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クロイツのダンジョン攻略(2)
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ダンジョンの迷路の階層は普通であれば死角が多く、当然罠も多数あるので極度に嫌がられるのだが……クロイツは進行速度が上がると喜ぶ。
3階層に続く階段、ボス部屋の存在を察知すると、その方向目掛けて打撃で壁を壊しつつ強引な直線経路で進むクロイツ。
これは規格外のクロイツだけができるショートカットであり、一般的に言われている冒険者の中には、このような規格外の事ができる人物は存在しない。
十分かからずにボス部屋に到着して中に入ると、扉が閉まりボスが現れる。
この階層のボスは、毛むくじゃらの魔獣だった。
即座に1階層同様に雷魔法で攻撃するが、どうやら魔法を無効化する毛の様で、一切のダメージを受けた様子がない。
当然魔獣からの攻撃もあり、毛をクロイツ目掛けて飛ばしてくる。
一部の毛は透明になっており目に頼っては非常に避け辛く、刺さればタダでは済まない事位は誰にでも理解できる。
クロイツは魔獣の背後に瞬間で転移し、毛に覆われてはいるが無防備に見える背中を蹴り飛ばす。
……ベキベキ…ベチャ……ドサ…
蹴られた直後に魔獣の骨が破壊され、その後吹き飛ばされて一部が部屋の壁の染みになった魔獣が地面に落下する。
戦闘開始から勝利までの時間、僅か七秒。
もちろんここでも貴重な素材が転がっているのだが、相変わらず一切目もくれずに突き進むクロイツ。
その後も全く敵を寄せ付けず、火炎の階層、極寒の階層、強風の階層、沼の階層、湿地の階層、ありとあらゆる階層を難なく攻略して行く。
「もう何階層かもわからねーな。時間は……あと12時間、半分か。もう少しペースを上げねーとまずいか?」
実際に敵なしのクロイツだが、流石に若干の疲労は感じ始めている。
本人は階層のカウントをもう行っていないが、既に20回層を突破していたのだ。
実際にこのダンジョンは、人族の適正ランクで言えば存在していないSSランク推奨ダンジョンであり、そこをこれほどの階層まで単独で平気で潜っているクロイツが異常だ。
ゴールが見えない為に、かなり急ぎ始めるクロイツ。
どの道帰りは多少ヨレヨレになっても、ダンジョンを制御できるようになっていれば襲われる事もないだろうと割り切って、力の温存を一切考えずに突き進む。
移動速度、攻撃力共に跳ね上がり、瞬く間に40階層まで到着して階層ボスの部屋に入る。
いつもの通りに扉が閉まり、体に抑えきれない魔力を垂れ流している狼の様な魔獣が現れる。
少年であるクロイツの身長を遥かに凌駕する大きさで、白銀の美しい毛並みを靡かせながら銀色の瞳でクロイツを見ている。
「こいつは、今迄の敵とは一味も二味も違うな。おもしれーじゃねーか」
どう考えても別格の強さを持つ魔獣を前に、少しくらいは楽しめるかもしれないと獰猛な笑みを見せるクロイツ。
多少強引に攻め込んでも良いが、ダンジョンの深層にいる事は間違いないので、何が起こるか分からない事を考慮して若干様子を見る事にしたクロイツだが、余り時間は残されていないので、銀色の瞳を睨みつけながら慎重に距離を詰めていく。
3階層に続く階段、ボス部屋の存在を察知すると、その方向目掛けて打撃で壁を壊しつつ強引な直線経路で進むクロイツ。
これは規格外のクロイツだけができるショートカットであり、一般的に言われている冒険者の中には、このような規格外の事ができる人物は存在しない。
十分かからずにボス部屋に到着して中に入ると、扉が閉まりボスが現れる。
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当然魔獣からの攻撃もあり、毛をクロイツ目掛けて飛ばしてくる。
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……ベキベキ…ベチャ……ドサ…
蹴られた直後に魔獣の骨が破壊され、その後吹き飛ばされて一部が部屋の壁の染みになった魔獣が地面に落下する。
戦闘開始から勝利までの時間、僅か七秒。
もちろんここでも貴重な素材が転がっているのだが、相変わらず一切目もくれずに突き進むクロイツ。
その後も全く敵を寄せ付けず、火炎の階層、極寒の階層、強風の階層、沼の階層、湿地の階層、ありとあらゆる階層を難なく攻略して行く。
「もう何階層かもわからねーな。時間は……あと12時間、半分か。もう少しペースを上げねーとまずいか?」
実際に敵なしのクロイツだが、流石に若干の疲労は感じ始めている。
本人は階層のカウントをもう行っていないが、既に20回層を突破していたのだ。
実際にこのダンジョンは、人族の適正ランクで言えば存在していないSSランク推奨ダンジョンであり、そこをこれほどの階層まで単独で平気で潜っているクロイツが異常だ。
ゴールが見えない為に、かなり急ぎ始めるクロイツ。
どの道帰りは多少ヨレヨレになっても、ダンジョンを制御できるようになっていれば襲われる事もないだろうと割り切って、力の温存を一切考えずに突き進む。
移動速度、攻撃力共に跳ね上がり、瞬く間に40階層まで到着して階層ボスの部屋に入る。
いつもの通りに扉が閉まり、体に抑えきれない魔力を垂れ流している狼の様な魔獣が現れる。
少年であるクロイツの身長を遥かに凌駕する大きさで、白銀の美しい毛並みを靡かせながら銀色の瞳でクロイツを見ている。
「こいつは、今迄の敵とは一味も二味も違うな。おもしれーじゃねーか」
どう考えても別格の強さを持つ魔獣を前に、少しくらいは楽しめるかもしれないと獰猛な笑みを見せるクロイツ。
多少強引に攻め込んでも良いが、ダンジョンの深層にいる事は間違いないので、何が起こるか分からない事を考慮して若干様子を見る事にしたクロイツだが、余り時間は残されていないので、銀色の瞳を睨みつけながら慎重に距離を詰めていく。
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