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「淀嶋ジィ、正直僕ちょっと危なかったよ。あと数階層でコアルームだったからね。まさかゴーストを持っているなんて……そんな情報は無かったけど」
「儂の所も、結構深くまで潜られたのう。まぁ、あっさりと罠にはめて始末してやったの。だが……水元の。確かにおぬしの言う通り、儂の調査でもあ奴はゴーストを持っていなかった。となれば答えは一つ。更なる強敵が後ろ盾におるの」
長きにわたってダンジョンマスターとして活動している淀嶋の見解に、何も言葉を発せない水元。
正直、レベル60の弦間を二人で相手にするだけで限界を感じているのに、その弦間を超える存在を示唆されれば、誰であろうと愕然としてしまうだろう。
その思いは、百戦錬磨を自負している淀嶋も同じだ。
「何とか岩本が弦間を配下にして、三対一……いや、岩本を含めて四対一で何とかなるか……と言った所じゃろうな」
「そっか。じゃあ、岩本の助けになる様に向こうに攻め込まないと!」
これこそが、地上を大混乱に陥れた真の理由だ。
転移魔法陣Cで淀嶋のコアルームから自らのダンジョンのコアルームに戻った水元は、ゴースト討伐で得た内包魔力も使用して魔物を大量に召喚し、一気に地上に出して弦間のダンジョンに向かわせた。
同じ頃、淀嶋のダンジョンからも大量の魔物が湧き出て、一目散に弦間のダンジョン、コッタ帝国に向かって高速で移動を始めたのだ。
その中には淀嶋の眷属である蜘蛛族レベル45や、水元の眷属である自然族レベル45も含まれている。
レベルの高い魔物や眷属の行動であり、共に通常では馬車で20日程度必要な距離も8時間ほどで到着する事が出来ている。
移動中の魔物の群れに運悪く遭遇してしまった冒険者は跡形もなく踏みつぶされ、遠目でその行軍を確認している者達は、只々怯える事しかできなかった。
「俺が思うに、漸く手駒が揃ったと言う所かな」
隠れながら移動していた岩本だが、どう見ても淀嶋と水元の眷属が先頭にいる魔物の群れを発見し、一人で弦間のダンジョンに侵入する必要は無くなったと安堵していた。
幾ら敵戦力の大半が出払っているはずだと言われても、自分では勝つ事の出来ないあの二人が恐れる人物のダンジョンに一人で侵入するのは正直憚られていたのだ。
「岩本様ですね。主から共闘するようにと指示を受けております。私、水元様の眷属である自然族です。宜しくお願い致します。隣は、共闘されている淀嶋様の眷属である蜘蛛族です。既に我らの存在は察知されているはずですので、ここは迷わず一気に参りましょう」
こうして二人のダンジョンマスターと召喚冒険者の岩本が弦間のダンジョンに攻め入るが、神保から命令されている弦間も、眷属を出して淀嶋と水元のダンジョンに攻め入っていた。
その眷属とは、レベル60の蟻族と鳥族。
今の状況は、地上を荒らしつつ互いのダンジョンに眷属が侵入している状況になっている。
このような騒動があるので地上では何とか安全を求めているのだが、防壁は恐らく何の意味もなさない……普通のダンジョンでは浅層でも危険で睡眠などできるわけもない……と言う中で広まっていた湯原と水野のダンジョンの話。
コッタ帝国の住民にとっては位置的に魔物の大移動の近くを通る必要があるのだが、数多くの人々が安全を求めて移動しており、ハライチ達の予想通りに一階層入り口のヒカリ達は非常に忙しくなっていたし、一階層の纏め役をお願いしたジッタ家族も目の回る忙しさだった。
その湯原と水野のダンジョン最下層の一つ上の階層に住居を構えているブレーンのハライチとミズイチは、市中に放っているベルゼやスキートから得た情報を基にスラエ、スラビ、ビー、チェーの分裂体を派遣して更に詳しい情報を集めており、その内容を纏めている所だ。
「やはり、弦間の後ろには誰かがいますね。ゴースト……弦間程度で数体呼び出せる魔物ではありません」
「ハライチの言う通りですね。我らが主様のダンジョンには多数存在しておりますが……」
当然主の安全を考慮しているので、レベル99に引き上げているゴーストを多数配備してはいるが、普通のダンジョンマスターでは軽々と呼べる魔物ではない。
今回争っている夫々のダンジョンに関しても、自らのダンジョンに対しての脅威となり得る存在になる可能性がゼロではない為、情報収集の為にどさくさに紛れて魔物を多数送り込んでいる。
単純な感情しか発する事の出来ないスキート達ではあるが、その感情をダンジョンマスターではない自分達にも読み取れるようにしてくれた事で、主の手を煩わす事無く情報を纏める事が出来ている。
「やはり……二つのダンジョンに正面から仕掛けている弦間。レベル60と宣言しているのも頷けますね」
「確かにそうですね。ですが、これは……」
スキート達しかいない場所では漠然とした情報しかつかめていないのだが、チェー達の分裂体が向かった場所は重要な情報が手に入っている。
両ダンジョン側も互いに貴重な眷属を出して戦闘しており、淀嶋と水元側には召喚冒険者である岩本もいる事、弦間側ではどこから手に入れたのか、有利に戦局を進めていた最大の功労者であるゴーストを始末された事から互角……と言うよりも、弦間が押され気味と言う戦局だ。
「三つのダンジョン共に、敵がコアルームに近づいているようですね」
ダンジョン内部で激しい戦いが行われているので、スキート達はその余波で全て死亡し、今は各眷属の分裂体がダンジョン内部を調査している所だ。
「儂の所も、結構深くまで潜られたのう。まぁ、あっさりと罠にはめて始末してやったの。だが……水元の。確かにおぬしの言う通り、儂の調査でもあ奴はゴーストを持っていなかった。となれば答えは一つ。更なる強敵が後ろ盾におるの」
長きにわたってダンジョンマスターとして活動している淀嶋の見解に、何も言葉を発せない水元。
正直、レベル60の弦間を二人で相手にするだけで限界を感じているのに、その弦間を超える存在を示唆されれば、誰であろうと愕然としてしまうだろう。
その思いは、百戦錬磨を自負している淀嶋も同じだ。
「何とか岩本が弦間を配下にして、三対一……いや、岩本を含めて四対一で何とかなるか……と言った所じゃろうな」
「そっか。じゃあ、岩本の助けになる様に向こうに攻め込まないと!」
これこそが、地上を大混乱に陥れた真の理由だ。
転移魔法陣Cで淀嶋のコアルームから自らのダンジョンのコアルームに戻った水元は、ゴースト討伐で得た内包魔力も使用して魔物を大量に召喚し、一気に地上に出して弦間のダンジョンに向かわせた。
同じ頃、淀嶋のダンジョンからも大量の魔物が湧き出て、一目散に弦間のダンジョン、コッタ帝国に向かって高速で移動を始めたのだ。
その中には淀嶋の眷属である蜘蛛族レベル45や、水元の眷属である自然族レベル45も含まれている。
レベルの高い魔物や眷属の行動であり、共に通常では馬車で20日程度必要な距離も8時間ほどで到着する事が出来ている。
移動中の魔物の群れに運悪く遭遇してしまった冒険者は跡形もなく踏みつぶされ、遠目でその行軍を確認している者達は、只々怯える事しかできなかった。
「俺が思うに、漸く手駒が揃ったと言う所かな」
隠れながら移動していた岩本だが、どう見ても淀嶋と水元の眷属が先頭にいる魔物の群れを発見し、一人で弦間のダンジョンに侵入する必要は無くなったと安堵していた。
幾ら敵戦力の大半が出払っているはずだと言われても、自分では勝つ事の出来ないあの二人が恐れる人物のダンジョンに一人で侵入するのは正直憚られていたのだ。
「岩本様ですね。主から共闘するようにと指示を受けております。私、水元様の眷属である自然族です。宜しくお願い致します。隣は、共闘されている淀嶋様の眷属である蜘蛛族です。既に我らの存在は察知されているはずですので、ここは迷わず一気に参りましょう」
こうして二人のダンジョンマスターと召喚冒険者の岩本が弦間のダンジョンに攻め入るが、神保から命令されている弦間も、眷属を出して淀嶋と水元のダンジョンに攻め入っていた。
その眷属とは、レベル60の蟻族と鳥族。
今の状況は、地上を荒らしつつ互いのダンジョンに眷属が侵入している状況になっている。
このような騒動があるので地上では何とか安全を求めているのだが、防壁は恐らく何の意味もなさない……普通のダンジョンでは浅層でも危険で睡眠などできるわけもない……と言う中で広まっていた湯原と水野のダンジョンの話。
コッタ帝国の住民にとっては位置的に魔物の大移動の近くを通る必要があるのだが、数多くの人々が安全を求めて移動しており、ハライチ達の予想通りに一階層入り口のヒカリ達は非常に忙しくなっていたし、一階層の纏め役をお願いしたジッタ家族も目の回る忙しさだった。
その湯原と水野のダンジョン最下層の一つ上の階層に住居を構えているブレーンのハライチとミズイチは、市中に放っているベルゼやスキートから得た情報を基にスラエ、スラビ、ビー、チェーの分裂体を派遣して更に詳しい情報を集めており、その内容を纏めている所だ。
「やはり、弦間の後ろには誰かがいますね。ゴースト……弦間程度で数体呼び出せる魔物ではありません」
「ハライチの言う通りですね。我らが主様のダンジョンには多数存在しておりますが……」
当然主の安全を考慮しているので、レベル99に引き上げているゴーストを多数配備してはいるが、普通のダンジョンマスターでは軽々と呼べる魔物ではない。
今回争っている夫々のダンジョンに関しても、自らのダンジョンに対しての脅威となり得る存在になる可能性がゼロではない為、情報収集の為にどさくさに紛れて魔物を多数送り込んでいる。
単純な感情しか発する事の出来ないスキート達ではあるが、その感情をダンジョンマスターではない自分達にも読み取れるようにしてくれた事で、主の手を煩わす事無く情報を纏める事が出来ている。
「やはり……二つのダンジョンに正面から仕掛けている弦間。レベル60と宣言しているのも頷けますね」
「確かにそうですね。ですが、これは……」
スキート達しかいない場所では漠然とした情報しかつかめていないのだが、チェー達の分裂体が向かった場所は重要な情報が手に入っている。
両ダンジョン側も互いに貴重な眷属を出して戦闘しており、淀嶋と水元側には召喚冒険者である岩本もいる事、弦間側ではどこから手に入れたのか、有利に戦局を進めていた最大の功労者であるゴーストを始末された事から互角……と言うよりも、弦間が押され気味と言う戦局だ。
「三つのダンジョン共に、敵がコアルームに近づいているようですね」
ダンジョン内部で激しい戦いが行われているので、スキート達はその余波で全て死亡し、今は各眷属の分裂体がダンジョン内部を調査している所だ。
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