君と白玉フラッペを

吉岡ミホ

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幸せの白玉フラッペ

幸せの白玉フラッペ④

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娘達が寝ている間に片付けて……晩御飯はハヤシライスでいいか。

薄味にすれば恵も食べられるだろう。

頭の中で段取りを考えながら、大事なことを思い出した。

かき氷機だ!
確か、学園の納涼ビアガーデンの時、ビンゴゲームで当たったやつがあったはずだ。

パントリーの奥に眠っていたそれを引っ張り出してきた。

手動でガリガリする簡単な作りだが、これで十分だろう。

あとはクリームだな。

HASEGAWAの生クリームの足元にもおよばないだろうが、そこはスーパーのもので我慢してもらうしかない。

光が目を覚ますのが楽しみになってきた。

洗濯物を取り入れながら日が長くなったこと感じる。
もうすぐ夏至か……。
今年の夏も暑くなりそうだ。
ハヤシライスができ上がる頃、伝い歩きの恵が起きてきた。

「ぱっぱー」
「メグ、起きたのか?」

俺は恵を抱き上げ、おでこにキスをする。
色白でふわふわのココアブラウンの髪は雅そのものだ。

光も同じように色白でココアブラウンの髪色だが、髪質はストレートで、俺に似ている。

親バカだと思うが、二人とも天使のように可愛い。こんなに可愛い娘達に恵まれた俺は、世界一の幸せ者だと思う。

「そろそろ光も起こすか……」

寝た時間は遅かったが、あまり長く寝かせると夜が大変だ。

ところが、隣に恵がいなくなったからか、光も起きてきた。

「おとーさん、しらたま」
「ああ、白玉な。その前にハヤシライスを食べよう。白玉はデザートだ」

窓の外では沈みかけの太陽が最後の力を発揮させている。
随分と遅い日の入りだ。

恵に食べさせながら、俺も一緒に食べる。
これも随分慣れてきたな。

「おとーさん、しらたまは?」

光はさっきからずっと『しらたま』だ。
自分で丸めて茹でるところも見たのだから、気になるのは当然だろう。

「それ、全部食べてからだぞ」

白玉フラッペのことを考えて少なめに盛っているんだから、全部食べないとな。

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