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185話
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さっそく軟禁されていた牢の鉄格子を壊して、ベルド様と一緒に外に出る。
その間の兵士はベルド様と一緒に全員倒した。
こっそり逃げる方が定石だと思うけど、馬車がほしいので全員を気絶させていく。
屋敷の奥に留められている荷馬車を借りて外に出る。
「あそこに僕の仲間がいます。シアラさんも一緒です」
「シアラが……?」
「ベルド様をずっと気にかけてくれて、ここまで僕達を案内してくれたんです」
「そうか……シアラにも感謝をしなければな」
荷馬車を走らせて、シアラさんとコテツが隠れている場所の近くに着いた。
「ワンワン!」
コテツが反応して出てきてくれて、続いてシアラさんが出てきた。
「ベルド様!」
「シアラ。苦労を掛けたな」
「いいえ……私達は……ベルド様が無事なら…………」
大きな涙を浮かべたシアラさんに手を伸ばして荷馬車の上に乗せる。
「シアラ。ワタルくんを案内してくれてありがとう」
「いえっ……」
シアラさん。すごく嬉しそうだ。
僕達を乗せた荷馬車は、一気に首都まで走った。
「門を開けろ!」
「ベルド様!? 急いで門を開けろ!」
城壁上の兵士が慌てて門を開けてくれた。
「このまま王城に向かう」
「分かりました!」
大通りを走って、首都の奥に見える高く聳えるお城に向かった。
「ベルド・エグドイルである! 道を開けよう!」
「ベルド様! お待ちください! ここは王城でございます!」
「ええい! 退け!」
荷馬車のまま無理矢理突っ込むが、兵士達のスキルによって荷馬車が斬られてしまった。
途中でシアラさんを下ろしたのは大正解だったね。
「ワンワン!」
コテツと一緒に兵士達を一気に制圧する。
騒ぎを聞き付けて次々にやってきた兵士達も気絶させながら突き進む。
コテツも一緒にいてくれるので非常に心強い。
城門を突破して前広場にやってくると、少し強そうな騎士が一人たっていた。
「ベルド殿……まさか貴殿が謀反を起こすとは思いもしませんでした」
「今のままでは謀反かもしれない。だがわれら騎士は民の命を最優先させるべきもの。それを蔑ろにしている王様には正してもらわねば、いずれ民が大変な目に遭うのだ」
「民ですか……ベルド様の仰ることは理解しているつもりです。ですが――――我ら騎士は陛下を守るべき盾。陛下に剣を向けるなど言語道断です!」
「民がいなければ陛下が陛下であることもできなくなる。陛下を守るために民を守る。そのためにわしは残り命を懸けて陛下を守るとしよう」
「詭弁でございます……!」
大きな剣を抜いた騎士がベルド様に斬りかかってきた。
「ワタルくん。こやつはわしが止める! 急いで中に入ってくれ!」
「分かりました……! 絶対に……死んじゃダメですからね!」
「……もちろんじゃ! この老いぼれ、陛下の安泰を見てからじゃなければ、気が済まないからのぉ!」
ベルド様と騎士との戦いが始まって、僕はコテツと共に急いで場内に入った。
守っている兵士が槍を向けてきて、コテツと一緒に吹き飛ばした。
できればケガもさせたくはないけど、仕方がない。
それと叢雲だと切れ味が鋭すぎて大ケガをさせてしまうから、木刀を召喚した。
これなら打撃用武器として使えるから、打撲はするだろうけど、命にかかわるような大きなケガはしないはずだ。
廊下を一気に駆け抜ける。
やがて僕達は大きな扉の前にたどり着いた。
少し鎧の形状が変わった兵士が立っていたけど、普通の兵士より少し強いくらいだった。
すぐに制圧して、大きな扉を開いて中に入る。
大きな柱が見えて、上部から差し込む光で中は明るかった。
門から奥まで赤い絨毯が続いていて、その先には玉座があり、そこには一人の中年男性が王冠を被ってこちらを睨みつけていた。
「子供……? 金髪ということは、例の悪魔の子か?」
歩いて中にゆっくり入っていく。
王様以外にも何人か貴族と思われる人達が下段に立っていて、その中で久しぶりに会う顔がいた。
「お、お前!」
すぐにしかめっ面で僕を指差す勇者くんの姿が見えた。
「聖剣と聖女を返せ!」
血走った赤い目で僕を睨みながら叫ぶ。
「貴方に聖剣を握る資格なんてありません。人々を守る聖剣を権力をかざす道具にしてる人にはもう聖剣くんも行きたくないはずです!」
「はあ!? ふ、ふざけるな! 聖剣は元々俺様の物だぞ!」
「違います。聖剣は貴方の物ではなく、人々を守ってほしいと願った女神様が与えた物です。人々をねじ伏せる道具にしてほしいと与えた物ではありません」
「く、くそがああああ!」
豪華そうな剣を抜いて僕に跳んできた勇者くん。
以前会った時は、僕一人では勝てそうになったけど、聖剣を失ってステラさんまでいなくなって、自暴自棄になっていたからか、まったく強くなっていない。
今なら僕一人で十分すぎるくらい、武器を使う必要すらなさそうだ。
勇者くんの懐に潜って、腹部を強打する。
「ぐはっ!?」
僕の拳がめりこんで、勇者くんの身体が簡単に吹き飛んだ。
何度か地面にバウンドした勇者くんは、壁まで飛ばされて一撃で気を失った。
「勇者様が一撃だと!? ば、ばかな……」
貴族達が驚いて目を大きくして僕を見つめる。
ようやく僕とコテツは王様に対面することができた。
その間の兵士はベルド様と一緒に全員倒した。
こっそり逃げる方が定石だと思うけど、馬車がほしいので全員を気絶させていく。
屋敷の奥に留められている荷馬車を借りて外に出る。
「あそこに僕の仲間がいます。シアラさんも一緒です」
「シアラが……?」
「ベルド様をずっと気にかけてくれて、ここまで僕達を案内してくれたんです」
「そうか……シアラにも感謝をしなければな」
荷馬車を走らせて、シアラさんとコテツが隠れている場所の近くに着いた。
「ワンワン!」
コテツが反応して出てきてくれて、続いてシアラさんが出てきた。
「ベルド様!」
「シアラ。苦労を掛けたな」
「いいえ……私達は……ベルド様が無事なら…………」
大きな涙を浮かべたシアラさんに手を伸ばして荷馬車の上に乗せる。
「シアラ。ワタルくんを案内してくれてありがとう」
「いえっ……」
シアラさん。すごく嬉しそうだ。
僕達を乗せた荷馬車は、一気に首都まで走った。
「門を開けろ!」
「ベルド様!? 急いで門を開けろ!」
城壁上の兵士が慌てて門を開けてくれた。
「このまま王城に向かう」
「分かりました!」
大通りを走って、首都の奥に見える高く聳えるお城に向かった。
「ベルド・エグドイルである! 道を開けよう!」
「ベルド様! お待ちください! ここは王城でございます!」
「ええい! 退け!」
荷馬車のまま無理矢理突っ込むが、兵士達のスキルによって荷馬車が斬られてしまった。
途中でシアラさんを下ろしたのは大正解だったね。
「ワンワン!」
コテツと一緒に兵士達を一気に制圧する。
騒ぎを聞き付けて次々にやってきた兵士達も気絶させながら突き進む。
コテツも一緒にいてくれるので非常に心強い。
城門を突破して前広場にやってくると、少し強そうな騎士が一人たっていた。
「ベルド殿……まさか貴殿が謀反を起こすとは思いもしませんでした」
「今のままでは謀反かもしれない。だがわれら騎士は民の命を最優先させるべきもの。それを蔑ろにしている王様には正してもらわねば、いずれ民が大変な目に遭うのだ」
「民ですか……ベルド様の仰ることは理解しているつもりです。ですが――――我ら騎士は陛下を守るべき盾。陛下に剣を向けるなど言語道断です!」
「民がいなければ陛下が陛下であることもできなくなる。陛下を守るために民を守る。そのためにわしは残り命を懸けて陛下を守るとしよう」
「詭弁でございます……!」
大きな剣を抜いた騎士がベルド様に斬りかかってきた。
「ワタルくん。こやつはわしが止める! 急いで中に入ってくれ!」
「分かりました……! 絶対に……死んじゃダメですからね!」
「……もちろんじゃ! この老いぼれ、陛下の安泰を見てからじゃなければ、気が済まないからのぉ!」
ベルド様と騎士との戦いが始まって、僕はコテツと共に急いで場内に入った。
守っている兵士が槍を向けてきて、コテツと一緒に吹き飛ばした。
できればケガもさせたくはないけど、仕方がない。
それと叢雲だと切れ味が鋭すぎて大ケガをさせてしまうから、木刀を召喚した。
これなら打撃用武器として使えるから、打撲はするだろうけど、命にかかわるような大きなケガはしないはずだ。
廊下を一気に駆け抜ける。
やがて僕達は大きな扉の前にたどり着いた。
少し鎧の形状が変わった兵士が立っていたけど、普通の兵士より少し強いくらいだった。
すぐに制圧して、大きな扉を開いて中に入る。
大きな柱が見えて、上部から差し込む光で中は明るかった。
門から奥まで赤い絨毯が続いていて、その先には玉座があり、そこには一人の中年男性が王冠を被ってこちらを睨みつけていた。
「子供……? 金髪ということは、例の悪魔の子か?」
歩いて中にゆっくり入っていく。
王様以外にも何人か貴族と思われる人達が下段に立っていて、その中で久しぶりに会う顔がいた。
「お、お前!」
すぐにしかめっ面で僕を指差す勇者くんの姿が見えた。
「聖剣と聖女を返せ!」
血走った赤い目で僕を睨みながら叫ぶ。
「貴方に聖剣を握る資格なんてありません。人々を守る聖剣を権力をかざす道具にしてる人にはもう聖剣くんも行きたくないはずです!」
「はあ!? ふ、ふざけるな! 聖剣は元々俺様の物だぞ!」
「違います。聖剣は貴方の物ではなく、人々を守ってほしいと願った女神様が与えた物です。人々をねじ伏せる道具にしてほしいと与えた物ではありません」
「く、くそがああああ!」
豪華そうな剣を抜いて僕に跳んできた勇者くん。
以前会った時は、僕一人では勝てそうになったけど、聖剣を失ってステラさんまでいなくなって、自暴自棄になっていたからか、まったく強くなっていない。
今なら僕一人で十分すぎるくらい、武器を使う必要すらなさそうだ。
勇者くんの懐に潜って、腹部を強打する。
「ぐはっ!?」
僕の拳がめりこんで、勇者くんの身体が簡単に吹き飛んだ。
何度か地面にバウンドした勇者くんは、壁まで飛ばされて一撃で気を失った。
「勇者様が一撃だと!? ば、ばかな……」
貴族達が驚いて目を大きくして僕を見つめる。
ようやく僕とコテツは王様に対面することができた。
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