいくか。首輪の制限、解除しているんだろ?」
少女の直ぐ傍で続く会話。
意識が覚醒した少女は、何となく自分の未来を想像した。
恐らくこの場で囮にされるのだ。
どう抗おうとも、魔力レベル2の自分がこの魔獣に勝てるわけもない。
そもそも既に気力も体力も限界に来ているのだ。
一度で良いから、素敵な人に何か心のこもったプレゼントを貰いたかった……と思いつつ、全てを受け入れた少女。
「こいつは、どこか攻撃して動けないようにしていくか?」
「いや、そこまでしなくても既にフラフラだろ?」
「そうだな。だが魔獣の隙を作る必要がある。グズ、最後に少しは俺達の役にたって見せろ」
さんざんこき使ってきたにもかかわらず、今まで何にも役に立っていないかの物言いの冒険者。
既に立ち上がる事も出来ない少女の襟首をつかむと、尤も魔獣が近接している箇所に少女を投げ込む。
街道から外れて、森の奥に進む冒険者達。
既に武器は手にして警戒態勢を取りながら、慎重に歩を進めている。
その最後尾を、ヨタヨタついて行く少女。
やがて先頭を歩く冒険者が手で合図を出し全員の動きを止めた後、小声で指示を出す。
「おい、ギルドの書類で見た事がある魔獣がいる。確かあいつの魔力レベルは5だったはずだな?」
自身の魔力レベルが4であるので、それ以上の相手に対しては一切鑑定ができない。
当然既に鑑定を試しているが判定できないので、魔力レベル5以上が確定している。
そんな中、流石は熟練の冒険者であるので、姿だけで相手の魔力レベルを判断できた。
とは言えギルドの資料に記載の魔獣の魔力レベルは、平均的な魔力レベルの記載だ。
人族も魔力レベルが上昇するように、魔獣も魔力レベルが上昇するからだ。
自分達よりも魔力レベルが上である魔獣を目の前にした冒険者。
「どうする?魔力レベル5であれば、俺達三人であれば倒せるんじゃないか?」
「ハンネルのギルドの対応も知っておきたいし、俺は倒す方に賛成だ」
「万が一は、あいつがいるからな」
最後の冒険者の発言と共に、全員が少し遠くで疲れた顔をしている少女を見る。
「決まりだな」
こうして魔力レベル4のパーティーは、推定魔力レベル5の魔獣と戦う事を決意した。
「おい、お前はここを動くなよ」
少女に一言だけ指示をすると、冒険者は一斉に魔獣に襲い掛かった。
不意打ちを受けた形になった魔獣は、一撃目をまともに食らってしまう。
「こいつ、相当硬いぞ!身体強化を使っているはずだ」
「ならば魔術で対応する。少し時間を稼げ」
「任せろ!」
身体強化に魔力を使っている冒険者。
この世界では魔術を行使する際には魔力レベルに応じた魔力を魔力強化に移行する必要がある。
彼らは同時に身体強化と魔力強化は使えないのだ。
更には、魔術に対しての防御は魔力強化で、身体強化による攻撃は身体強化で防御するのが最も効果的であるのはこの世界の常識だ。
身体強化で防御をしていると思われる魔獣に対しては魔力強化による魔術での攻撃が有効であると判断し、即座に行動を取る。
そのため、一人の冒険者が攻撃魔術を行使するための魔力移行を行う時間を稼ぐように、残りの二人に伝えたのだ。
二人の冒険者は魔獣に身体強化による猛攻撃を加えるが、魔獣側に大きなダメージはない。
「どけ!」
すると、残りの一人が攻撃をしている冒険者二人に指示を出す。
攻撃魔術の準備が整ったのだ。
魔術を行使した冒険者の体から白い光がほとばしり、魔獣を直撃する。
この冒険者が使用した魔術は、雷魔術。
比較的どの魔獣にもダメージを与えられると言われている魔術だ。
魔力レベルが格上の魔獣である為、一撃で倒せると思っていない冒険者。
魔術が直撃したのを見ると、残りの二人も魔獣から距離を取って魔力強化に魔力を移行し始めた。
その間は、既に魔術を行使していた冒険者が連続で魔術攻撃をする。
やがて残りの二人も魔術を行使すると、魔獣はその巨体を地へ沈めた。
「よし、やったぞ」
「これだけ大物だど、全ては持って行けないな」
「おい、グズ!この角、牙を全部剥ぎ取れ!」
以前見た資料の討伐証明部位と、最も高価と記載されていた部位を剥ぎ取るように少女に指示を出す。
その間の冒険者達はいつもの通りさっさとこの場を後にするのではなく、周囲の調査を継続して行う事にした。
だが、この少女からあまり離れると少女の奴隷の首輪に影響を及ぼす。
そのため、主として登録している冒険者がその制限を解除した。
もちろん少女にはそんな事は分からない。
「俺達は少し周囲を警戒して戻ってくる。その間に素材は全て剥ぎ取っておけ」
「わかりました~」
こうして冒険者は、少女を中心にして三方向にそれぞれ調査のために散っていった。
残された少女は必死で作業をしていたのだ。
既に朦朧としている中で作業をしているので、どれくらい時間が経ったのかも分からない少女。
周囲が騒がしくなって、ようやく少し意識が覚醒する。
すると、周りには既に冒険者が三人全員戻ってきているが、周囲にいるのは冒険者だけではなかった。
既に素材を剥ぎ取った魔獣、推定魔力レベル5の魔獣と同じ魔獣が五体、少女と冒険者を囲うように佇んでいたのだ。
「おい、流石に五体は無理だ。どうする?」
「あっちの方向を見ろ、少々魔獣の間隔が他よりも開いている。あっちはハンネル王国の方角だ」
「成程な。じゃあそれでいくか。首輪の制限、解除しているんだろ?」
少女の直ぐ傍で続く会話。
意識が覚醒した少女は、何となく自分の未来を想像した。
恐らくこの場で囮にされるのだ。
どう抗おうとも、魔力レベル2の自分がこの魔獣に勝てるわけもない。
そもそも既に気力も体力も限界に来ているのだ。
一度で良いから、素敵な人に何か心のこもったプレゼントを貰いたかった……と思いつつ、全てを受け入れた少女。
「こいつは、どこか攻撃して動けないようにしていくか?」
「いや、そこまでしなくても既にフラフラだろ?」
「そうだな。だが魔獣の隙を作る必要がある。グズ、最後に少しは俺達の役にたって見せろ」
さんざんこき使ってきたにもかかわらず、今まで何にも役に立っていないかの物言いの冒険者。
既に立ち上がる事も出来ない少女の襟首をつかむと、尤も魔獣が近接している箇所に少女を投げ込む。
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