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第四章 穢土の暗闇
最終回 穢土の暗闇①
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乙吉が死んだと知らせに来たのは、主税介だった。
中西道場の仲間と酒を飲んで戻った帰りに、同じく夜遅くに戻った主税介と行き合い、乙吉の死を告げたのである。
斬ったのは、栄生帯刀だった。何故? と、訊いても主税介は首を傾げるだけだった。その死は乙吉の手下から聞いたらしく、理由を問い質したところ、お役目としか答えなかったという。
「そうか」
清記は短く答えて自室へ戻ると、行燈に灯を入れた。
乙吉とは、何度かお役目を共にした。廉平には遠く及ばないが、その腕前には信頼をしかけていた。
清記は行燈の下に、懐から取り出した名簿を広げた。列記された六つの名前は、既に四人が朱色で消されている。
この六名を斬るのに、乙吉の力は不可欠だった。その死に対して悲しみはあったが、それと同時に安堵感もあった。
清記は朱墨を取り出すと、五人目の名前を縦線で消した。そこには〔目尾組 乙吉〕と記されてあった。
名簿に乙吉の名前があった時、清記はしたたかな衝撃を受けた。それを察した梅岳が、不敵に笑んだのを今も覚えている。
梅岳が使っていた忍びを、梅岳の命で斬る。その理由はこの六人の中で一番わかりやすい。乙吉は、梅岳の秘密を知り過ぎたのだ。故に、殺される運命になってしまった。
その事を、乙吉は知っていたのだろうか? 乙吉も清記達同様に、殺しの名簿を持っていた。そこには、自分の名は省かれていたのだろうか。思い返しても、乙吉にそんな素振りは見られなかった。口数が少ない、いつもの乙吉だった。
(己が斬られるとわかって、協力をする馬鹿はいないだろう……)
この役目を完遂する為には、乙吉の力は必要だった。御手先役は刺客に過ぎない。時として、間諜のような真似をしなくてはならないが、目尾組の忍びに比べれば月と鼈だ。故に最後に斬ろうと思っていたのだが、死んでしまっては是非もない。計画は狂ったが、それよりも見知った男を斬らなくて良かった安堵感の方が勝っている。
かし、何故に乙吉は帯刀に斬られたのか。与えられた名簿には、帯刀の名前は無い。すると、これとは別の役目を与えられていたのか。
(しかし、これで残るは一人になった)
最後の一人は、新田忠吾という江戸詰めの勘定方頭取である。今年で四十路を迎えたこの男は、剣こそからっきしだが算術には長けているともっぱらの評判で、それでいて親子二代で梅岳に従う筋金入りの犬山派だった。
「この男は急がずともよい」
そう言ったのは、菊原だった。梅岳への忠誠心が篤く、菊原は新田を何かと重用している。逃げる心配は無い、いつでも殺せるという判断なのだろう。
(それにしても、梅岳はえげつない事をする)
自派であっても、梅岳は容赦なく粛清する。しかも親子二代で犬山派だった男だ。財政への力量もある。しかし、梅岳は新田を切り捨てた。そこまでする理由はおぼろげに浮かんでいたが、それを確実なものにしたのは阿波屋嘉兵衛だった。
嘉兵衛に止めを刺す前に、五十を越えた商人はこう告げたのだ。
「全員を殺しても、抜け荷を無かった事には出来ぬぞ」
その言葉は、清記の心を深い沼へと引きずり込むものだった。
大和が梅岳の抜け荷を追っていた。その不正を足掛かりに、梅岳を倒すつもりだった。その為に、小さな証拠でも掴んだら知らせてくれと言われていた。その志には、清記も賛同していた。御家の政事を糺す為に梅岳を倒さねばならないという気持ちも持っている。それでありながら、自分は梅岳の走狗として抜け荷の証人を抹殺し、不正の片棒を担いでいたのだ。
名簿を改めて見た時、清記は納得した。
・船荷問屋 阿波屋嘉兵衛
・薬種問屋 松竹屋徳次郎
・女衒 稲荷の長吉
・蘭学者 安川平蔵
・目尾組 乙吉
・勘定方頭取 新田忠吾
異国との抜け荷の取引をしていたのは阿波屋。松竹屋は、その荷の中でも南蛮の薬を買っていた。稲荷の長吉は、日本の女を外国に売っていたのかもしれない。その為の女衒なのだろう。安川は通詞をしていて、新田が帳簿を操作していたに違いない。そして、六人と梅岳を結んでいたのが乙吉。
清記は暫くの間、途方にくれていた。勿論、この名簿を証拠として大和に差し出す事も出来ない。差し出したいが、そうすれば平山家どころか、親類縁者がどのような仕打ちを受けるかわかったものではなかった。大和が政争に勝てばいいのだが、そうなる保証はどこにもない。
自分の臆病さが情けなかった。志の為に生きたいと思えども、その道に踏み込む勇気を持てないでいる。
(所詮は人斬りなのだ)
清記は自嘲して、身体を仰向けに横たえた。
この件については、腹を括るしかない。自分は梅岳の駒だと思い定めれば、幾らか気持ちも軽くなるかもしれない。
志月に会いたかった。会って顔を見れば、鬱屈した感情など消え去るはずだろう。しかし、一人の女の裳裾を掴み救いを求めようとしまう事も清記の心を重くさせた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「そちの話は面白いのう」
そう言うと、利永はおちょぼ口を扇子で隠して笑った。
「ありがたき幸せでございます」
「それで、梅岳めは助かったのか。命冥加な奴だ」
「はっ…」
清記は軽く目を伏せた。
上屋敷にある、藩主・利永の御座所。他の諸大名と違って、普段は下屋敷で起居する利永であるが、昨日は江戸城へ登城していたので上屋敷に一泊していたのだ。
右京の一件があって以降、清記は頻繁に利永から呼び出される。話す内容と言えば、御手先役でどんな人間をどんな風に斬ったかという事ばかり。御手先役の役目を口外する事は禁じられているが、主君の頼みを前にして話さないという選択肢は無かったし、菊原には許可を得ていた。
そして今日は、昨年の晩夏に起きた合ヶ坂の一件について訊かれた。清記にとって、それは語りたくはない話だった。どうしても、倉持平次を斬った時の感触や表情を思い出してしまう。それでも、利永が訊くからには仕方なく、清記は倉持を避けながら経緯を説明した。
「しかし、流石だの念真流は。それにしても、そちは存外話し上手じゃの」
そう言って利永は、話は終わりだと言わんばかり立ち上がったので、清記はしたたかに平伏した。
御座所を出ると、慌ただしい足音が聞こえた。目を向けると、菊原が慌てた様子で、長い廊下を駆け寄って来る。何事だろうか。この男にしてはらしくない。
「平山、心して聞け」
と、菊原が耳に顔を寄せた。
「新田が消えた」
「何と?」
清記が菊原を見ると、静かに頷かれた。
「見張っていた密偵も斬られた。今朝から行方が知れぬので、昨夜の事であろう」
「しかし、新田の腕は然程と」
「若宮様だ。新田は自らの命が危ないと知るや、若宮様の所へ駆け込んだらしい。若宮様は手を引くと言っていたが、偽りだったか」
栄生帯刀が抜け荷を追っていた事は、乙吉が死んだ後に菊原から聞いていた。どうやら、帯刀は大和と繋がっていたらしい。思い返せば、藩主家のさる人物を味方に引き入れたと、大和が言っていた気がする。
「それで、新田殿は何処へ」
「若宮様と共に、夜須へと急いでいるだろう。夜須に入って、奥寺大和へ引き渡すはずだ。それは何としても阻止せねばならん」
「すると、日光街道でしょうか」
「そうだ。その報告は受けて、穴水は既に発った。早駕籠を準備しておるから、お前も急げ」
「ただちに……。しかし、一つだけ確認が」
「何だ?」
菊原がやや苛ついて訊いた。
「若宮様が歯向かった場合は、斬ってもよろしいので?」
「何を馬鹿な」
そうは言ったものの、菊原は迷っているようだ。この一言が、今後に大きく影響するのだと思うと、決断出来ないのだろう。
「斬らねば、新田殿を捕縛出来ぬ場合もありましょう」
「……くそっ、新田を斬る事を優先しろ」
「わかりました。いよいよとなれば、斬ります。しかし、その場合は菊原様の許可を得たという事でよろしいでしょうか?」
「貴様、それでは私が」
「私は御手先役。刺客ですよ。私は腹を括ったのです。菊原様も腹を括っていただきたい」
清記は、菊原の返事も聞かずに踵を返した。上屋敷の入口に早駕籠が準備されていた。
中西道場の仲間と酒を飲んで戻った帰りに、同じく夜遅くに戻った主税介と行き合い、乙吉の死を告げたのである。
斬ったのは、栄生帯刀だった。何故? と、訊いても主税介は首を傾げるだけだった。その死は乙吉の手下から聞いたらしく、理由を問い質したところ、お役目としか答えなかったという。
「そうか」
清記は短く答えて自室へ戻ると、行燈に灯を入れた。
乙吉とは、何度かお役目を共にした。廉平には遠く及ばないが、その腕前には信頼をしかけていた。
清記は行燈の下に、懐から取り出した名簿を広げた。列記された六つの名前は、既に四人が朱色で消されている。
この六名を斬るのに、乙吉の力は不可欠だった。その死に対して悲しみはあったが、それと同時に安堵感もあった。
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その事を、乙吉は知っていたのだろうか? 乙吉も清記達同様に、殺しの名簿を持っていた。そこには、自分の名は省かれていたのだろうか。思い返しても、乙吉にそんな素振りは見られなかった。口数が少ない、いつもの乙吉だった。
(己が斬られるとわかって、協力をする馬鹿はいないだろう……)
この役目を完遂する為には、乙吉の力は必要だった。御手先役は刺客に過ぎない。時として、間諜のような真似をしなくてはならないが、目尾組の忍びに比べれば月と鼈だ。故に最後に斬ろうと思っていたのだが、死んでしまっては是非もない。計画は狂ったが、それよりも見知った男を斬らなくて良かった安堵感の方が勝っている。
かし、何故に乙吉は帯刀に斬られたのか。与えられた名簿には、帯刀の名前は無い。すると、これとは別の役目を与えられていたのか。
(しかし、これで残るは一人になった)
最後の一人は、新田忠吾という江戸詰めの勘定方頭取である。今年で四十路を迎えたこの男は、剣こそからっきしだが算術には長けているともっぱらの評判で、それでいて親子二代で梅岳に従う筋金入りの犬山派だった。
「この男は急がずともよい」
そう言ったのは、菊原だった。梅岳への忠誠心が篤く、菊原は新田を何かと重用している。逃げる心配は無い、いつでも殺せるという判断なのだろう。
(それにしても、梅岳はえげつない事をする)
自派であっても、梅岳は容赦なく粛清する。しかも親子二代で犬山派だった男だ。財政への力量もある。しかし、梅岳は新田を切り捨てた。そこまでする理由はおぼろげに浮かんでいたが、それを確実なものにしたのは阿波屋嘉兵衛だった。
嘉兵衛に止めを刺す前に、五十を越えた商人はこう告げたのだ。
「全員を殺しても、抜け荷を無かった事には出来ぬぞ」
その言葉は、清記の心を深い沼へと引きずり込むものだった。
大和が梅岳の抜け荷を追っていた。その不正を足掛かりに、梅岳を倒すつもりだった。その為に、小さな証拠でも掴んだら知らせてくれと言われていた。その志には、清記も賛同していた。御家の政事を糺す為に梅岳を倒さねばならないという気持ちも持っている。それでありながら、自分は梅岳の走狗として抜け荷の証人を抹殺し、不正の片棒を担いでいたのだ。
名簿を改めて見た時、清記は納得した。
・船荷問屋 阿波屋嘉兵衛
・薬種問屋 松竹屋徳次郎
・女衒 稲荷の長吉
・蘭学者 安川平蔵
・目尾組 乙吉
・勘定方頭取 新田忠吾
異国との抜け荷の取引をしていたのは阿波屋。松竹屋は、その荷の中でも南蛮の薬を買っていた。稲荷の長吉は、日本の女を外国に売っていたのかもしれない。その為の女衒なのだろう。安川は通詞をしていて、新田が帳簿を操作していたに違いない。そして、六人と梅岳を結んでいたのが乙吉。
清記は暫くの間、途方にくれていた。勿論、この名簿を証拠として大和に差し出す事も出来ない。差し出したいが、そうすれば平山家どころか、親類縁者がどのような仕打ちを受けるかわかったものではなかった。大和が政争に勝てばいいのだが、そうなる保証はどこにもない。
自分の臆病さが情けなかった。志の為に生きたいと思えども、その道に踏み込む勇気を持てないでいる。
(所詮は人斬りなのだ)
清記は自嘲して、身体を仰向けに横たえた。
この件については、腹を括るしかない。自分は梅岳の駒だと思い定めれば、幾らか気持ちも軽くなるかもしれない。
志月に会いたかった。会って顔を見れば、鬱屈した感情など消え去るはずだろう。しかし、一人の女の裳裾を掴み救いを求めようとしまう事も清記の心を重くさせた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「そちの話は面白いのう」
そう言うと、利永はおちょぼ口を扇子で隠して笑った。
「ありがたき幸せでございます」
「それで、梅岳めは助かったのか。命冥加な奴だ」
「はっ…」
清記は軽く目を伏せた。
上屋敷にある、藩主・利永の御座所。他の諸大名と違って、普段は下屋敷で起居する利永であるが、昨日は江戸城へ登城していたので上屋敷に一泊していたのだ。
右京の一件があって以降、清記は頻繁に利永から呼び出される。話す内容と言えば、御手先役でどんな人間をどんな風に斬ったかという事ばかり。御手先役の役目を口外する事は禁じられているが、主君の頼みを前にして話さないという選択肢は無かったし、菊原には許可を得ていた。
そして今日は、昨年の晩夏に起きた合ヶ坂の一件について訊かれた。清記にとって、それは語りたくはない話だった。どうしても、倉持平次を斬った時の感触や表情を思い出してしまう。それでも、利永が訊くからには仕方なく、清記は倉持を避けながら経緯を説明した。
「しかし、流石だの念真流は。それにしても、そちは存外話し上手じゃの」
そう言って利永は、話は終わりだと言わんばかり立ち上がったので、清記はしたたかに平伏した。
御座所を出ると、慌ただしい足音が聞こえた。目を向けると、菊原が慌てた様子で、長い廊下を駆け寄って来る。何事だろうか。この男にしてはらしくない。
「平山、心して聞け」
と、菊原が耳に顔を寄せた。
「新田が消えた」
「何と?」
清記が菊原を見ると、静かに頷かれた。
「見張っていた密偵も斬られた。今朝から行方が知れぬので、昨夜の事であろう」
「しかし、新田の腕は然程と」
「若宮様だ。新田は自らの命が危ないと知るや、若宮様の所へ駆け込んだらしい。若宮様は手を引くと言っていたが、偽りだったか」
栄生帯刀が抜け荷を追っていた事は、乙吉が死んだ後に菊原から聞いていた。どうやら、帯刀は大和と繋がっていたらしい。思い返せば、藩主家のさる人物を味方に引き入れたと、大和が言っていた気がする。
「それで、新田殿は何処へ」
「若宮様と共に、夜須へと急いでいるだろう。夜須に入って、奥寺大和へ引き渡すはずだ。それは何としても阻止せねばならん」
「すると、日光街道でしょうか」
「そうだ。その報告は受けて、穴水は既に発った。早駕籠を準備しておるから、お前も急げ」
「ただちに……。しかし、一つだけ確認が」
「何だ?」
菊原がやや苛ついて訊いた。
「若宮様が歯向かった場合は、斬ってもよろしいので?」
「何を馬鹿な」
そうは言ったものの、菊原は迷っているようだ。この一言が、今後に大きく影響するのだと思うと、決断出来ないのだろう。
「斬らねば、新田殿を捕縛出来ぬ場合もありましょう」
「……くそっ、新田を斬る事を優先しろ」
「わかりました。いよいよとなれば、斬ります。しかし、その場合は菊原様の許可を得たという事でよろしいでしょうか?」
「貴様、それでは私が」
「私は御手先役。刺客ですよ。私は腹を括ったのです。菊原様も腹を括っていただきたい」
清記は、菊原の返事も聞かずに踵を返した。上屋敷の入口に早駕籠が準備されていた。
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