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第22話 奴隷商
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奴隷市場を見てから十日が経過した。
その間にギルドマスターの依頼をこなしながら、毎日依頼掲示板を見ながら依頼の種類を研究した。
そして、本日。
ずっと狙っていた依頼を受ける事ができた。
「おほほ。本日はよろしくお願いしますね~」
豪華な服を着ていて、全身にスライムでも飼っているのかと思えるくらいにふくよかな体形で、ひげが独特な形になっているおっさんが出迎えてくれる。
「本日も護衛の依頼ありがとうございます。いつものメンバーに加えてCランク冒険者二人も増えました」
「ほお? そんな凄い人も護衛してくれるのぉ~?」
「はい。こちらがCランク冒険者のアルマとシャリーです」
ウシガエルのようなぎょろぎょろっとした目が俺とシャリーを見つめる。
俺はヌルっと通り過ぎたのに、シャリーを見つめた途端、その表情がさらに気持ち悪いモノに変わっていく。
視線を感じたシャリーが俺の腕に抱き着いて視線を逸らす。
うん。女の子なら視線を逸らすだろうな。
俺達の姿を見て残念そうな表情を浮かべるな!
「ではこれから配置に付きますので、よろしくお願いします」
「よろしく頼むよぉ~」
奴隷市場の奴隷商ドスグ・ロブータに挨拶が終わり、俺達冒険者達はそれぞれの位置につく。
俺とシャリーは別れて行動する。
念のためシャリーにクレアが付いてくれて、俺とルークがチームを組んだ。
シャリー入口付近、俺は奴隷達の控室だ。
外の鉄檻はどこか冷たいイメージがあったけど、屋敷中の控室は俺が想像していた以上に良い待遇の部屋だった。
それにここにいる奴隷達は全員が笑顔で美味しそうなお菓子と紅茶を飲みながら談笑をしている。
外と中の差に驚きつつも、俺は部屋の入口付近に立つ。
その時、とある女性が一人入って来る。
メイド服を着た彼女は俺に小さく会釈して、持って来た新しいお菓子と紅茶を奴隷達に淹れ始めた。
渡し終わると、彼女もまた俺の近くにやってきて椅子に座る。
彼女と共に楽しそうな奴隷達を眺めた。
「今日初めての方ですか?」
「はい。初めての護衛になります」
「ここを任されるという事はさぞ強い方でしょうね」
「一応Cランク冒険者です」
「…………」
表情には出していないが、凄い驚いている。
「お名前を聞いても?」
「えっ? ――――――エヴァ。エヴァと申します」
「良い名ですね」
「あ、ありがとうございます」
「ずっとここでメイドを?」
「えっ? い、いえ。私も最近です」
彼女との挨拶を終わらせた頃、奴隷達から紅茶の催促があってエヴァさんはまた紅茶を淹れに向かう。
どこか気品あふれる姿勢はさすがに隠せないな。
暫く待っていると奴隷市場の開始を知らせる私兵がやってきた。
一人ずつ呼ばれる度に部屋から繋がっている特別通路に歩き出す。
あの通路を真っすぐ進むとステージに繋がっているらしい。
「エヴァさん」
「はい?」
「中の奴隷達はとても幸せそうですね」
「そう……ですね……」
「外とは随分と違いますね?」
「…………アルマさんは奴隷の事をあまり知らないのでしょうか?」
「ええ」
「奴隷は大きく分けると二つに分かれます。雑用のための奴隷と…………観賞のための奴隷となります」
鑑賞という言葉に納得いく部分が多い。
ここにいる奴隷はどの人も綺麗な女性ばかりだ。
着ている服も美しいドレスに、しっかり化粧もしていた。
買い手は男性の貴族ばかりという事になるだろう。
「外にいる奴隷は観賞用になれず、雑用のための奴隷達で、中でも取り分け――――雑用も厳しい奴隷達が出されているのです。環境も劣悪で生きる希望もない奴隷達ばかりなんです」
「俺は王都に来て間もないのですが、どうして王国は奴隷を制限しないのでしょう」
「私にも詳しくはわかりません……ですが見捨てるしかできない何かがあるでしょう…………」
「このまま続きますかね?」
「それは…………」
意地悪な質問をして彼女の言葉を詰まらせるのも少し気が引ける。
「エヴァさん。すいませんがこちらも仕事があるので、次動いたら拘束させてもらいますよ」
「っ…………」
そう話した瞬間、ステージ側で爆音が鳴り響いた。
「行かせてください!」
「ダメです。こちらも仕事でね」
「貴方も奴隷達を見て悲しい思いをしていたでしょう!」
「それとこれは別でね。日本人は仕事を全うする生き物ですから」
「ニホン……ジン?」
「ただのひとりごとです」
椅子から飛び上がった彼女をその場に拘束する。
地面に叩きつけて両手と両足にアルキバガン森の深部から採取できる『ハガネメル』という植物を取り出す。
こちらの植物は鋼のように頑丈で動かす事ができないんだけど、固まったまま採取できれば、手錠の代わりとして使える。
アルキバガン森の魔物ですら動けなくなる程に頑丈なので、いくら彼女が強くても振りほどく事はできないだろう。
彼女は悔しそうにその場で涙を流した。
その間にギルドマスターの依頼をこなしながら、毎日依頼掲示板を見ながら依頼の種類を研究した。
そして、本日。
ずっと狙っていた依頼を受ける事ができた。
「おほほ。本日はよろしくお願いしますね~」
豪華な服を着ていて、全身にスライムでも飼っているのかと思えるくらいにふくよかな体形で、ひげが独特な形になっているおっさんが出迎えてくれる。
「本日も護衛の依頼ありがとうございます。いつものメンバーに加えてCランク冒険者二人も増えました」
「ほお? そんな凄い人も護衛してくれるのぉ~?」
「はい。こちらがCランク冒険者のアルマとシャリーです」
ウシガエルのようなぎょろぎょろっとした目が俺とシャリーを見つめる。
俺はヌルっと通り過ぎたのに、シャリーを見つめた途端、その表情がさらに気持ち悪いモノに変わっていく。
視線を感じたシャリーが俺の腕に抱き着いて視線を逸らす。
うん。女の子なら視線を逸らすだろうな。
俺達の姿を見て残念そうな表情を浮かべるな!
「ではこれから配置に付きますので、よろしくお願いします」
「よろしく頼むよぉ~」
奴隷市場の奴隷商ドスグ・ロブータに挨拶が終わり、俺達冒険者達はそれぞれの位置につく。
俺とシャリーは別れて行動する。
念のためシャリーにクレアが付いてくれて、俺とルークがチームを組んだ。
シャリー入口付近、俺は奴隷達の控室だ。
外の鉄檻はどこか冷たいイメージがあったけど、屋敷中の控室は俺が想像していた以上に良い待遇の部屋だった。
それにここにいる奴隷達は全員が笑顔で美味しそうなお菓子と紅茶を飲みながら談笑をしている。
外と中の差に驚きつつも、俺は部屋の入口付近に立つ。
その時、とある女性が一人入って来る。
メイド服を着た彼女は俺に小さく会釈して、持って来た新しいお菓子と紅茶を奴隷達に淹れ始めた。
渡し終わると、彼女もまた俺の近くにやってきて椅子に座る。
彼女と共に楽しそうな奴隷達を眺めた。
「今日初めての方ですか?」
「はい。初めての護衛になります」
「ここを任されるという事はさぞ強い方でしょうね」
「一応Cランク冒険者です」
「…………」
表情には出していないが、凄い驚いている。
「お名前を聞いても?」
「えっ? ――――――エヴァ。エヴァと申します」
「良い名ですね」
「あ、ありがとうございます」
「ずっとここでメイドを?」
「えっ? い、いえ。私も最近です」
彼女との挨拶を終わらせた頃、奴隷達から紅茶の催促があってエヴァさんはまた紅茶を淹れに向かう。
どこか気品あふれる姿勢はさすがに隠せないな。
暫く待っていると奴隷市場の開始を知らせる私兵がやってきた。
一人ずつ呼ばれる度に部屋から繋がっている特別通路に歩き出す。
あの通路を真っすぐ進むとステージに繋がっているらしい。
「エヴァさん」
「はい?」
「中の奴隷達はとても幸せそうですね」
「そう……ですね……」
「外とは随分と違いますね?」
「…………アルマさんは奴隷の事をあまり知らないのでしょうか?」
「ええ」
「奴隷は大きく分けると二つに分かれます。雑用のための奴隷と…………観賞のための奴隷となります」
鑑賞という言葉に納得いく部分が多い。
ここにいる奴隷はどの人も綺麗な女性ばかりだ。
着ている服も美しいドレスに、しっかり化粧もしていた。
買い手は男性の貴族ばかりという事になるだろう。
「外にいる奴隷は観賞用になれず、雑用のための奴隷達で、中でも取り分け――――雑用も厳しい奴隷達が出されているのです。環境も劣悪で生きる希望もない奴隷達ばかりなんです」
「俺は王都に来て間もないのですが、どうして王国は奴隷を制限しないのでしょう」
「私にも詳しくはわかりません……ですが見捨てるしかできない何かがあるでしょう…………」
「このまま続きますかね?」
「それは…………」
意地悪な質問をして彼女の言葉を詰まらせるのも少し気が引ける。
「エヴァさん。すいませんがこちらも仕事があるので、次動いたら拘束させてもらいますよ」
「っ…………」
そう話した瞬間、ステージ側で爆音が鳴り響いた。
「行かせてください!」
「ダメです。こちらも仕事でね」
「貴方も奴隷達を見て悲しい思いをしていたでしょう!」
「それとこれは別でね。日本人は仕事を全うする生き物ですから」
「ニホン……ジン?」
「ただのひとりごとです」
椅子から飛び上がった彼女をその場に拘束する。
地面に叩きつけて両手と両足にアルキバガン森の深部から採取できる『ハガネメル』という植物を取り出す。
こちらの植物は鋼のように頑丈で動かす事ができないんだけど、固まったまま採取できれば、手錠の代わりとして使える。
アルキバガン森の魔物ですら動けなくなる程に頑丈なので、いくら彼女が強くても振りほどく事はできないだろう。
彼女は悔しそうにその場で涙を流した。
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