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二章
第39話 同じベッドですか?
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特殊召喚が成功して、使い方がある程度分かった所で、これ以上は練習が必要だと思った。
そもそも、今までのスキルはスキル『クリーン』くらいしか詠唱が要らなかったけど、特殊召喚はしっかり唱えないと発動してくれなかった。
つまり、特殊召喚を行うには、唱えなくちゃいけない。
唱える文言で、割とどんな命令でもさせられそうだったのが、大きな収穫だったかな?
僕の『ゴミ召喚』の唯一の弱点は、そこにただ召喚するしか出来なかった。
『城壁』も重さで重力による落下くらいしか攻撃手段がなかったから。
特殊召喚のヒントをくれたシェーンさんには感謝だね。
◇
里が助かった記念? として、宴会が開かれた。
美味しい豚肉は勿論、うちの町では取れないような新鮮な野菜も沢山あった。
採れたての野菜がこんなに美味いとは想像もしてなかった。
普段は肉大好きなアイリスも、野菜をむしゃむしゃと食べていた。
「アレク殿」
「テザイオンさん、ご馳走様です」
「いえいえ、助けてくださったお礼です、こんなものしか出せずに申し訳ないくらいです」
テザイオンの懐の深さを感じれた。
実は、昔、本で読んだ事がある。
――ダークエルフは、闇の使徒であり、狡猾且つ残虐な種族である亜人族だ。と。
でも実際、この里を眺めていると、全くそんな気配はなかった。
ちゃんと家畜達の世話もするし、子供は無邪気に遊んでいるし、狩りもしているし。
こうして宴会を共にすれば、尚更、あの本が間違いなのだと思い知った。
楽しい宴会が終わり、僕とアイリスは泊まる事となった。
◇
「ベータ町は大丈夫なんだろうか?」
僕はふと、一日中留守をしているベータ町が心配になった。
「それなら大丈夫よ?」
風呂上りのアイリスがいた。
「え? どうして分かるの?」
「私の新しいスキル『まじょまじょ転移』は、拠点の音を常に聞けるんだよ、確か『魔女ノ耳』というみたいなんだけどね。だから、こうして離れていても、ベータ町が危なくなったら直ぐに分かる訳よ」
ドヤって表情で、アイリスが話した。
それは、とても便利なスキルだね。
それはそうとして……。
「アイリス? なんで僕の部屋にいるの?」
「え? ここ、私の部屋なんだけど?」
「え?」
「え?」
何となく、部屋が広いなとは思っていた。
ベッドに目を向けると……。
ああ……サイズ的に、めちゃ広い……これ……まさか…………。
「あ……相部屋か……」
「ッ!?」
僕の言葉に、アイリスの表情が強張った。
「えっと……、アイリス。僕は床で寝るから――」
「ダメ」
「えっ?」
「今日はアレクも頑張ったのに、アレクだけ床で寝るのはダメだよ、ベッドが思っていた以上に広いし……二人で寝ても問題なさそうね!」
そう話したアイリスは、僕の手を引いて、僕をベッドに投げ込んだ。
「べべべべ、別に変な事思ってないからね!」
「う、うん。僕も思ってないよ」
「え!? 思ってないの!?」
「え!? 何でそこで驚くの!?」
アイリスが僕と反対側のベッドに座り、何かブツブツとぼやいていた。
弱くとはいえ、常時『魔女ノ衣』を発動させているから、ちょっと不気味なんですけど……。
こうして、僕は人生初の女性と同じベッドで一夜を共にした。
広いベッドの両端だけどね。
最早、同じベッドで寝たと言えるかどうか怪しいくらい離れているけどね。
少しして、アイリスの静かな寝息の音が聞こえ、僕も眠りに付いた。
そもそも、今までのスキルはスキル『クリーン』くらいしか詠唱が要らなかったけど、特殊召喚はしっかり唱えないと発動してくれなかった。
つまり、特殊召喚を行うには、唱えなくちゃいけない。
唱える文言で、割とどんな命令でもさせられそうだったのが、大きな収穫だったかな?
僕の『ゴミ召喚』の唯一の弱点は、そこにただ召喚するしか出来なかった。
『城壁』も重さで重力による落下くらいしか攻撃手段がなかったから。
特殊召喚のヒントをくれたシェーンさんには感謝だね。
◇
里が助かった記念? として、宴会が開かれた。
美味しい豚肉は勿論、うちの町では取れないような新鮮な野菜も沢山あった。
採れたての野菜がこんなに美味いとは想像もしてなかった。
普段は肉大好きなアイリスも、野菜をむしゃむしゃと食べていた。
「アレク殿」
「テザイオンさん、ご馳走様です」
「いえいえ、助けてくださったお礼です、こんなものしか出せずに申し訳ないくらいです」
テザイオンの懐の深さを感じれた。
実は、昔、本で読んだ事がある。
――ダークエルフは、闇の使徒であり、狡猾且つ残虐な種族である亜人族だ。と。
でも実際、この里を眺めていると、全くそんな気配はなかった。
ちゃんと家畜達の世話もするし、子供は無邪気に遊んでいるし、狩りもしているし。
こうして宴会を共にすれば、尚更、あの本が間違いなのだと思い知った。
楽しい宴会が終わり、僕とアイリスは泊まる事となった。
◇
「ベータ町は大丈夫なんだろうか?」
僕はふと、一日中留守をしているベータ町が心配になった。
「それなら大丈夫よ?」
風呂上りのアイリスがいた。
「え? どうして分かるの?」
「私の新しいスキル『まじょまじょ転移』は、拠点の音を常に聞けるんだよ、確か『魔女ノ耳』というみたいなんだけどね。だから、こうして離れていても、ベータ町が危なくなったら直ぐに分かる訳よ」
ドヤって表情で、アイリスが話した。
それは、とても便利なスキルだね。
それはそうとして……。
「アイリス? なんで僕の部屋にいるの?」
「え? ここ、私の部屋なんだけど?」
「え?」
「え?」
何となく、部屋が広いなとは思っていた。
ベッドに目を向けると……。
ああ……サイズ的に、めちゃ広い……これ……まさか…………。
「あ……相部屋か……」
「ッ!?」
僕の言葉に、アイリスの表情が強張った。
「えっと……、アイリス。僕は床で寝るから――」
「ダメ」
「えっ?」
「今日はアレクも頑張ったのに、アレクだけ床で寝るのはダメだよ、ベッドが思っていた以上に広いし……二人で寝ても問題なさそうね!」
そう話したアイリスは、僕の手を引いて、僕をベッドに投げ込んだ。
「べべべべ、別に変な事思ってないからね!」
「う、うん。僕も思ってないよ」
「え!? 思ってないの!?」
「え!? 何でそこで驚くの!?」
アイリスが僕と反対側のベッドに座り、何かブツブツとぼやいていた。
弱くとはいえ、常時『魔女ノ衣』を発動させているから、ちょっと不気味なんですけど……。
こうして、僕は人生初の女性と同じベッドで一夜を共にした。
広いベッドの両端だけどね。
最早、同じベッドで寝たと言えるかどうか怪しいくらい離れているけどね。
少しして、アイリスの静かな寝息の音が聞こえ、僕も眠りに付いた。
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