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ブサ村(5)
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突然目の前に出て来る財宝の塊。
面倒くさくなったクロイツは、ついでに王城から持ってきた財宝も出しているので、門番の男からしてみれば、想像以上の財宝を目にしている事になる。
「そ……そうです。これを全部差し上げますので、何とかここは……」
「差し上げるも何も、これは既に俺のものだが?」
最早交渉も何もないと覚悟し、こっそりと魔力を練って攻撃魔法を発動していた。
「食らえ!」
全力の炎魔法で攻撃を仕掛けた門番だが、クロイツの目前で何故か全ての魔法が消え失せた。
自分の魔力の全てを使った攻撃であったため、魔力が枯渇して碌に動けなくなってしまう門番。
「なんで魔法が消えた!この化け物が……」
「化け物?テメーラみてーに赤の他人をかっさらって平気で奴隷にする方がよっぽど化け物じゃねーか?ま、何れにしろ、これでテメーの未来は決まったな。おめでとう!」
攻撃魔法をあっさり無効にされて怯えている門番の男。
「ヒィ……」
何とか逃れようとする門番だが、魔力枯渇によってまともに動く事が出来ずに匍匐前進の様な形でズリズリと移動しているが、容赦なくクロイツによって投げられた大きな岩で足を潰される。
……ドン……
「ギャー……痛い、痛い!!助けてくれ。頼む、助けてくれ!!」
もちろんそんなふざけた言葉を聞くつもりはないクロイツ。
過酷な王位継承の争いを経験したクロイツは、この程度では心を動かされる事はない。
先ずは煩い口を何とかしようと、喉を軽く切り裂く。
門番は涙ながらに何かを言っているようだが、ヒューヒューと空気が漏れるだけで何かを発声する事が出来なくなっている。
その後は、自らの能力を試す良い機会と割り切ったクロイツによって各種拷問の様な苦痛が与え続けられるが、意識だけは失う事が無いように調整されていた。
門番にとってみれば翌日からは楽しい旅行気分だったのが、今迄のつけが一気に返ってきたかのような状況に陥ってしまった。
実際は10分ほどだが、余りリサを待たせても良くないと思い再びリサの元に転移するクロイツ。
門番は、体感では数時間以上の苦痛を受け続けた挙句に決して助かる事はないと絶望に落とされていた。
「待たせたなリサ」
リサは既にボロボロの門番を確認すると、クロイツから前に渡されていた短剣を抜刀して、ゆっくりと門番に近づく。
門番は最後の懇願をしているようだが、やはり空気が漏れるばかりで声にはならない。
「貴方のせいで、私の両親は死にました。貴方達のせいで、何も悪い事をしていない人々が死に、今尚苦しんでいます。最低でも、あなたは罰を受けるべきです。さようなら」
一気に心臓に刃を突き立てるリサ。
門番は一瞬跳ね上がるように体を逸らせると、ぐったりと動かなくなる。
「……師匠。ありがとうございました」
「リサ。お前にはまだ早かったかもしれないな。悪かった」
「いいえ、これは避けられない事です。顔も知らない両親ですが、これで安らかに眠ってくれるでしょう」
やはり少し早すぎたか……と後悔しているクロイツは、目の前の物言わぬ門番を視界から外すべく森に転移させたうえでリサを優しく抱きしめて、頭を撫でる。
「師匠……うん。元気が出ました。もう少しだけこうしていても良いですか?」
「あぁ、良いぞ。で、他の連中は俺が一気に処理しても良いか?あの門番は、魔獣の近くに転送しておいたから、餌になっているだろうからな」
師匠大好き病はクロイツに抱きしめられた事で心の不安をかき消す効果があるらしく、徐々に冷静さを取り戻す事が出来たリサ。
「ありがとうございました。また、こうして貰っても良いですか?」
三度炸裂する必殺上目使いを断れるわけもなく、クロイツは一も二もなく了承した後に、門と言えなくもない村の出入り口にリサと共に向かう。
クロイツの行動は良く分からないが、全てを肯定するリサにとってみれば疑問を持つ事はない。
「もう少しで日が昇る。あいつらが何も知らない間に命が消えるのは納得がいかねーな。自分の罪を悔い改める時間は必要だろうから、こうするんだ」
敢えてリサに説明するようにクロイツが呟くと、魔法を行使したのか、村の柵が有った部分に大きな溝が出来た。
一度人が落ちると、とても這い上がれない様な深さの溝であり、橋でもかけなければ誰一人として村からは出られない状況になっている。
「そろそろ早い奴は起き始めたな。って、殆ど起き始めているじゃねーか?こいつら無駄に勤勉なのか?」
面倒くさくなったクロイツは、ついでに王城から持ってきた財宝も出しているので、門番の男からしてみれば、想像以上の財宝を目にしている事になる。
「そ……そうです。これを全部差し上げますので、何とかここは……」
「差し上げるも何も、これは既に俺のものだが?」
最早交渉も何もないと覚悟し、こっそりと魔力を練って攻撃魔法を発動していた。
「食らえ!」
全力の炎魔法で攻撃を仕掛けた門番だが、クロイツの目前で何故か全ての魔法が消え失せた。
自分の魔力の全てを使った攻撃であったため、魔力が枯渇して碌に動けなくなってしまう門番。
「なんで魔法が消えた!この化け物が……」
「化け物?テメーラみてーに赤の他人をかっさらって平気で奴隷にする方がよっぽど化け物じゃねーか?ま、何れにしろ、これでテメーの未来は決まったな。おめでとう!」
攻撃魔法をあっさり無効にされて怯えている門番の男。
「ヒィ……」
何とか逃れようとする門番だが、魔力枯渇によってまともに動く事が出来ずに匍匐前進の様な形でズリズリと移動しているが、容赦なくクロイツによって投げられた大きな岩で足を潰される。
……ドン……
「ギャー……痛い、痛い!!助けてくれ。頼む、助けてくれ!!」
もちろんそんなふざけた言葉を聞くつもりはないクロイツ。
過酷な王位継承の争いを経験したクロイツは、この程度では心を動かされる事はない。
先ずは煩い口を何とかしようと、喉を軽く切り裂く。
門番は涙ながらに何かを言っているようだが、ヒューヒューと空気が漏れるだけで何かを発声する事が出来なくなっている。
その後は、自らの能力を試す良い機会と割り切ったクロイツによって各種拷問の様な苦痛が与え続けられるが、意識だけは失う事が無いように調整されていた。
門番にとってみれば翌日からは楽しい旅行気分だったのが、今迄のつけが一気に返ってきたかのような状況に陥ってしまった。
実際は10分ほどだが、余りリサを待たせても良くないと思い再びリサの元に転移するクロイツ。
門番は、体感では数時間以上の苦痛を受け続けた挙句に決して助かる事はないと絶望に落とされていた。
「待たせたなリサ」
リサは既にボロボロの門番を確認すると、クロイツから前に渡されていた短剣を抜刀して、ゆっくりと門番に近づく。
門番は最後の懇願をしているようだが、やはり空気が漏れるばかりで声にはならない。
「貴方のせいで、私の両親は死にました。貴方達のせいで、何も悪い事をしていない人々が死に、今尚苦しんでいます。最低でも、あなたは罰を受けるべきです。さようなら」
一気に心臓に刃を突き立てるリサ。
門番は一瞬跳ね上がるように体を逸らせると、ぐったりと動かなくなる。
「……師匠。ありがとうございました」
「リサ。お前にはまだ早かったかもしれないな。悪かった」
「いいえ、これは避けられない事です。顔も知らない両親ですが、これで安らかに眠ってくれるでしょう」
やはり少し早すぎたか……と後悔しているクロイツは、目の前の物言わぬ門番を視界から外すべく森に転移させたうえでリサを優しく抱きしめて、頭を撫でる。
「師匠……うん。元気が出ました。もう少しだけこうしていても良いですか?」
「あぁ、良いぞ。で、他の連中は俺が一気に処理しても良いか?あの門番は、魔獣の近くに転送しておいたから、餌になっているだろうからな」
師匠大好き病はクロイツに抱きしめられた事で心の不安をかき消す効果があるらしく、徐々に冷静さを取り戻す事が出来たリサ。
「ありがとうございました。また、こうして貰っても良いですか?」
三度炸裂する必殺上目使いを断れるわけもなく、クロイツは一も二もなく了承した後に、門と言えなくもない村の出入り口にリサと共に向かう。
クロイツの行動は良く分からないが、全てを肯定するリサにとってみれば疑問を持つ事はない。
「もう少しで日が昇る。あいつらが何も知らない間に命が消えるのは納得がいかねーな。自分の罪を悔い改める時間は必要だろうから、こうするんだ」
敢えてリサに説明するようにクロイツが呟くと、魔法を行使したのか、村の柵が有った部分に大きな溝が出来た。
一度人が落ちると、とても這い上がれない様な深さの溝であり、橋でもかけなければ誰一人として村からは出られない状況になっている。
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