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生還と帰路
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私は来た道を戻って、元の扉へとたどり着いた。
フレスヴェが、何度か私の上を飛んだけど、ドゥラスゴたちが私の姿を隠してくれて。
ヴァレンティカもこうやって、世界樹の樹液を吸っていたのかもしれないと思った。
彼女は、ここの聖獣たちにも認められていたんだ。
扉の前に戻ってきた私のために、ラタストゥが扉を開いてくれる。
小さいのに、力持ちなんだ。
私が扉を抜けると、後ろでゆっくり扉が閉じていく。
きっともう、この扉は開かない気がする。
なんとなく残念なような気もするけれど、これでいい。
この方がいい。
「シルヴィア!」
ランヴァルトが、扉の前に駆けてきて、私としっかり抱き締め合う。
「よかった・・・無事で。」
「えぇ。心配かけてごめんなさい。」
フェレミスやお養父様も、そばに来て私を取り囲んだ。
「ただいま帰りました。」
私は笑顔でそう言って、みんなで神殿を出た。
外は、あれだけ吹き荒れていた瘴気が消えている。
その時、地面がカッと光って魔法陣が広がっていった。
転送の魔法陣!!
目の前にダグラス神官様たちが、他の吸血鬼たちと一緒に現れた。
みんな、傷だらけ・・・!!
私は慌てて駆け寄ると、一人一人に治癒能力を使って治していく。
そばには、ディミトリ配下の僕の吸血鬼たちも大人しく立っていた。
主人格の吸血鬼が目覚めたのね。
やがて、法王様がベルアニの王宮の中から、純血の一団を引き連れてやってきた。
この人たち、ディミトリたちに封印されていた純血たちね。
彼らは僕たちにすぐ手を上げようとしたので、お養父様が素早く止める。
「やめるんだ!」
「し、しかし!!」
「今回のディミトリの件、遠因は我々にある。我々は今一度、吸血鬼として行動を見直さなくてはいけないところにきたのだ。」
お養父様はそう言って、生き残った古参の純血たちを手招きした。
「説明を。」
「はい。目下、我々は僕の飢えの対策を強化する。『コ・ウリモ・マンドラゴ』の栽培を交代で義務化。ドラゴンの使役が不可能なものは、可能なものから採取した生き血を譲り受けられるものとする。」
ざわ!とそこにいる純血たちが騒ぐけど、お養父様がステッキをガン!と床に打ち付ける。
「そして、待遇の改善。
これらが守れぬものは、僕を持つべきではない。さもなくばいずれ、第二、第三のディミトリが僕の中から誕生し、私たちを滅ぼすだろう。」
シーンと静まり返って、不満そうな顔をする純血もいたけれど、
「不満ならギルドの指名手配に、堂々と名を連ねるようにするぞ?多くのハンターに追われることになるが?」
と、言われて慌てて賛成の声を上げた。
少しでも、僕の暴走が止められればいいな・・・。先は長いけれど。
「それからもう一つ。純血の戒律を破り、召喚なしに人を吸血していたものたちを、『コ・ウリモ・マンドラゴ』栽培に優先的にあてがう。」
お養父様が声高らかに言うと、純血の何人かはすぐに逃げ出そうとした。
それは、ディミトリが連れ去っていた純血たちが、ほとんどだった。
私はサッと手をかざして、彼らの逃走を見えない壁で防ぐ。
「さぁ、案内しようかな。」
古参の純血たちが、彼らを取り囲んで一緒に去っていった。
その他の純血たちは、1人、また1人と僕たちを連れて自分達の住処へと帰っていく。
ただ、ここで一悶着起こした恋人同士がいたの。
それは・・・。
「アリシア、アリシア、事実なのか?君がディミトリに熱を上げて、僕を本当に裏切ってたって。」
「いやだわ、シングヘルト。そんな嘘を信じるなんて。」
「そ、そうだよな?」
「えぇ。」
「じゃ、君が夜な夜なディミトリの部屋を訪れているのを見たという仲間の証言も、嘘なんだな。」
「そうよ、何言ってるの。誰が僕と付き合うというの。」
「よかった・・・そうだよな。」
「何もかもあなたより、素敵だったけど。」
「ん?」
「なんでもないわ!私にはあなただけ。」
そう言いながら、2人も帰っていく。
・・・絶対別れることになりそうね。
フェレミスが手を振って、
「アリシアちゃぁん。」
と言うと、アリシアはシングヘルトにバレないように振り向いて、チュッと投げキッスを返す。
フェレミスは、嬉しそうに受け取って、1人体をくねらせて喜んでた。
「シンシアとシェリーが見たら、なんて言うかな。」
と、ランヴァルトが言うと、フェレミスがランヴァルトの首に絞め技をかけて、
「言うな!言うんじゃねーぞ!」
と、叫んで、その場のみんなで笑ったんだ。
私は、その時ハッと気づいて、お養父様にアリシアも戒律を破っていたことを伝えた。
特にアリシアは、ディミトリに気に入られたくて、みんなの館を密告していたし。
お養父様は片目を閉じて、
「大丈夫。彼女も必ず行かせる。逃げ得はさせないさ。それに・・・仲間を売った罪は例え恋情だろうと、償わないとな。」
と、言った。お養父様・・・笑顔だけど目が笑ってない。怖い・・・。
「あのさ、シルヴィア。」
ふと、ランヴァルトが声をかけてくる。
「何?」
「その・・・扉の向こうに神はいらっしゃったか?」
「天空の神ラーソと、地母神チーダ、よね?」
「あぁ。」
「会わなかった。」
「・・・そうか。」
そう。世界樹はあったし、聖獣たちもいた。でも、神々を見ることはできなかった。
「ヴァレンティカも、会ったことはないそうだ。神々は姿を見せないからな。」
お養父様が、ランヴァルトを慰めるように言う。
神々・・・そうだ。
「お養父様・・・その、ディミトリの話ですけど。」
「ん?あぁ、真祖誕生は、人を滅ぼすための神罰だったという話か?」
「はい。」
人を滅ぼすまでが神罰なんて。とても驚いたもの。
「どうかな。奴の解釈に過ぎないしな。本当にそうなら、ヴァレンティカに天の扉を開くなんてしなかったと私は思う。」
「あ・・・。」
「純血の私たちに、人を理解し愛する能力も、持たせなかっただろうしな。」
「そうですよね。」
「だが、ある意味残酷な能力だ。そんな能力などない方が、苦しまなくていいからな。何故真相全員に、この力を付与できなかったのか、未だに謎だ。」
「・・・えぇ。」
愛せるのに、捕食もできる関係。
力の差は歴然なのに、人が滅びたら共に絶滅する。
吸血鬼は、なんて不可思議な存在なんだろう。
お養父様は、真剣な目をして私をみる。
「だが、魔物より恐ろしいのは人間なのだ。シルヴィア。いつでも、人の欲は真祖のような怪物を生み出す可能性を持つ。戦いは、これからも続くだろう。」
「はい、でも・・・。」
「?」
「私は、元そんな人間の1人であり、怪物を倒せるハンターでもあります。」
「ふむ。」
「せめて、私の手の届く範囲のことには、この力を惜しみなく使いたい。それがひいては、お養父様たち、吸血鬼の同族を守ることにも繋がる。」
「そうだな。」
「仲間たちと一緒に。」
私はランヴァルトとフェレミスの真ん中に立って、2人と手を繋ぐ。
お養父様は、満足そうに頷いてくれた。
私は前に来た牙を、みんなに見せる。
「元人間の吸血鬼、シルヴィア・ゾーイ・バドンシュタイン。ヴァンパイアハンターとして、共闘の盟約の下、これからも戦うことを誓います。」
フレスヴェが、何度か私の上を飛んだけど、ドゥラスゴたちが私の姿を隠してくれて。
ヴァレンティカもこうやって、世界樹の樹液を吸っていたのかもしれないと思った。
彼女は、ここの聖獣たちにも認められていたんだ。
扉の前に戻ってきた私のために、ラタストゥが扉を開いてくれる。
小さいのに、力持ちなんだ。
私が扉を抜けると、後ろでゆっくり扉が閉じていく。
きっともう、この扉は開かない気がする。
なんとなく残念なような気もするけれど、これでいい。
この方がいい。
「シルヴィア!」
ランヴァルトが、扉の前に駆けてきて、私としっかり抱き締め合う。
「よかった・・・無事で。」
「えぇ。心配かけてごめんなさい。」
フェレミスやお養父様も、そばに来て私を取り囲んだ。
「ただいま帰りました。」
私は笑顔でそう言って、みんなで神殿を出た。
外は、あれだけ吹き荒れていた瘴気が消えている。
その時、地面がカッと光って魔法陣が広がっていった。
転送の魔法陣!!
目の前にダグラス神官様たちが、他の吸血鬼たちと一緒に現れた。
みんな、傷だらけ・・・!!
私は慌てて駆け寄ると、一人一人に治癒能力を使って治していく。
そばには、ディミトリ配下の僕の吸血鬼たちも大人しく立っていた。
主人格の吸血鬼が目覚めたのね。
やがて、法王様がベルアニの王宮の中から、純血の一団を引き連れてやってきた。
この人たち、ディミトリたちに封印されていた純血たちね。
彼らは僕たちにすぐ手を上げようとしたので、お養父様が素早く止める。
「やめるんだ!」
「し、しかし!!」
「今回のディミトリの件、遠因は我々にある。我々は今一度、吸血鬼として行動を見直さなくてはいけないところにきたのだ。」
お養父様はそう言って、生き残った古参の純血たちを手招きした。
「説明を。」
「はい。目下、我々は僕の飢えの対策を強化する。『コ・ウリモ・マンドラゴ』の栽培を交代で義務化。ドラゴンの使役が不可能なものは、可能なものから採取した生き血を譲り受けられるものとする。」
ざわ!とそこにいる純血たちが騒ぐけど、お養父様がステッキをガン!と床に打ち付ける。
「そして、待遇の改善。
これらが守れぬものは、僕を持つべきではない。さもなくばいずれ、第二、第三のディミトリが僕の中から誕生し、私たちを滅ぼすだろう。」
シーンと静まり返って、不満そうな顔をする純血もいたけれど、
「不満ならギルドの指名手配に、堂々と名を連ねるようにするぞ?多くのハンターに追われることになるが?」
と、言われて慌てて賛成の声を上げた。
少しでも、僕の暴走が止められればいいな・・・。先は長いけれど。
「それからもう一つ。純血の戒律を破り、召喚なしに人を吸血していたものたちを、『コ・ウリモ・マンドラゴ』栽培に優先的にあてがう。」
お養父様が声高らかに言うと、純血の何人かはすぐに逃げ出そうとした。
それは、ディミトリが連れ去っていた純血たちが、ほとんどだった。
私はサッと手をかざして、彼らの逃走を見えない壁で防ぐ。
「さぁ、案内しようかな。」
古参の純血たちが、彼らを取り囲んで一緒に去っていった。
その他の純血たちは、1人、また1人と僕たちを連れて自分達の住処へと帰っていく。
ただ、ここで一悶着起こした恋人同士がいたの。
それは・・・。
「アリシア、アリシア、事実なのか?君がディミトリに熱を上げて、僕を本当に裏切ってたって。」
「いやだわ、シングヘルト。そんな嘘を信じるなんて。」
「そ、そうだよな?」
「えぇ。」
「じゃ、君が夜な夜なディミトリの部屋を訪れているのを見たという仲間の証言も、嘘なんだな。」
「そうよ、何言ってるの。誰が僕と付き合うというの。」
「よかった・・・そうだよな。」
「何もかもあなたより、素敵だったけど。」
「ん?」
「なんでもないわ!私にはあなただけ。」
そう言いながら、2人も帰っていく。
・・・絶対別れることになりそうね。
フェレミスが手を振って、
「アリシアちゃぁん。」
と言うと、アリシアはシングヘルトにバレないように振り向いて、チュッと投げキッスを返す。
フェレミスは、嬉しそうに受け取って、1人体をくねらせて喜んでた。
「シンシアとシェリーが見たら、なんて言うかな。」
と、ランヴァルトが言うと、フェレミスがランヴァルトの首に絞め技をかけて、
「言うな!言うんじゃねーぞ!」
と、叫んで、その場のみんなで笑ったんだ。
私は、その時ハッと気づいて、お養父様にアリシアも戒律を破っていたことを伝えた。
特にアリシアは、ディミトリに気に入られたくて、みんなの館を密告していたし。
お養父様は片目を閉じて、
「大丈夫。彼女も必ず行かせる。逃げ得はさせないさ。それに・・・仲間を売った罪は例え恋情だろうと、償わないとな。」
と、言った。お養父様・・・笑顔だけど目が笑ってない。怖い・・・。
「あのさ、シルヴィア。」
ふと、ランヴァルトが声をかけてくる。
「何?」
「その・・・扉の向こうに神はいらっしゃったか?」
「天空の神ラーソと、地母神チーダ、よね?」
「あぁ。」
「会わなかった。」
「・・・そうか。」
そう。世界樹はあったし、聖獣たちもいた。でも、神々を見ることはできなかった。
「ヴァレンティカも、会ったことはないそうだ。神々は姿を見せないからな。」
お養父様が、ランヴァルトを慰めるように言う。
神々・・・そうだ。
「お養父様・・・その、ディミトリの話ですけど。」
「ん?あぁ、真祖誕生は、人を滅ぼすための神罰だったという話か?」
「はい。」
人を滅ぼすまでが神罰なんて。とても驚いたもの。
「どうかな。奴の解釈に過ぎないしな。本当にそうなら、ヴァレンティカに天の扉を開くなんてしなかったと私は思う。」
「あ・・・。」
「純血の私たちに、人を理解し愛する能力も、持たせなかっただろうしな。」
「そうですよね。」
「だが、ある意味残酷な能力だ。そんな能力などない方が、苦しまなくていいからな。何故真相全員に、この力を付与できなかったのか、未だに謎だ。」
「・・・えぇ。」
愛せるのに、捕食もできる関係。
力の差は歴然なのに、人が滅びたら共に絶滅する。
吸血鬼は、なんて不可思議な存在なんだろう。
お養父様は、真剣な目をして私をみる。
「だが、魔物より恐ろしいのは人間なのだ。シルヴィア。いつでも、人の欲は真祖のような怪物を生み出す可能性を持つ。戦いは、これからも続くだろう。」
「はい、でも・・・。」
「?」
「私は、元そんな人間の1人であり、怪物を倒せるハンターでもあります。」
「ふむ。」
「せめて、私の手の届く範囲のことには、この力を惜しみなく使いたい。それがひいては、お養父様たち、吸血鬼の同族を守ることにも繋がる。」
「そうだな。」
「仲間たちと一緒に。」
私はランヴァルトとフェレミスの真ん中に立って、2人と手を繋ぐ。
お養父様は、満足そうに頷いてくれた。
私は前に来た牙を、みんなに見せる。
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