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シス連合国(4)
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「……と言う事で、ラトル王国、つまりはシス連合国の国家元首を始めとした各国は穏健派ですが、ベナマス王国だけが暴走していると言う状態です。ですので、申し訳ありませんがこの情報を精査するのに時間がかかり、ラトル国王の好物についてまでは調査できずに帰還しました」
「いやいや、こんな状況ならば好みが何たらとか話す事はね~だろうから仕方がねーよ。しっかし、ベナマス王国か。いっそのこと、あいつらの強さの根拠としているAランカー、目が血走っているミーシャでも見せてやるか?“血走りのミーシャ”ってな」
軽い冗談のつもりで行ったクロイツだが、リサやリージョが真剣に悩み始めてしまい慌てる。
「おいおい、冗談だ。あんなアブねー奴を地上になんざ出せねーよ。そもそも、俺でさえ持ってねー二つ名が“血飛沫のミーシャ”ってなんだよって話だ。そんなアブねー名前をつけられる様な奴を世に放つ事も罪だぜ」
「そうですね。確かにその通りですよ、師匠」
「ミーシャさんについてはその通りですが、私も不思議に思っていました。なんで私達なんかに二つ名があって、師匠にないのかなって。ねぇ?お兄ちゃん。納得できないですよね?」
この流れで行くと、この場でクソ恥ずかしい名前をつけられて強制的に広めかねないと思ったクロイツは、慌てて二人を止める。
「いやいや、俺はランクにも興味がねーし、活動時間が圧倒的に短いからな。名前をつける暇がなかったんだろ?それに俺は二つ名にも一切興味はねーんだよ。だから、一先ずその話は終わりにして、今はベナマス王国だ」
本当に残念そうな表情をしたリサとリージョを見て自分の行動が正しかった事を確信したクロイツは、“こっ恥ずかしい”二つ名をつけられなくて済んだと心の底から安堵した。
「そう言えば師匠は、近々……明日ですか?ゼリア帝国がダンジョン町について告知するタイミングでシス連合国に挨拶に向かう予定でしたよね?師匠程の存在が治めるこの町であれば、逆に向こうから挨拶に来るのではないでしょうか?」
「確かにリサの言う通りですね。私の調査ではそこまでの話は出ていませんでしたが、その可能性が高いです。そうなると……町の中に入れる事になりますね。魔獣を引き上げますか?」
「……いや、このままでいいだろう。どの道いつかは明らかになるんだ。どの程度の人数で来るかはわからねーが、牽制にもなるし、万が一も起きねー程に強固な防衛・監視体制をひいておく必要があるだろう?何と言っても町民達から見れば、地上で生活し直してから初の集団での、それも国家元首クラスの来訪だからな。安心させてやる事が第一だ」
「それならば、一旦3階層、4階層の町に移動させておくのも手ではないですか?って、私は良くわかりませんが、お兄ちゃんはどう思いますか」
「それは……正直統治している町に住民が誰もいないのは体裁が良くありませんね。本当はそんな所にこだわるのもどうかと思いますが、いかんせん町レベルで初の自治権を宣言するのですから、やはり体裁も大切になるかと」
「リージョの言う通りだな。そんなわけで、魔獣は退避させねーよ。寧ろ、有名になっているポイズナックを少し多めに出しておく位が丁度良いだろう。せっかく秘密を守ってくれていた商人には申し訳ね~が、しょうがねーな」
ある程度の方針が決まり、翌朝早朝にリージョは再びシス連合国方面に向かった。
予想では向こうから挨拶に来ると想定しているが、予想が外れた場合には一応国家として自ら挨拶に行くべきだとクロイツが考えていたからだ。
「おはようございます、クロイツ様。その……掲示板に書かれている事は本当でしょうか?」
リサとクロイツは食堂に行き食事をしていると、女性が一人食堂の連絡が書かれている板に貼られた情報を読んだのか、真偽を訪ねてきた。
「おはよう。一応その可能性が高いな。どの程度の人数で来るのか等は追って情報を得た時点で追記しておく。だが、不安になる必要は一切ねーぞ?俺達がいるし……」
「そうですね。魔獣の数も明らかに増えていましたので、何があったのか不思議に持っていました。でも、私達の為に増やしていただけたのですね。ありがとうございます!」
言い切る前に正解を言われて、ポリポリと頬を搔いているクロイツだ。
「師匠、お兄ちゃんが戻ってきましたよ」
微笑みながらも、リージョが近接してきた事をクロイツに告げるリサ。
「さぁ、どっちだろうな。向こうが来るか、俺が行くか」
「私は向こうが来る方だと思いますよ?」
「リサが正解ですね」
もちろん遠くから二人の声を拾っていたリージョは、食堂に入ると直ぐに二人に近づいて得た情報を告げる。
「そりゃー助かるな。あの文字の他国の面々が来るかもしれないの“しれない”の部分を消せば良いだけだからな。ちょっと待っていてくれ」
クロイツはそう言うと、食堂に貼った連絡用の紙に書かれた文字の一部分だけ削除して、周囲の人々にこの情報を伝えるようにお願いして戻ってくる。
「で、何人くらい来そうだ?」
「シス連合国の国家元首であるラトル国王、シビリア王国の国王、チタニア王国の国王とその護衛が来るそうです。こちらも町レベルの大きさと正確に認識しているようで、護衛も五人と少なめに抑えてくれる配慮もありました」
「そうか。わかった。ただ一つ心配事があってな。連合国が何か国あるのか知らねーが、その内の国家元首を含めた三人が不在になった時、問題児を抑えられるのかだが、そこは何かしていたか?」
「師匠の不安は的中していますね。こちらに来る三国王も同じ事を言っていましたが、これと言った対策は無く、残った国家に任せるほかないと言う事でした」
「いやいや、こんな状況ならば好みが何たらとか話す事はね~だろうから仕方がねーよ。しっかし、ベナマス王国か。いっそのこと、あいつらの強さの根拠としているAランカー、目が血走っているミーシャでも見せてやるか?“血走りのミーシャ”ってな」
軽い冗談のつもりで行ったクロイツだが、リサやリージョが真剣に悩み始めてしまい慌てる。
「おいおい、冗談だ。あんなアブねー奴を地上になんざ出せねーよ。そもそも、俺でさえ持ってねー二つ名が“血飛沫のミーシャ”ってなんだよって話だ。そんなアブねー名前をつけられる様な奴を世に放つ事も罪だぜ」
「そうですね。確かにその通りですよ、師匠」
「ミーシャさんについてはその通りですが、私も不思議に思っていました。なんで私達なんかに二つ名があって、師匠にないのかなって。ねぇ?お兄ちゃん。納得できないですよね?」
この流れで行くと、この場でクソ恥ずかしい名前をつけられて強制的に広めかねないと思ったクロイツは、慌てて二人を止める。
「いやいや、俺はランクにも興味がねーし、活動時間が圧倒的に短いからな。名前をつける暇がなかったんだろ?それに俺は二つ名にも一切興味はねーんだよ。だから、一先ずその話は終わりにして、今はベナマス王国だ」
本当に残念そうな表情をしたリサとリージョを見て自分の行動が正しかった事を確信したクロイツは、“こっ恥ずかしい”二つ名をつけられなくて済んだと心の底から安堵した。
「そう言えば師匠は、近々……明日ですか?ゼリア帝国がダンジョン町について告知するタイミングでシス連合国に挨拶に向かう予定でしたよね?師匠程の存在が治めるこの町であれば、逆に向こうから挨拶に来るのではないでしょうか?」
「確かにリサの言う通りですね。私の調査ではそこまでの話は出ていませんでしたが、その可能性が高いです。そうなると……町の中に入れる事になりますね。魔獣を引き上げますか?」
「……いや、このままでいいだろう。どの道いつかは明らかになるんだ。どの程度の人数で来るかはわからねーが、牽制にもなるし、万が一も起きねー程に強固な防衛・監視体制をひいておく必要があるだろう?何と言っても町民達から見れば、地上で生活し直してから初の集団での、それも国家元首クラスの来訪だからな。安心させてやる事が第一だ」
「それならば、一旦3階層、4階層の町に移動させておくのも手ではないですか?って、私は良くわかりませんが、お兄ちゃんはどう思いますか」
「それは……正直統治している町に住民が誰もいないのは体裁が良くありませんね。本当はそんな所にこだわるのもどうかと思いますが、いかんせん町レベルで初の自治権を宣言するのですから、やはり体裁も大切になるかと」
「リージョの言う通りだな。そんなわけで、魔獣は退避させねーよ。寧ろ、有名になっているポイズナックを少し多めに出しておく位が丁度良いだろう。せっかく秘密を守ってくれていた商人には申し訳ね~が、しょうがねーな」
ある程度の方針が決まり、翌朝早朝にリージョは再びシス連合国方面に向かった。
予想では向こうから挨拶に来ると想定しているが、予想が外れた場合には一応国家として自ら挨拶に行くべきだとクロイツが考えていたからだ。
「おはようございます、クロイツ様。その……掲示板に書かれている事は本当でしょうか?」
リサとクロイツは食堂に行き食事をしていると、女性が一人食堂の連絡が書かれている板に貼られた情報を読んだのか、真偽を訪ねてきた。
「おはよう。一応その可能性が高いな。どの程度の人数で来るのか等は追って情報を得た時点で追記しておく。だが、不安になる必要は一切ねーぞ?俺達がいるし……」
「そうですね。魔獣の数も明らかに増えていましたので、何があったのか不思議に持っていました。でも、私達の為に増やしていただけたのですね。ありがとうございます!」
言い切る前に正解を言われて、ポリポリと頬を搔いているクロイツだ。
「師匠、お兄ちゃんが戻ってきましたよ」
微笑みながらも、リージョが近接してきた事をクロイツに告げるリサ。
「さぁ、どっちだろうな。向こうが来るか、俺が行くか」
「私は向こうが来る方だと思いますよ?」
「リサが正解ですね」
もちろん遠くから二人の声を拾っていたリージョは、食堂に入ると直ぐに二人に近づいて得た情報を告げる。
「そりゃー助かるな。あの文字の他国の面々が来るかもしれないの“しれない”の部分を消せば良いだけだからな。ちょっと待っていてくれ」
クロイツはそう言うと、食堂に貼った連絡用の紙に書かれた文字の一部分だけ削除して、周囲の人々にこの情報を伝えるようにお願いして戻ってくる。
「で、何人くらい来そうだ?」
「シス連合国の国家元首であるラトル国王、シビリア王国の国王、チタニア王国の国王とその護衛が来るそうです。こちらも町レベルの大きさと正確に認識しているようで、護衛も五人と少なめに抑えてくれる配慮もありました」
「そうか。わかった。ただ一つ心配事があってな。連合国が何か国あるのか知らねーが、その内の国家元首を含めた三人が不在になった時、問題児を抑えられるのかだが、そこは何かしていたか?」
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