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ポーション作成の行く末
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クロイツの思惑は外れてベンゾンがグアトロ王国に持ち込み競りにかけられた魔核は、国王の査察が入って赤字でポーションを作成する事になった故か、錬金術師組合が競り落とす事は無かった。
仮に競り落としたとしても組合員の意識の低下が非常に大きく、力量も下がりまくっている状態では再び錬成の研究から行わなくてはエクスポーションの作成は出来なかっただろう。
競りの結果だけは教えてくれと頼んでいたクロイツは、ベンゾンが放ったポイズナックが持ってきた手紙によって状況を確認して錬金術師組合の技術を盗む事は不可能だと理解すると、リサの待つ3階層の崖の上に移動した。
「どうでしたか?クロイツさん」
「ダメだったな。あいつ等……ベナマス国王が厳しく指導しすぎたせいか、そもそも競り落とす気がなさそうだったらしいからな」
ポチを背にして二人がくっつきながら眼下の工房を見ている。
『クロイツ様。なんだか最近、ポーションは出来ていないけど毒物もできなくなっているから、順調に進んでいるんじゃないかな?』
ポチの指摘通りに、必死に四人が実験、反省、改善実験を実施している中で、怪しい色、怪しい雰囲気の生成物が出来る事が極端に減ってきており、最近は全く毒物を検知しなくなったとポチが伝えている。
まぁ、毒物が出来ないから進捗していると言うのも微妙な所だが、確かに進捗しているのは事実だ。
もう何度有り得ない程貴重な魔核をダメにしているのだが、クロイツ達の宣言通りに翌日にはしっかりと補充されているので、今迄よりは気後れする事なく作業に没頭する事が出来るようになっていた四人は、当初魔核を浸漬させる際の状態が悪いと四苦八苦していたのだが、どうしても上手く行かずに、見かけ上は上手く行っていると思っていたその前の状態を突き詰める事にしていた。
その方向性は正しかったようで、未だ虹色のエクスポーションは出来ていないが、かなり綺麗な青や赤の液体……クロイツが鑑定術を行使した結果、多少体調が良くなるかもしれない、益も無ければ害も無い液体になっていた。
少し前の期待や真っ黒な液体はポチが言っていた通りに毒物・劇物と言って間違いないものだったので、同じ素材を使用しても途中の作業を少し変えるだけでこれほど違いが出るのかと感心していた。
「錬金って、奥がふけーな。俺の大雑把な性格だと、無理だろうな」
思わず漏れた感想とも言える一言に反応したのは、ポチだ。
『僕もクロイツ様には無理だと思うよ!』
少しはフォローしてほしい気持ちがあったクロイツだが、間髪入れずにポチが思った事をそのまま伝え、それを共に聞いていたリサが吹き出してしまった。
「お、おいおい、確かに自分で言いはしたがよ?少しはこう、フォローがあってもよさそうなもんだがな?」
「フフ、ごめんなさい、クロイツさん。でも、ポチさんの言っていた事に納得しちゃいました!」
リサも悪意無く笑顔で言うので、これ以上はこの件には触れない方が良いだろうと判断したクロイツにより、強引に話題が戻される。
「で、あの薄紫になるまでの工程がおかしかったわけだ」
「そうみたいですね。見かけ上は正しい結果のように見えますが、微妙な違いがあるみたいです。最近は、薬草の潰し方にも変化をつけているみたいです」
細かいと所までしっかりと把握しているリサがクロイツに説明し、それを聞いて改めて状況を確認しているクロイツ。
実力でいけばクロイツはその全てを把握する事が出来るのだが、自分で言っていた通りに大雑把な性格なので微妙な違いを意識せずにいたのだが、殆ど錬金の経験が無い状態からここまで成し得ている、幼い四人の姿を感知して感心しきりではある。
「きっと四人いるので、お互いを高め合えるのでしょうね。とても良い事ですよね、クロイツさん?」
「そうだな。ただ、四人とも夢中になりすぎて無意識下で無理をするのだけは頂けねーけどな」
間もなく各国に配布したポーションが不足し始める一月が経過しそうになっており、そろそろ次のポーションを配るのか、仮に四人がエクスポーションを作成できた場合にはどのような販路にするのかを考える必要があると今更ながら思っているクロイツ。
「次のポーション、どうした方が良いと思う?」
「……私は四人には無理をしてほしくないので、ポチさんの品を配布した方が良いと思います」
『僕も同じ!』
あまり深く考えていないポチがリサに同意したので、次の一月の対策も取りあえずはダンジョン産のエクスポーションで対処し、その間に最もポーションについて大きな影響を受けるグアトロ王国と話をつければ良いと判断したクロイツだ。
結果、再びダンジョン町に訪問している行商人達が各国にエクスポーションを運ぶ事になるのだが、この頃になるとベンゾン以外の行商人に対してもポイズナックが護衛につく様になっており、その安全性に肖って傍をつかず離れず行動する者が多数いる。
つまり……悪意無き調査はし放題と言う事になっていたので、当然シス連合国向けの行商人の近くには、行商人の調査依頼をベナマス国王から直接受けた冒険者が移動しているのだが、ポイズナックを恐れて近接する事などできる訳も無く、碌な調査が出来ずにいた事だけは幸いだったのだろうか。
因みに、ナスカ王国のメバリアの元には、前回同様リージョがエクスポーションを届ける事になっていた。
仮に競り落としたとしても組合員の意識の低下が非常に大きく、力量も下がりまくっている状態では再び錬成の研究から行わなくてはエクスポーションの作成は出来なかっただろう。
競りの結果だけは教えてくれと頼んでいたクロイツは、ベンゾンが放ったポイズナックが持ってきた手紙によって状況を確認して錬金術師組合の技術を盗む事は不可能だと理解すると、リサの待つ3階層の崖の上に移動した。
「どうでしたか?クロイツさん」
「ダメだったな。あいつ等……ベナマス国王が厳しく指導しすぎたせいか、そもそも競り落とす気がなさそうだったらしいからな」
ポチを背にして二人がくっつきながら眼下の工房を見ている。
『クロイツ様。なんだか最近、ポーションは出来ていないけど毒物もできなくなっているから、順調に進んでいるんじゃないかな?』
ポチの指摘通りに、必死に四人が実験、反省、改善実験を実施している中で、怪しい色、怪しい雰囲気の生成物が出来る事が極端に減ってきており、最近は全く毒物を検知しなくなったとポチが伝えている。
まぁ、毒物が出来ないから進捗していると言うのも微妙な所だが、確かに進捗しているのは事実だ。
もう何度有り得ない程貴重な魔核をダメにしているのだが、クロイツ達の宣言通りに翌日にはしっかりと補充されているので、今迄よりは気後れする事なく作業に没頭する事が出来るようになっていた四人は、当初魔核を浸漬させる際の状態が悪いと四苦八苦していたのだが、どうしても上手く行かずに、見かけ上は上手く行っていると思っていたその前の状態を突き詰める事にしていた。
その方向性は正しかったようで、未だ虹色のエクスポーションは出来ていないが、かなり綺麗な青や赤の液体……クロイツが鑑定術を行使した結果、多少体調が良くなるかもしれない、益も無ければ害も無い液体になっていた。
少し前の期待や真っ黒な液体はポチが言っていた通りに毒物・劇物と言って間違いないものだったので、同じ素材を使用しても途中の作業を少し変えるだけでこれほど違いが出るのかと感心していた。
「錬金って、奥がふけーな。俺の大雑把な性格だと、無理だろうな」
思わず漏れた感想とも言える一言に反応したのは、ポチだ。
『僕もクロイツ様には無理だと思うよ!』
少しはフォローしてほしい気持ちがあったクロイツだが、間髪入れずにポチが思った事をそのまま伝え、それを共に聞いていたリサが吹き出してしまった。
「お、おいおい、確かに自分で言いはしたがよ?少しはこう、フォローがあってもよさそうなもんだがな?」
「フフ、ごめんなさい、クロイツさん。でも、ポチさんの言っていた事に納得しちゃいました!」
リサも悪意無く笑顔で言うので、これ以上はこの件には触れない方が良いだろうと判断したクロイツにより、強引に話題が戻される。
「で、あの薄紫になるまでの工程がおかしかったわけだ」
「そうみたいですね。見かけ上は正しい結果のように見えますが、微妙な違いがあるみたいです。最近は、薬草の潰し方にも変化をつけているみたいです」
細かいと所までしっかりと把握しているリサがクロイツに説明し、それを聞いて改めて状況を確認しているクロイツ。
実力でいけばクロイツはその全てを把握する事が出来るのだが、自分で言っていた通りに大雑把な性格なので微妙な違いを意識せずにいたのだが、殆ど錬金の経験が無い状態からここまで成し得ている、幼い四人の姿を感知して感心しきりではある。
「きっと四人いるので、お互いを高め合えるのでしょうね。とても良い事ですよね、クロイツさん?」
「そうだな。ただ、四人とも夢中になりすぎて無意識下で無理をするのだけは頂けねーけどな」
間もなく各国に配布したポーションが不足し始める一月が経過しそうになっており、そろそろ次のポーションを配るのか、仮に四人がエクスポーションを作成できた場合にはどのような販路にするのかを考える必要があると今更ながら思っているクロイツ。
「次のポーション、どうした方が良いと思う?」
「……私は四人には無理をしてほしくないので、ポチさんの品を配布した方が良いと思います」
『僕も同じ!』
あまり深く考えていないポチがリサに同意したので、次の一月の対策も取りあえずはダンジョン産のエクスポーションで対処し、その間に最もポーションについて大きな影響を受けるグアトロ王国と話をつければ良いと判断したクロイツだ。
結果、再びダンジョン町に訪問している行商人達が各国にエクスポーションを運ぶ事になるのだが、この頃になるとベンゾン以外の行商人に対してもポイズナックが護衛につく様になっており、その安全性に肖って傍をつかず離れず行動する者が多数いる。
つまり……悪意無き調査はし放題と言う事になっていたので、当然シス連合国向けの行商人の近くには、行商人の調査依頼をベナマス国王から直接受けた冒険者が移動しているのだが、ポイズナックを恐れて近接する事などできる訳も無く、碌な調査が出来ずにいた事だけは幸いだったのだろうか。
因みに、ナスカ王国のメバリアの元には、前回同様リージョがエクスポーションを届ける事になっていた。
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