21 / 102
一章
第20話 助かりましたか?
しおりを挟む
「ッしゃおらぁああああ!!」
アースの気合が入った剣戟が暗殺者を襲った。
暗殺者は素早く、後方に剣戟を避けた。
シュッ――、カン。
避ける際、投げたナイフをアースが弾いた。
「相変わらず、汚いやり口だな」
「…………」
アースがもう一度仕掛けた。
暗殺者はゆるりと避けながら、攻撃を試みたが、アースも全て弾き返した。
「スキル、ベノムダガー」
暗殺者の手元に禍々しい刃が数点現れた。
「スキル、空間振動」
暗殺者から放たれた刃は、アースの前で止まり、ブルブル揺れて消えた。
「貴様……アースクエイクか……」
「懐かしい名を覚えてくれるなんて、嬉しいね」
「くっ」
「スキル! 空間波動!」
ゴゴゴゴゴゴ――
アースと暗殺者の周辺の目に見える程、空気の激しい揺れが現れた。
「逃がさないぜ、俺と会ったのが運の尽きだと思え」
「スキル! ダークイリュージョン!」
暗殺者の周辺に黒い霧が発生した。
それを見たアースが剣を大きく構えた。
「そんなまやかしなぞ、丸ごと斬ってやるよ! スキル!! 波動剣!!!」
アースの剣が黄色に光り、空を斬ると、目に見える程の激しい揺れの波が暗殺者を襲った。
グゴゴゴゴゴゴ――
激しい揺れの波が暗殺者の霧を丸ごと飲み込んだ。
「ぐあああああ」
霧が消え、そこにはさっき程五体満足だった暗殺者が色々ねじれていた。
「『ロキ』が関わっているとは……こんな下っ端とは言え……アレクの方は大丈夫だろうか」
アースはそんな言葉を呟きながら、暗殺者の首を跳ねてトドメを刺した。
◇
「シーマくん!」
部屋の扉を開けると中には、身体中怪我だらけのシーマがいた。
しかし、目には勇ましい光が宿っていた。
「貴方は……リグレットさんでしたね」
「ああ、アースと共に助けに来たよ、ほら、あんたの町の人達もいるさね」
「ハリスさん!? 皆さん、ありがとうございます」
リグレット達は急いでシーマを縛っていた器具を取り外した。
「アースが今、暗殺者と戦っているよ」
「アースさんが……そうですか……、さっきからの騒ぎは……あいつの仕業ですか?」
「ええ、君のために一生懸命になっていたよ」
「そうか……、僕は良い友達を持ちましたね」
「そうさね。友達は大切にしないとね」
シーマは何処か悲しい表情をしていた。
言わなくても、皆知っていた。
きっと、ピエルの事を思っているに違いないと――。
◇
部屋から逃げ出したリグレット達は元の場所に戻るとアースが待っていた。
「アース! 無事だったわね」
「アースさん、ありがとうございます」
「おお、シーマくん。こちらこそ、助けに来るのが遅れてすまなかった。リグレット達もありがとう」
「それで、アレクは?」
「ああ、外で待機している。もしかしたら追加で来られると大変だから、今のアレクならそれを止められるからね」
「そうですか……アレクはもうそんなに強くなったんですね」
「ああ、あいつ、とんでもなく強くなっているぞ」
「ははは、たった一週間見てないだけで、僕も負けてられませんね」
「ははっ、まず町に帰ったら驚く事が沢山あるだろう。楽しみにしておくといい」
期待と不安を胸に、シーマはアース達と逃げるのであった。
アースの気合が入った剣戟が暗殺者を襲った。
暗殺者は素早く、後方に剣戟を避けた。
シュッ――、カン。
避ける際、投げたナイフをアースが弾いた。
「相変わらず、汚いやり口だな」
「…………」
アースがもう一度仕掛けた。
暗殺者はゆるりと避けながら、攻撃を試みたが、アースも全て弾き返した。
「スキル、ベノムダガー」
暗殺者の手元に禍々しい刃が数点現れた。
「スキル、空間振動」
暗殺者から放たれた刃は、アースの前で止まり、ブルブル揺れて消えた。
「貴様……アースクエイクか……」
「懐かしい名を覚えてくれるなんて、嬉しいね」
「くっ」
「スキル! 空間波動!」
ゴゴゴゴゴゴ――
アースと暗殺者の周辺の目に見える程、空気の激しい揺れが現れた。
「逃がさないぜ、俺と会ったのが運の尽きだと思え」
「スキル! ダークイリュージョン!」
暗殺者の周辺に黒い霧が発生した。
それを見たアースが剣を大きく構えた。
「そんなまやかしなぞ、丸ごと斬ってやるよ! スキル!! 波動剣!!!」
アースの剣が黄色に光り、空を斬ると、目に見える程の激しい揺れの波が暗殺者を襲った。
グゴゴゴゴゴゴ――
激しい揺れの波が暗殺者の霧を丸ごと飲み込んだ。
「ぐあああああ」
霧が消え、そこにはさっき程五体満足だった暗殺者が色々ねじれていた。
「『ロキ』が関わっているとは……こんな下っ端とは言え……アレクの方は大丈夫だろうか」
アースはそんな言葉を呟きながら、暗殺者の首を跳ねてトドメを刺した。
◇
「シーマくん!」
部屋の扉を開けると中には、身体中怪我だらけのシーマがいた。
しかし、目には勇ましい光が宿っていた。
「貴方は……リグレットさんでしたね」
「ああ、アースと共に助けに来たよ、ほら、あんたの町の人達もいるさね」
「ハリスさん!? 皆さん、ありがとうございます」
リグレット達は急いでシーマを縛っていた器具を取り外した。
「アースが今、暗殺者と戦っているよ」
「アースさんが……そうですか……、さっきからの騒ぎは……あいつの仕業ですか?」
「ええ、君のために一生懸命になっていたよ」
「そうか……、僕は良い友達を持ちましたね」
「そうさね。友達は大切にしないとね」
シーマは何処か悲しい表情をしていた。
言わなくても、皆知っていた。
きっと、ピエルの事を思っているに違いないと――。
◇
部屋から逃げ出したリグレット達は元の場所に戻るとアースが待っていた。
「アース! 無事だったわね」
「アースさん、ありがとうございます」
「おお、シーマくん。こちらこそ、助けに来るのが遅れてすまなかった。リグレット達もありがとう」
「それで、アレクは?」
「ああ、外で待機している。もしかしたら追加で来られると大変だから、今のアレクならそれを止められるからね」
「そうですか……アレクはもうそんなに強くなったんですね」
「ああ、あいつ、とんでもなく強くなっているぞ」
「ははは、たった一週間見てないだけで、僕も負けてられませんね」
「ははっ、まず町に帰ったら驚く事が沢山あるだろう。楽しみにしておくといい」
期待と不安を胸に、シーマはアース達と逃げるのであった。
11
お気に入りに追加
615
あなたにおすすめの小説
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
贄の令嬢はループする
みん
恋愛
エヴェリーナ=ハウンゼントには、第二王子の婚約者が居たが、その第二王子と隣国の第一王女が恋仲になり、婚約破棄されてしまう。その上、黒色の竜の贄にされてしまい、命尽きた──と思ったら、第二王子と婚約を結ぶ前の時に戻っていた。
『正しい路に────』と言う言葉と共に、贄とならないように人生をやり直そうとするが───。
「そろそろ……キレて良いかなぁ?」
ループする人生に、プチッとキレたエヴェリーナは、ループから抜け出せるのか?
❋相変わらずのゆるふわ設定なので、軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。
❋独自の設定があります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
❋他視点のお話もあります。
❋更新時間は決めていませんが、基本は1日1話更新です。
❋なろう様にも投稿しています。
竜焔の騎士
時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証……
これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語―――
田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。
会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ?
マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。
「フールに、選ばれたのでしょう?」
突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!?
この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー!
天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
悪役令嬢は所詮悪役令嬢
白雪の雫
ファンタジー
「アネット=アンダーソン!貴女の私に対する仕打ちは到底許されるものではありません!殿下、どうかあの平民の女に頭を下げるように言って下さいませ!」
魔力に秀でているという理由で聖女に選ばれてしまったアネットは、平民であるにも関わらず公爵令嬢にして王太子殿下の婚約者である自分を階段から突き落とそうとしただの、冬の池に突き落として凍死させようとしただの、魔物を操って殺そうとしただの──・・・。
リリスが言っている事は全て彼女達による自作自演だ。というより、ゲームの中でリリスがヒロインであるアネットに対して行っていた所業である。
愛しいリリスに縋られたものだから男としての株を上げたい王太子は、アネットが無実だと分かった上で彼女を断罪しようとするのだが、そこに父親である国王と教皇、そして聖女の夫がやって来る──・・・。
悪役令嬢がいい子ちゃん、ヒロインが脳内お花畑のビッチヒドインで『ざまぁ』されるのが多いので、逆にしたらどうなるのか?という思い付きで浮かんだ話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる