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「仕方がねー、何時あの鼠に襲われるか分からねーからな。行くぞ?」
「あぁ、わか……」
その直後に、二人の意識は消え去る。
これ以上ふざけた行動を見たくないイーシャとプリマが意識を刈り取り、音もなく抱えてダンジョンの場所に移動する。
そこには、既にチェーの分裂体によってグルグル巻きにされて意識の無いダンジョンマスターの星出、眷属の<淫魔族>三体<蟻族>一体と、もう一つのダンジョンマスターである岡島と眷属の<淫魔族>三体<光族>一体が転がっていた。
チェーのボディーランゲージによれば、<蟻族>だけは積極的にマスターである星出を守ろうとしているようだとの事だ。
結構複雑な内容だが、スラエよりも早くイーシャとプリマに真意を伝えられた事に嬉しそうにしているチェーと、少々いじけているスラエだ。
「ここまで沢山いるとは思わなかったなの」
<蟻族>を除いて全員が人型の眷属であり、いくらレベル40のイーシャとプリマであっても少女である為に体は大きくない。
力は十分だが大きさ的に運ぶ事は厳しいので悩んでいると、そこも見越していたのか、スラエが全員を収納した。
「あれ?スラエさんって消化……?」
本来スラエは消化するが収納は出来なかったので、気絶しているマスターと眷属を消化してしまったのかと動揺するイーシャとプリマだが、チェーが“違うよ”と言いたげにフルフル震えているので、安心する。
実はスラエ、レベル99になっているのでスラビの一部を消化してその能力を得、その後消化したスラエを復元して元に戻している。
逆にスラビもスラエを一度収納してその能力をコピーしているので、両者ともに同じ能力が使えるようになっている。
こうしてスラエの分裂体二つに、気絶している四名のダンジョンマスターと眷属8体をそれぞれ収納してもらい、小さなスラエの分裂体を張り付けた状態で湯原と水野のダンジョンに向けて疾走するイーシャとプリマだ。
スラエは嫌々ながらも二つに分裂して、四宮と辰巳のダンジョン内部にいる残りのマンティスとウルビアを始末した後にコアルームで警戒態勢を取り、チェーの二つの分裂体も人が一人辛うじて通れる隙間を悠々と這って行き、それぞれのコアルームで警戒している。
イーシャとプリマは真っ暗の中を慎重に移動しているので少々時間がかかり、二時間ほどで湯原と水野のダンジョンに戻って来た。
「「ただいまなの!」」
当然周囲を警戒している眷属によって二人の帰還が伝えられており、ダンジョン前にコアルーム警備担当を除く一同が勢揃いしている。
「お疲れ様、イーシャ、プリマ!今日は下でゆっくり寝てくれ。朋美さんが使っていた部屋なんて良いんじゃないか?」
スラエの分裂体から吐き出される見覚えのある顔と眷属達を見つつ、冷静にこう告げる湯原。
「「はいなの!」」
素直な二人は、ダンジョン二階層の部屋に即座に転移して休息をとる。
「主様、この者の処罰、私にお任せいただけますでしょうか?」
「主様、私からもお願い致します」
四宮と辰巳の顔を見て、ハライチとミズイチが殺気立ちながら処刑人に立候補している。
「落ち着いて、二人共。何かしらの制約、罰を与えるのは良いけど、二人が考えているのは抹消だよね?もうちょっと待ってよ。ね?」
湯原にこう言われてしまってはこれ以上我を通す訳にはいかない二人は引き下がるが、厳しい視線は気絶している二人のダンジョンマスターに向けられたままだ。
「どの道、ここではまずいよね。三階層のエリアに行こうか?」
こうして、未だ階層を増加せずに拡張だけを実施しているダンジョンの三階層のとあるエリアに向かう。
「チェー、起こしてくれるかい?」
分裂体のチェーによって眷属を含めて全員が意識を取り戻すが、その動きは両極端だった。
四宮と辰巳は、突然目の前に現れた湯原と水野だけに視線が向き、何を思ったのか立ち上がって殴りかかりに行ったのだ。
当然その直度にチェーの分裂体にギチギチに締め上げられた状態で地面に倒され、芋虫の様な状態でウネウネしている。
「痛ってぇ~、おい湯原!やめさせろ!なんだこいつは!!」
「今すぐやめさせろ!!そうすれば許してやる!」
圧倒的戦力差を理解していない四宮と辰巳は、未だに日本にいた頃のように上の立場であると誤認してふざけた事を言っている。
チェーは、敢えてこう言った反抗心等については取り除いてはいないが、ギリギリ気絶しない程度に締め上げて苦痛を与えている。
「煩いな。チェー、一時的で良いから声を出せないようにしておいて」
相変わらずの二人を見て、すっかり冷めきってしまった湯原だ。
「あぁ、わか……」
その直後に、二人の意識は消え去る。
これ以上ふざけた行動を見たくないイーシャとプリマが意識を刈り取り、音もなく抱えてダンジョンの場所に移動する。
そこには、既にチェーの分裂体によってグルグル巻きにされて意識の無いダンジョンマスターの星出、眷属の<淫魔族>三体<蟻族>一体と、もう一つのダンジョンマスターである岡島と眷属の<淫魔族>三体<光族>一体が転がっていた。
チェーのボディーランゲージによれば、<蟻族>だけは積極的にマスターである星出を守ろうとしているようだとの事だ。
結構複雑な内容だが、スラエよりも早くイーシャとプリマに真意を伝えられた事に嬉しそうにしているチェーと、少々いじけているスラエだ。
「ここまで沢山いるとは思わなかったなの」
<蟻族>を除いて全員が人型の眷属であり、いくらレベル40のイーシャとプリマであっても少女である為に体は大きくない。
力は十分だが大きさ的に運ぶ事は厳しいので悩んでいると、そこも見越していたのか、スラエが全員を収納した。
「あれ?スラエさんって消化……?」
本来スラエは消化するが収納は出来なかったので、気絶しているマスターと眷属を消化してしまったのかと動揺するイーシャとプリマだが、チェーが“違うよ”と言いたげにフルフル震えているので、安心する。
実はスラエ、レベル99になっているのでスラビの一部を消化してその能力を得、その後消化したスラエを復元して元に戻している。
逆にスラビもスラエを一度収納してその能力をコピーしているので、両者ともに同じ能力が使えるようになっている。
こうしてスラエの分裂体二つに、気絶している四名のダンジョンマスターと眷属8体をそれぞれ収納してもらい、小さなスラエの分裂体を張り付けた状態で湯原と水野のダンジョンに向けて疾走するイーシャとプリマだ。
スラエは嫌々ながらも二つに分裂して、四宮と辰巳のダンジョン内部にいる残りのマンティスとウルビアを始末した後にコアルームで警戒態勢を取り、チェーの二つの分裂体も人が一人辛うじて通れる隙間を悠々と這って行き、それぞれのコアルームで警戒している。
イーシャとプリマは真っ暗の中を慎重に移動しているので少々時間がかかり、二時間ほどで湯原と水野のダンジョンに戻って来た。
「「ただいまなの!」」
当然周囲を警戒している眷属によって二人の帰還が伝えられており、ダンジョン前にコアルーム警備担当を除く一同が勢揃いしている。
「お疲れ様、イーシャ、プリマ!今日は下でゆっくり寝てくれ。朋美さんが使っていた部屋なんて良いんじゃないか?」
スラエの分裂体から吐き出される見覚えのある顔と眷属達を見つつ、冷静にこう告げる湯原。
「「はいなの!」」
素直な二人は、ダンジョン二階層の部屋に即座に転移して休息をとる。
「主様、この者の処罰、私にお任せいただけますでしょうか?」
「主様、私からもお願い致します」
四宮と辰巳の顔を見て、ハライチとミズイチが殺気立ちながら処刑人に立候補している。
「落ち着いて、二人共。何かしらの制約、罰を与えるのは良いけど、二人が考えているのは抹消だよね?もうちょっと待ってよ。ね?」
湯原にこう言われてしまってはこれ以上我を通す訳にはいかない二人は引き下がるが、厳しい視線は気絶している二人のダンジョンマスターに向けられたままだ。
「どの道、ここではまずいよね。三階層のエリアに行こうか?」
こうして、未だ階層を増加せずに拡張だけを実施しているダンジョンの三階層のとあるエリアに向かう。
「チェー、起こしてくれるかい?」
分裂体のチェーによって眷属を含めて全員が意識を取り戻すが、その動きは両極端だった。
四宮と辰巳は、突然目の前に現れた湯原と水野だけに視線が向き、何を思ったのか立ち上がって殴りかかりに行ったのだ。
当然その直度にチェーの分裂体にギチギチに締め上げられた状態で地面に倒され、芋虫の様な状態でウネウネしている。
「痛ってぇ~、おい湯原!やめさせろ!なんだこいつは!!」
「今すぐやめさせろ!!そうすれば許してやる!」
圧倒的戦力差を理解していない四宮と辰巳は、未だに日本にいた頃のように上の立場であると誤認してふざけた事を言っている。
チェーは、敢えてこう言った反抗心等については取り除いてはいないが、ギリギリ気絶しない程度に締め上げて苦痛を与えている。
「煩いな。チェー、一時的で良いから声を出せないようにしておいて」
相変わらずの二人を見て、すっかり冷めきってしまった湯原だ。
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