13 / 14
⑬
しおりを挟む
リアムが魔法の訓練のために冒険者ギルドの訓練場に籠っている間に冒険者ヘイム達とエリシア達は王都で情報収集に勤しんだ。
そこで怪しい商会を見つけると、裏取引で死薬売買を突き止める。
意外にも周囲の商会から情報が漏れており、良い目で見られていないとの事。
早速得た情報から例の商会の裏取引現場に忍び込む。
王国の者と思われる者と商会の者が取引を行っていた。
死薬の取引を確認した後、相手が王国に入るのを確認した。
「王国に流れているのは分かったが、そもそも原材料が何処から出ているか見つけないといけない」
死薬の原材料となるデシール草。
その栽培地は誰にも知られる事はない。
何故なら、死薬と呼ばれている薬は本来は違う使い方をされるはずだったが、その効能から暗殺などに使える死薬と変貌したのだ。
「死薬の原産地なら私が知っています」
エリシアの言葉に全員が驚く。
原産地は王国でも知っている者が数人しかいないはずだからである。
「原産地は――――――わたくしの実家であるセイルド子爵家であります」
その言葉に全員が驚く。
「死薬は…………わたくしのお母様が開発した『モルセナ』という薬の原材料なんです。でも…………その薬は弱めないと強力な毒薬になるんです。それが皆さんも知っている死薬の正体です。本来なら…………多くの命を救うはずだったのに……」
亡き母は天才薬師であった。
より多くの命を救うために彼女が生涯を掛けて作った薬の原材料『モルセナ』。
ただどの薬も用途を間違えた劇薬に変わってしまう。
エリシアの母はずっとそれを懸念していたが、彼女が亡くなった後、彼女の望みとは違う使い方になってしまったのだ。
「『モルセナ』の栽培場所ま全て知っています。いつでも案内出来ます」
決心したエリシアを冒険者ギルドは全面的に推す事に決める。
その日から数日後。
王都にあるセイルド子爵家に大きな火事が起きた。
死者は一人もいなかったが、子爵家の敷地内の庭の中から火事は不穏な噂が流れるには十分だった。
◇
「死薬の原産地が燃えたと!? 一体どういう事だ!」
激しく怒り出す第三王子のマシューである。
「も、申し訳ございません! 厳重に守っていたのですが……」
「燃えてしまっては厳重とは言えないんだ! 隣国になんて説明すればいいのだ! …………レシピ。レシピはあるのか!?」
「それが……」
「それがなんだ!」
「レシピは娘のエリシアしか場所が分からず……」
「エリシアだ!? なぜそこでエリシアが出てくる!?」
「薬学は全てエリシアの母の物でしたので…………」
「ふ、ふざけるな! なぜそんな大事な事を言わなかったんだ!」
「こんなことになるとは思わず…………」
怒るマシュー王子にセイルド子爵の震えが止まらない。
「殿下~そんな薬なんてなくても~」
ふと隣で見守っていた娘のセーナがそう話しかける。
「ふざけるな! これで隣国からの援助が貰えなくなる所か、戦争になりかねないんだぞ! 今すぐエリシアの部屋からレシピを探して来い!」
怒るマシューにセーナとセイルド子爵は逃げるように屋敷に戻って行った。
この火事を境に、第三王子マシューとセイルド子爵家の歯車が狂い始める。
そこで怪しい商会を見つけると、裏取引で死薬売買を突き止める。
意外にも周囲の商会から情報が漏れており、良い目で見られていないとの事。
早速得た情報から例の商会の裏取引現場に忍び込む。
王国の者と思われる者と商会の者が取引を行っていた。
死薬の取引を確認した後、相手が王国に入るのを確認した。
「王国に流れているのは分かったが、そもそも原材料が何処から出ているか見つけないといけない」
死薬の原材料となるデシール草。
その栽培地は誰にも知られる事はない。
何故なら、死薬と呼ばれている薬は本来は違う使い方をされるはずだったが、その効能から暗殺などに使える死薬と変貌したのだ。
「死薬の原産地なら私が知っています」
エリシアの言葉に全員が驚く。
原産地は王国でも知っている者が数人しかいないはずだからである。
「原産地は――――――わたくしの実家であるセイルド子爵家であります」
その言葉に全員が驚く。
「死薬は…………わたくしのお母様が開発した『モルセナ』という薬の原材料なんです。でも…………その薬は弱めないと強力な毒薬になるんです。それが皆さんも知っている死薬の正体です。本来なら…………多くの命を救うはずだったのに……」
亡き母は天才薬師であった。
より多くの命を救うために彼女が生涯を掛けて作った薬の原材料『モルセナ』。
ただどの薬も用途を間違えた劇薬に変わってしまう。
エリシアの母はずっとそれを懸念していたが、彼女が亡くなった後、彼女の望みとは違う使い方になってしまったのだ。
「『モルセナ』の栽培場所ま全て知っています。いつでも案内出来ます」
決心したエリシアを冒険者ギルドは全面的に推す事に決める。
その日から数日後。
王都にあるセイルド子爵家に大きな火事が起きた。
死者は一人もいなかったが、子爵家の敷地内の庭の中から火事は不穏な噂が流れるには十分だった。
◇
「死薬の原産地が燃えたと!? 一体どういう事だ!」
激しく怒り出す第三王子のマシューである。
「も、申し訳ございません! 厳重に守っていたのですが……」
「燃えてしまっては厳重とは言えないんだ! 隣国になんて説明すればいいのだ! …………レシピ。レシピはあるのか!?」
「それが……」
「それがなんだ!」
「レシピは娘のエリシアしか場所が分からず……」
「エリシアだ!? なぜそこでエリシアが出てくる!?」
「薬学は全てエリシアの母の物でしたので…………」
「ふ、ふざけるな! なぜそんな大事な事を言わなかったんだ!」
「こんなことになるとは思わず…………」
怒るマシュー王子にセイルド子爵の震えが止まらない。
「殿下~そんな薬なんてなくても~」
ふと隣で見守っていた娘のセーナがそう話しかける。
「ふざけるな! これで隣国からの援助が貰えなくなる所か、戦争になりかねないんだぞ! 今すぐエリシアの部屋からレシピを探して来い!」
怒るマシューにセーナとセイルド子爵は逃げるように屋敷に戻って行った。
この火事を境に、第三王子マシューとセイルド子爵家の歯車が狂い始める。
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
泣き虫令嬢は自称商人(本当は公爵)に愛される
琴葉悠
恋愛
エステル・アッシュベリーは泣き虫令嬢と一部から呼ばれていた。
そんな彼女に婚約者がいた。
彼女は婚約者が熱を出して寝込んでいると聞き、彼の屋敷に見舞いにいった時、彼と幼なじみの令嬢との不貞行為を目撃してしまう。
エステルは見舞い品を投げつけて、馬車にも乗らずに泣きながら夜道を走った。
冷静になった途端、ごろつきに囲まれるが謎の商人に助けられ──
いつの間にかの王太子妃候補
しろねこ。
恋愛
婚約者のいる王太子に恋をしてしまった。
遠くから見つめるだけ――それだけで良かったのに。
王太子の従者から渡されたのは、彼とのやり取りを行うための通信石。
「エリック様があなたとの意見交換をしたいそうです。誤解なさらずに、これは成績上位者だけと渡されるものです。ですがこの事は内密に……」
話す内容は他国の情勢や文化についてなど勉強についてだ。
話せるだけで十分幸せだった。
それなのに、いつの間にか王太子妃候補に上がってる。
あれ?
わたくしが王太子妃候補?
婚約者は?
こちらで書かれているキャラは他作品でも出ています(*´ω`*)
アナザーワールド的に見てもらえれば嬉しいです。
短編です、ハピエンです(強調)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます。
婚約破棄ですか?それは死ぬ覚悟あっての話ですか?
R.K.
恋愛
結婚式まで数日という日──
それは、突然に起こった。
「婚約を破棄する」
急にそんなことを言われても困る。
そういった意味を込めて私は、
「それは、死ぬ覚悟があってのことなのかしら?」
相手を試すようにそう言った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この作品は登場人物の名前は出てきません。
短編の中の短編です。
婚約破棄をしてくれた王太子殿下、ありがとうございました
hikari
恋愛
オイフィア王国の王太子グラニオン4世に婚約破棄された公爵令嬢アーデルヘイトは王国の聖女の任務も解かれる。
家に戻るも、父であり、オルウェン公爵家当主のカリオンに勘当され家から追い出される。行き場の無い中、豪商に助けられ、聖女として平民の生活を送る。
ざまぁ要素あり。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
毒殺されそうになりました
夜桜
恋愛
令嬢イリスは毒の入ったお菓子を食べかけていた。
それは妹のルーナが贈ったものだった。
ルーナは、イリスに好きな恋人を奪われ嫌がらせをしていた。婚約破棄させるためだったが、やがて殺意に変わっていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる