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151話

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 次の日。

 エンゲージさんと一緒に訪れた多くの店員さんによって、白狐族の毛玉が解体されて屋敷からどんどんなくなっていった。

 これから毛玉は洋服に姿を変えて魔族達を守ってくれる防具として、ファッション性もある洋服に姿を変えるはずだ。

 庭に置いてあった毛玉があっという間に姿を消して、ようやく圧迫していた景色が開放的になった。

「ワタル? またスライムたちが増えたよ?」

「そうみたいだね。今回は水色と青色のスライムも増えたみたいだ」

 庭にある泉からまたスライムたちが外にでてきた。昨日もたくさん増えてたのに、今日もまた増えている。

 スライムたちの数は元々水スライムが四百二十匹、青スライムが百匹、緑スライムが三十匹いたんだけど、あれからどんどん数を増やして、新しく増えたスライムたちまで足すと、水スライムが六百匹に、青スライムが二百匹に、緑スライムが百匹に増えた。

 合計すると、九百匹にも及ぶ数になる。

 恐らくだけど、スライムは魔物の中でも最下位の魔物なのもあり、従魔にできる数が僕のステータスの【INT知力】に依存していて、1に対して一匹なのかも知れない。それならこれから二倍は超える計算になる。

「フウちゃん。ムイちゃん。みんなをよろしくね」

『あい! ご主人様!』

 ふたりを撫でてあげて、他の子たちもエレナちゃんと手分けして撫でてから僕達は屋敷を後にした。

 今日やってきたのはシェーン街から程なく離れた場所に設けられたテントの野営地だ。

 ここに魔物は近づけないようにしてあるが、それでも危険がないために多くの白狐たちにお願いして護衛をお願いしている。

「ワタルくん。いらっしゃい」

 ちょうどエヴァさんが出迎えてくれてそのままテントの中に入る。

 そこには長い椅子が置かれていて、少し豪華な椅子が左右にたくさん並んでいる。

 それぞれの場所に紙を縦て名前を書いていく。

 ここは明日行われる予定の魔族と人族の会議のための会場だ。

 シェーン街ではなく、距離をとっているのは、まだ人族を信頼していないことと、人族に罠ではないことのアピールを兼ねている。

 もし戦いになったら、僕がエヴァさんたちを連れて急いで転送で逃げる作戦になっている。けど、多分そうはならない気がする。

 普段から優しいステラさんが関わっている人族なら信頼に値すると思うから。

 勇者が来たら色々困るので、勇者はお断りしていたりする。

 場所の確認が終わり、テント周囲を散策する。

 僕の【レーダー】で多くの青い点が見えている。

 まだ会議も行ってないのに、中立でもなく味方を示している青色なのに少し驚いた。

「ステラさん。向こうに人族のみなさんがいるみたいなので、先に挨拶に行きましょうか」

「そうですね。私は向こうに行った方が色々と都合が良さそうですから」

 そもそもステラさんが魔族と一緒にいるのがよく許可出たなと思うくらいだ。

 ゆっくりと人族が明日の会議のために野営地を開いている場所にやってきた。

 入口からこちらを見かけた衛兵さんが中に知らせると、とんでもない速さでこちらに向かって走ってくる人影が一人。

「ステラ」

「久しぶり。エレノア」

 彼女は以前にも出会ったステラさんの親友のエレノアさんだ。

 今日も無表情のままだけど、ものすごく嬉しそうなオーラは感じられる。

 やってきたエレノアさんはすぐにステラさんを抱きしめた。

「もう離さない」

「ふふっ。それでは困っちゃうわ。明日は会議もあるし、今日は教皇様にも合わなくちゃ」

「そうだった。教皇が待ってる」

「ええ。案内お願いね。ワタル様も行きますか?」

「いえ。僕とエレナちゃんはこのまま戻ります。教皇様とは明日エヴァさんと一緒に挨拶させてください」

「わかりました」

 ステラさんが笑顔を浮かべて僕達に向かって会釈して、エレノアさんと共に人族の野営地に向かって歩き出した。

 エレノアさんがいるならステラさんの身は安全だと思うから、僕達はそのまま会場に戻りエヴァさんに現状を報告して明日の会議に挑むことになった。

 しかし、その会議によって、とんでもないことが決まろうとするなんて、その時の僕は想像だにしなかった。

 まさかあんなことが起きるなんて…………。
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